しかし、本体と同時発売されたDVD Kitは当初の出荷量が少ない上に、注目が集まったことで、かなり入手困難だった。GAME Watch編集部が11月15日に米国でXbox本体を購入した際にも、DVD Kitは購入することができなかった。
そのため、一時期はプレミア付きでやり取りされていたDVD Kitだが、ここにきて入手性がかなり改善され、編集部でもなんとか入手することができた。そこで今回は、日本でのXbox発売は2月22日とまだ先ではあるが、一足先に北米版XboxのDVDプレーヤーとしての性能を検証した。
■Xboxはハイビジョン対応のゲーム機 DVD Kitの検証に入る前に、まずXboxのインターフェイスについて説明しておくと、前面にコントローラ端子を4ポート、背面にAC電源コネクタ(眼鏡形状)、AV端子、Ethernetを搭載している。AV端子は、ゲーム機では一般的な映像と音声をまとめた専用コネクタを採用する。手持ちのAV機器とは、Xbox専用のAVケーブルを使って接続することになる。
本体には、コンポジット(RCA)と、ステレオ音声(RCA×2)で接続する「Standard AV Cable」が付属。また、オプションとして、色差(RCA×3)と、ステレオ音声(RCA×2)、さらには光デジタルコネクタも装備した「Xbox High Definition AV Pack」(19.99ドル、以下HD AV Pack)が用意されている。 この名称からもわかるように、Xboxは日本でいうところのD1~D4までサポートしており、ハイビジョン対応ゲーム機ということになる。DVDプレーヤーとして使用する際にも、プログレッシブ、ハイビジョン出力に対応しているのか気になるところだ。
■DVD Movie Playback Kit DVD再生対応のゲーム機と言えば、プレイステーション 2と、ゲームキューブ互換の松下の「Q」が発売されている。しかしそれぞれのDVD再生機能は、プレイステーション 2はソフトウェア(メモリーカードあるいは、本体に内蔵)で、Qはハードウェアで実現しており、実現方法がまったく異なっている。 では、XboxはどうやってDVD再生機能を実現しているのだろうか? 公表されていないので推測するしかないが、Xboxのハードウェア仕様がほとんどパソコンであることを考えると、ソフトウェアで行なう方が自然である。しかし、そのプログラムがどこに記録されているかはわからない。
ただ、DVD Kitを装着せずに、DVDビデオディスクを入れて起動すると、「コントローラ端子にDVD再生キットを接続する必要があります」と表示される。このことは、本体側になんらかのプログラムがインストールされているということだろうか。 では、改めてDVD Kitの方を見てみよう。パッケージはブリスターパックとなっており、その接着面がかなり強力。思いっきり力を入れて、接着面以外のところを引き裂くようにして何とか開くことができた。パッケージ内容は、リモコン、受光部(infrared receiver)、取扱説明書の3品だけ。 リモコンは単4電池2本を使用するが、電池も付属していない。日本では、プレイステーション2のDVDリモートコントローラキット(SCPH-10170)を含め、家電製品のリモコンには電池が付属していることが普通なので、少し驚いた。また、説明書は全21ページだが、英語に加え、フランス語、スペイン語の3カ国語で記載されているため、英語のページは8ページしかない。
■実際に使ってみる 早速実際に使ってみよう。といっても。リモコンに電池を入れ、受光部をコントローラ端子に差し込むだけ。後はDVDビデオのディスクをトレイに入れればいい。コントローラ端子は1~4のどこを使っても問題ない。
一方のリモコン送信機は、テンキーもついており、一見すると専用DVDプレーヤー付属のものとほとんど差がない。ただ、ゲーム機だからしかたないのかもしれないが、電源とトレーのオープン/クローズボタンがないのは残念なところ。やはり、電源ぐらいはリモコンで切れた方が便利だろう。 しかし、このリモコンは非常に操作範囲が広く、特に真横からもリモコン操作できたのには驚いた。リモコンの到達距離や、角度で苦労することはないだろう。また、ホームシアターが普及している米国市場に向けということか、カーソルキーや表示(DISPLAY)ボタンなど、6個の緑色のボタンが蓄光式になっているのも面白い。 ちなみに、リモコンで本体設定メニューは操作できたが、リモコンでゲームはできなかった。また、その逆にコントローラでDVDプレーヤー機能を操作することもできなかった。
DVDプレーヤーの基本機能として、2/4/8/16/32倍速の早送り/巻き戻し、1/2、1/4、1/8のスロー再生が可能。もちろん、数字入力により、チャプタジャンプもできる。さらに、A-Bリピートや、2/4/6/8/10倍のズーム機能を搭載している。機能面では専用DVDプレーヤーとして遜色ないといえるだろう。 ただし、画質設定や音質設定はなく、バーチャルサラウンドといった機能も搭載していない。その点では、専用機に一歩譲る。
なお、本体の言語設定を日本語にしておけば、DVDプレーヤー時に表示される情報も日本語になるので、違和感なく操作できた。
もちろん、DVDプレーヤーのリージョンは1に設定されているので、リージョン1か、あるいはリージョンオール(リージョン0)のディスク以外を入れると、エラーが出て再生できない。
■プロレッシブ/ハイビジョンには非対応 最も気になるDVDビデオのプログレッシブや、ハイビジョン出力だが、残念なことに結局対応していないことがわかった。HD AV Packを接続していれば、本体の設定画面でD2/D3/D4の設定が可能であるが、その設定はDVDプレーヤーでは無視される。そのため、DVDビデオに関しては、480i出力のみとなる。
再生画質は2万円程度の普及価格帯の専用DVDプレーヤーと同程度。通常使う分には問題がないレベルではある。 音声については、HD AV Packの光デジタル端子にDTS、ドルビーデジタルのストリーム出力が可能で、AVアンプに接続して問題なく再生できた。
なお、起動からDVDビデオ再生までの時間は、電源OFFからでは約18秒、トレーオープンからだと約20秒かかった。約23秒かかるプレイステーション 2よりもわずかではあるが速い。 また、書き込みできるDVDメディアの再生についても検証した。その結果、DVDビデオ規格で書き込んだものについてはDVD-R、DVD-RW、DVD+RWを再生できた。プレイステーション 2が、DVD-Rしか再生できないことを考えると、かなり優秀な結果といえる。 なお、ビデオCDについては、市販(プレス)のものでも再生できない。もともと、対応が明記されておらず、その点ではプレイステーション 2と同じであった。
■やはり分解!
中を見てみないことには、理解できないことも多いので受光部の分解を試みた。
しかし、非常に強固に組み合わされており、分解するというよりケースを壊して、なんとか基板を取り出すことができた。
基板の主要パーツは、赤外線受光ユニット、水晶発振器、ロジックICとしてPhilips製のHC574、ST Microelectronics製のFULL SPEED対応USBコントローラ「ST92163」、MXICの4MbitマスクROM「MX23C4000TC-10」。その他には、周辺回路として、抵抗やコンデンサーがいくつか使われている。 ちなみに、基板には「IR DONGLE REV B」とシルク印刷されている。これは、DVDプレーヤーソフトは本体に搭載していて、受光部はドングル(ハードウェアキー)として機能していることをあらわしているのだろうか。 なお、DVDビデオ再生中に受光部を抜くと、「リモートレシーバユニットを挿入してください」というエラーメッセージが表示され。再生が停止する。
しかし、受光部を挿しなおすと、停止したところからレジュームするので安心だ。
■さて、DVDプレーヤーとして買いか? DVDプレーヤーとして見ると、やはり電源ファンの音が気になる 。専用DVDプレーヤーのほとんどが電源ファンを搭載していないので、比較するとちょっと辛いものがある。また、ファンの音は結構個体差があるようなので、一概に比較するのは難しいが、プレイステーション 2と同程度の騒音の大きさ。ただ、Xboxの方が少し高音成分が多いように感じた。 さらに、狭い日本家屋で使うとなると気になるのが大きさだ。外形寸法は324×265×90mm(幅×奥行き×高さ)と、301×182×78mm(同)のプレイステーション2と比較すると、一回り大きい。加えて、上面が平らでないため、他のものを上に置けいないこともあり、置き場所に苦労しそうだ。
以上のように、北米版のXboxのDVDプレーヤーとしての機能を検証してきたが、日本版のXboxの仕様がどうなるのかはまだわからない。しかし、北米版が日本語表示に対応していることや、コストの問題を考えると、リージョンコードが2に設定される以外は、ほとんど同じ仕様になると想像される。 日本での価格についても未定だが、北米版は本体が299.99ドルなので、29.99ドルのDVD Kitも購入すると約330ドルなる。このまま日本円に関すると4万円強。プレイステーション 2が値下げしたことを考えると、少し高く感じるかもしれない。 個人的には、リモコンキットのパッケージにリージョンコードが書かれていることが、ひっかかている。もしかすると、日本版のXboxにリージョンコード1のDVD Kitを挿すと……。もちろん、OS(DVDプレーヤーソフト)と、DVD-ROMドライブにリージョンコードが設定されているパソコンのように、本体側にもリージョンコードが設定されている可能性が高いのだが。 また、DVDプレーヤーソフトのアップデートについても、現段階では可能かどうかわからない。もちろん、将来的には、プログレッシブ、ハイビジョンでの出力ができるようになることも考えられる。いずれにせよ、日本版が発売後に再度検証したい。 (c) 2001 Microsoft Corporation. All rights reserved.
□Xboxのホームページ (英文) (2002年1月7日)
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