松下、世界初の空気圧駆動透明スピーカー「サウンドウィンドウ」
-タッチパネル、液晶パネルなどスピーカーに利用可能


照明と一体化したコンセプトスピーカー
3月27日発表




 松下電器産業株式会社は27日、松下電子部品株式会社と共同して、透明パネルを空気圧で駆動する新方式のスピーカー技術「サウンドウィンドウ」を発表した。

 「サウンドウィンドウ」は、これまでのスピーカーで使われてきた振動板に代わって、透明のパネルを使用する技術。液晶テレビやPDA、携帯電話のディスプレイ部などへの応用ができる上に、取り付け場所や形状の制約がないため、これまでにない形状のスピーカーや、壁埋め込み式、窓一体型のスピーカーなどが実現できるという。

エアロドライブ技術の解説
 動作原理は、液晶パネルを使った場合、液晶パネルの上に透明パネル(フィルム)を置き、両パネル間に空気を充填して密封。その空気層に音響ポートを設け、音響ポートに接続されたドライバからの振動による空気圧で透明パネルを駆動させる。空気圧による駆動のため、パネル全面へ均等に音が伝達されるのが特徴。なお、再生周波数帯域は、低音域はドライバ性能により、パネル間の距離で高音域が可変する。同社では同技術を「エアロドライブ技術」と呼称している。

 また、空気圧による間接駆動のため、小型なドライバでも大面積のパネルを駆動が可能。直径16mmのドライバを使用し、35×60×1.2mm(幅×奥行き×厚さ)、重量3gのアクリル板を駆動させた場合、直接振動板を駆動させる方式を比較すると同音圧時の消費電力は1/25になるという。同社ではこれを「音響テコ技術」と呼んでいる。

 さらに、パネル間に空気を充填する構造は、タッチパネルとほぼ同じなため、タッチパネルの透明フイルムをそのまま振動板として使用可能。また、ペン入力時などの加圧時でも音量の低下もほとんどないという。

 発表会では、タッチパネル式液晶ディスプレイ、液晶テレビ、携帯電話、照明と一体化させたコンセプトスピーカーなどの実機を展示。デモを行なっていた。「サウンドウィンドウ」は2002年度中の製品化を計画中。最初の製品は松下電子部品からタッチパネルを利用したシステム部材として発売される予定となっている。

タッチパネルへの応用例。ドライバはパネル下部に配置。音量は十分だと感じられた 液晶テレビへの応用例。普通の液晶テレビと比較しても違和感はなかった

携帯電話への応用。音圧はドライバ出力/パネル面積に比例するため、耳元での再生を前提にした音量 コンセプトスピーカーによる再生デモ。ドライバ×2を内蔵し、ステレオ再生が可能

□松下電器のホームページ
http://www.matsushita.co.jp/
□松下電子部品のホームページ
http://www.maco.panasonic.co.jp/macoj/index.html
□ニュースリリース(松下電器)
http://www.matsushita.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn020327-1/jn020327-1.html

(2002年3月27日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]

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