ソニー、アイワを100%完全子会社化
―「アイワのピンチを、ソニーの攻めのチャンスとしたい」


ソニー 安藤国威社長(右)、アイワ 森本昌義社長(左)
2月28日発表

10月1日完全子会社化

オブザーバーとして出席した出井伸之会長(左)と徳中暉久CFO(右)
 ソニー株式会社は28日、10月1日付けでアイワ株式会社の株式を100%取得し、完全子会社化すると発表した。

 子会社化の条件として、現在の連結固定費を約3分の1に削減することなどをあげており、本社の社員1,200人を3分の2以下に減らすなど、「これまでのリストラ以上に、痛みを伴う構造改革」(アイワ・森本昌義社長)に取り組んでいくことになる。

 ソニーでは、アイワの完全子会社によって、「ソニーのエレクトロニクス事業の構造改革の加速および経営効率の改善を図れる。さらに、アイワブランドを生かすことでソニー全体のブランド戦略を再構築できる」(ソニー・安藤国威社長)としている。

 会見にオブザーバーとして出席したソニーの出井伸之会長も、「アイワのピンチを、ソニーの攻めのチャンスとしたい」と、完全子会社によるシナジー効果に期待を寄せた。

 会見の冒頭、アイワの森本昌義社長は、「昨年3月、4月に再建策を策定し、売り上げがダウンすることを承知で、全世界1万人の社員を5,000人に半減したほか、不採算部門の縮小、生産施設の縮小に取り組んできた。昨年11月には単月での黒字化を達成、固定費も当初の700億円から、今年3月には500億円に削減できる」と、再建策が順調に進展していることを強調。

 しかし、「経済環境の低迷、オーディオビジュアル分野における製品群の地位の凋落、中国製品の台頭による価格ダウンといった状況に見舞われている。さらに、新たな手を打つために必要される資金を調達するのに銀行からの条件が厳しく自力では調達できない。また、今後必要とされるデジタル分野のエンジニアリングパワー、ネットワーク技術に弱く、ソフトを理解できる技術者が10指もいないという状況を考えると、短期的な回復ができたとしても、中長期的には厳しい状況に陥るのは明らか」と現在の置かれた立場を定義した。

 今回のソニーの完全子会社化も中長期的な視点から、「独自に展開するか、あるいはソニーグループのなかのアイワブランドとして開発、設計を行なうことで生き残るかの2社択一のなかで選択したもの」とした。

 昨年秋から、戦略的パートナーとの提携や資本市場からの資金調達による再建も模索したがこれを断念。今年1月にソニーに話を持ちかけ、ソニー側では、「各カンパニーのプレジテントと十分に話し合いを行なった結果、今回の完全子会社を決断した」(出井会長)という。

 一方、ソニーの安藤国威社長は、「昨年1月に森本社長が就任してから、これまでの日本の企業には見られない大幅なリストラを、限られた時間のなかで着実に実行してきた」とアイワのリストラへの取り組みを評価しながらも、「しかし、取り巻く環境の変化は、我々が思っていたよりも早く進展しており、それに追いついていない。一方、ソニーもアイワというブランドをトリガーとして、ブランド戦略を再構築するいい時期だと考えた」と、今回の子会社化の狙いを語った。

 さらに、安藤社長は続けて、「これまでは、ソニーとアイワが同じ分野で競争してきたが、今後は市場環境や経営環境から、そのようなことは許されない。コモデティ化によって、利益なき繁忙に陥る可能性もある。アイワが直面した問題はソニーが直面しうる問題として認識し、アイワを独立した上場子会社として、同社独自の事業運営に委ねるのではなく、両社のエレクトロニクス事業を融合させることでアイワブランドの戦略的活用ができると考えた。アイワというブランドは高い価値を有しており、ソニーとして、これをどう生かすかが課題」とした。

 出井会長も、「ソニーには、バイオ、プレイステーションなどのカテゴリーブランドがあるが、アイワというブランドによって、これまでとは異なったブランド展開ができる」と期待を寄せている。

 これに対して、森本社長は、「アイワには、ラジカセを大量に販売したり、ウォークマンに録音機能をつけたり、小型テレビにビデオをつけたりといったコンビネーション製品が得意。コストを安く、うまくまとめる力がある。ソニーの新たなブランド戦略に十分貢献できる」と言及した。

 今回の完全子会社化を前に、アイワは年間500億円の連結固定費を3分の1程度まで圧縮、日本における社員数を3分の2以下に削減する。2月28日付けで株式交換の覚書を締結、4月下旬に株式交換契約書を締結、10月1日付けでソニーの株式1に対して、アイワの株式0.049で交換する。

 完全子会社後は、アイワには開発、設計を主たる機能として、海外の生産拠点などはソニーに統合するほか、ソニーの設計・生産プラットフォーム「EMCS」への統合、販売プラットフォームの統合などを推進していく。

 なお、今後の完全吸収については、「視野に入れた検討は行なっている。ただ、あくまでも検討の範囲であり、まずは100%子会社化を早く実行に移す方に力を注ぐ。吸収合併はそのあとの検討事項になる」(ソニー・徳中暉久CFO)とした。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ソニー株式会社によるアイワ株式会社の完全子会社化について
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200202/02-0228b/
□ソニーグループのエレクトロニクス事業構造改革を加速
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200202/02-0228b/
□アイワのホームページ
http://www.aiwa.co.jp/
□ニュースリリースのホームページ
http://www.aiwa.co.jp/corporate/report/2002/0228issue.htm

(2002年2月28日)

[Reported by 大河原克行]

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