ソニー、第1四半期の過去最高の売上高を記録
―音楽CDのコピー防止技術の導入も示唆


徳中暉久副社長
7月25日発表



 ソニー株式会社は25日、2002年度第1四半期の連結業績を発表した。売上高は1兆7,218億円(前年同期比5.4%増)で、第1四半期としては過去最高の売上高を記録した。円安の影響や映画、エレクトロニクス分野での好調が、増収の主な要因となっている。

 しかし、2002年度の見通しについては、円高や消費需要の低迷など厳しい環境を予想し、4月に発表した売上高8兆円を7兆7,000億円に下方修正した。なお、営業利益や税引前利益、当期純利益の見通しに変更はない。

 営業利益は519億円(同17.3倍)、税引前利益は前年同期が143億円の損失だったが、今期は1,166億円の黒字となった。なお、営業利益の増加に加え、米テレムンド・コミュニケーションズ・グループの売却による売却益665億円が計上されている。

 連結の分野別では、AV機器やPCを含むエレクトロニクスの売上高が1兆2,189億円(同0.1%減)で、営業利益が491億円(同476億円増益)と、大幅な増益を記録した。「価格競争が激化している日本を除き、全地域で増収となり、特に米国やアジア地域でのブランドビジネスが好調に推移した」(徳中暉久副社長兼CFO)。

エレクトロニクス部門が好調の要因となった

 コンシューマAV機器やコンポーネント部門の貢献が大きく、具体的には、テレビ、バイオなどのPC機器、クリエ、デジタルカメラなどが売上増となった。営業利益では、テレビ、DV、ビデオカメラなど営業利益率が改善したこと、生産プラットフォーム(EMCS)の活動が本格化し、コストダウンと生産性が向上したことなどが挙げられた。

 また、前年同期で損失を計上した携帯電話ビジネスを、持分法適用会社に移したことも大きな要因といえる。


 ほかにも、事業の集中と選択により、商品力や採算性が向上。同社では「新製品をスムーズに市場に投入することができた」とし、進めていた構造改革の成果を強調した。なおアイワについては、10月1日の完全子会社化に向けてリストラなどを進めているが、損失は拡大しているという

 米ソニーミュージックエンタテインメント(SMEI)とソニー・ミュージックエンタテインメント(SMEJ)からなる音楽分野は、売上高1,372億円(同5.6%減)、営業損失は103億円となった。

 売上構成比73%を占めるSMEIでは、違法デジタルコピーによる音楽市場の縮小を受けて、売上が減少。しかし、DVDソフトのマーケットが増加したことにより、ディスク部門の売り上げは7%増加した。

 その一方、SMEJでは、FIFAワールドカップの影響で音楽市場が2、3割減少したことや、主力アーティストの作品が無かったこと、2001年はスタジオの売却益が25億円あったことなどにより、今期は同29%の大幅な減少となった。

 さらに徳中副社長は、長引く音楽業界の不振について「市場環境の悪化は予想以上に厳しい」とし、今期の減収、減益は避けられないという見通しを明らかにした。また、コピーコントロールなどの著作権保護技術の導入については「何らかのカタチでプロテクションする仕組みは必要だろう。具体的にどういうものをやっていくかに関しては、技術的な側面からも検討している」と語った。

スパイダーマンの大ヒットで大幅な黒字となった映画部門

 映画部門は増収増益で、売上高が同27.5%増の1,736億円、営業利益は2001年の27億円の損失から、93億円のプラスへと回復している。要因は「スパイダーマン」が米国興行収益で歴代5位を記録するなど、好調であったため。「ブラック・ホーク・ダウン」や「アリ」などのDVDソフトの売上も貢献している。

 徳中副社長は、過去最高の売上を記録した第1四半期の業績について、「4月に想定した以上の結果となったが、依然として経済環境は厳しいので、収益の回復に重点をきながら、気を引き締めてキャッシュフローの改善に努めていきたい」と今後の抱負を語った。

 また、米国の調査会社のレポートを元に、中国の新聞が報じた同社の会計不信疑惑にも触れ「我々もレポートを入手したが、不正をしているという内容ではなかった」とし、誤った報道がなされていると主張した。


□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200207/02-033/
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(2002年7月25日)

[yamaza-k@impress.co.jp]

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