コダック株式会社は4日、業務用システムを中心としたプライベートイベント「Kodak e-Revolution 2002」を東京ドームホテルで開催した。DPE店やラボなどに向けた展示イベントだが、その一環として、D-ILAプロジェクタを使用したデジタルシネマ構想のプレゼンテーションも行なわれた。なお、同イベントは5日まで開催され、当日登録も可能。入場は無料となっている。 プレゼンテーションを行なったのは、米Eastman Kodakのデジタルシネマプログラムマネージャー、グレン・ケネル氏。現在Eastman Kodakでは、D-ILA搭載のプロジェクタ「コダック デジタルシネマ プロジェクター」を中核としたデジタルシネマビジネスを開発中だが、今回、米国でのサービス開始を2003年4月頃と発表した。ただし、今のところサプライヤは未定としている。日本での展開は「それ以降、または直後にとりかかりたい」との発表があった。
フィルムの品質を実現するため、明るさ5,000ANSIルーメン、解像度QXGA(1,600×1,200ドット)のプロジェクタを使用するという。開発はJVCと共同で行ない、JVCはハードを、Eastman Kodakがソフト面を担当。映画フィルムで蓄積したカラーマネジメントなどのノウハウを投入する。また、上映する作品は暗号化されており、プロジェクタ内でデコードする。このため、作品は上映する寸前まで保護されるという。
会場では、劇場側のオペレーションソフトとなる「コダック デジタルシネマ オペレーションシステム」のデモが行なわれた。サーバーに保存されているコンテンツを、どんな順番に、どんなタイミングで、どの機材で再生するかを指示するデモだったが、プレイリストの作成やスケジュールの割り当てなどは、市販の一般向けソフトと同じようなインターフェイスを備えていた。 なお、今回のデモで上映されたトレーラーは、Dreamworks SKGの「Spirit」や、WOWOWで7月に放映予定のスティーブン・スピルバーグ監督テレビ作品「Band of Brothers」など。 さらにグレン氏は、スタジオと劇場の間にEastman Kodakが仲介するビジネスモデルを提示した。これは、設備管理や著作権管理など同社が担当するというもので、デジタルシネマへ切り換える際の負担を劇場以外に分散させることができるとしている。 現在開発中のQXGAプロジェクタは、型番を「DLA-QX1」といい、75,000ドルを目標価格に据えている。デジタルシネマの導入総額で、DLPシステムを大幅に下回る価格を目指すとしている。暫定スペックは、明るさ5,000ANSIルーメン、コントラスト比1,000:1。今回のデモでは出品が間に合わず、代わりに日本ビクター株式会社の「DLA-M5000SC」を用いていた。
なお、e-Revolutionは、コダックのデジタルプリント戦略の現状と今後の展開を訴求したイベントで、今年で3回目の開催となる。主にDPE店やラボ、写真館に向けたシステムを展示しているが、サイバードとの携帯向けプリントサービスでの提携などもこの会場で発表があった。 また、三洋とEastma Kodakの合弁会社、株式会社エスケイ・ディスプレイの開発したアクティブ型のフルカラー有機ELディスプレイも展示された。今回は携帯電話向けの2.2型が初出品され、年内の製品化をアナウンスしていた。
記者会見で挨拶に立った堀義和社長は、新ドメインとして「画像と情報をシームレスに融合した『インフォイメージング』に取り組みたい」と述べた。これは、集配ラボネットワークやオンラインプリントなどの「インフラ」、デジタルカメラなどの「デバイス」、印画紙やインクジェットプリンタなどの「サービス&メディア」で構成するもので、情報通信分野などでの画像への需要の高まりに対し、様々な方向で対応する姿勢をアピールした。
ただし、デジタルカメラについては「米国では、(昨年より新製品に搭載している)『イージーシェアシステム』が人気あるが、国内では不振」と説明。今後は「カメラは他のメーカーに任せて、我々はプリントに注力したい」との意向を語った。
(2002年4月4日) [orimoto@impress.co.jp] |
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