エレクトロニクスを率いる安藤社長はまず、「2001年度は、アイワを含めて350億円のマイナスになった。これを100億のプラスにしたい」との抱負を述べた。また、アイワ以外の負債分はOEM製品の不振が大きいという。 アイワについては「10月1日に完全子会社化するが、楽観はしていない」との前置きの後、「しかし、経営や販売については、すでにソニーのオペレーションにある」ことを強調。また、「商品はどんどん低価格化する傾向にあり、その中でソニーブランドをどう位置付けるかを考え、アイワを加える方法をとった。ブランド強化を着実にやっていきたい」と、アイワ子会社化の動機を改めて示した。
次に安藤社長は、テレビ、携帯電話、パソコン、プレイステーション 2の4つを「ゲートウェイ商品」と説明し、成長戦略上、最も重要な位置にあると説明した。しかし、テレビのWEGA(ベガ)以外は、他社によるプラットフォームに依存するため、ゲートウェイ商品とつなげるクライアント製品も重視すると宣言。ゲートウェイ製品とクライアント製品をつなげるネットワーク化を進める。これらのネットワーク化製品群が売上に占める割合は'98年の49%に対し、2001年には76%に増加しているという。
導入戦略として、まずバイオをホームサーバーとしたネットワーク構築を進め、その後にベガを中心としたホームAV製品へと移行する。 説明会場では、ネットワーク製品のデモが行なわれた。最初に行なわれたのはバイオMXのデモ。HDD内にあるケミストリーの楽曲を再生した後、液晶リアプロジェクションテレビの「GRAND WEGA」でネットワークやHDD内の映像を表示した。
次のエアボードのデモでは、エアボードに表示されている映像をプラズマテレビとエアボードで交互に表示。両者は無線LANで接続されている。また、チャンネルサーバーのデモでは、専用の録画サイト「カモン・マイキャスター」を中心に説明。また、MySonyCardを使ったオンラインショッピングのデモなども行なわれた。
なお、そのほかのエレクトロニクス事業として、ホームAVの分野では、FED(Field emission display)と有機ELの開発強化、DVD+RおよびDVD-RW事業の拡大が挙がっている。また、DVDレコーダについては、Blu-rayへの展開も視野に入っているという。
また、モバイルAVでは、デジタルカメラ、DVカメラ、クリエ、Net MDなどに、単体での接続性を付加する。好調なバイオはホームAV製品との連携を強化するアプリケーションの実現が目標に掲げられた。
一方、R&Dの具体的な対象として、フラットパネルディスプレイ用デバイスが挙げられている。ソニーが独自に開発するものは、低温ポリシリコンLCD、FED、有機ELとし、そのうちFEDと有機ELをテレビ用途としてる。また、ホームシアターおよびプロジェクタ用途に向け、高温ポリシリコンLCDとGLV(Grating Light Valve)の開発を強化する。なお、アモルファスLCDや、プラズマディスプレイはアライアンスによる調達でまかなうとしている。 半導体のR&Dとしては、IBM、東芝、SCEIとの最先端半導体製造プロセスの共同開発を推進する。また、ネットワーク対応製品の画像処理用LSIプロセスを東芝と共同で開発。自社製品向けには、Micro MV方式ハンディカム用のMPEG処理用1チップLSIの名前が挙がっている。
なお、映画やパッケージソフトなどのコンテンツ部門からは、ハワード・ストリンガーSCA会長兼CEOが代表してプレゼンテーションを行なった。
それによると、米国SPEは「スパイダーマン」などの大作により「史上最強の状態にある」という。特にスパイダーマンは、封切り後1週間で興行収入1億ドルの最高記録を達成。また、成長戦略として「Project USA」という構造改革を1年前から行なっており、2002年度末に完了する予定。順調に行けば4億ドルの節約が可能になるという。 説明会の最後は出井会長が挨拶した。「エレクトロニクスの回復が著しく、ゲームは収穫期に入り、ブロードバンドでさらに期待できる。映画はヒットムービーがさらにでるようだ。音楽はダウンロードという逆風もあるが、対抗技術をNACSの野副君が開発するだろう」とまとめた。
(2002年5月14日) [orimoto@impress.co.jp] |
I |
|
00 | ||
00 | AV Watchホームページ | 00 |
00 |
ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp