ソニー、プラズマテレビをはじめベガシリーズ9機種を発表
―「ベガエンジン」を新採用、初の30型液晶ベガも


9月20日より順次発売

標準価格:オープンプライス

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 ソニーは、新LSI「ベガエンジン」を搭載した、4シリーズ計9機種のWEGA(ベガ)シリーズを発表した。内訳は、プラズマテレビ2機種、液晶テレビ1機種、リアプロジェクションテレビ(グランドベガ)3機種、CRTテレビ3機種。ラインナップと発売日は下表の通り。

種類 型名 発売日 店頭予想価格
プラズマベガ KDE-P50HX1 10月20日 110万円前後
KDE-P42HX1 11月1日 90万円前後
液晶ベガ KDL-L30HX1 11月20日 70万円前後
グランドベガ KDF-60HD900 11月25日 65万円前後
KDF-50HD900 11月15日 55万円前後
KDF-42HD900 10月10日 45万円前後
ベガ(CRT) KD-36HD900 9月20日 32万円前後
KD-32HD900 27万円前後
KD-28HD900 22万円前後

 今回発表の9機種には、すべて新設計の高画質化LSI「ベガエンジン」を搭載している。また、全モデルとも地上波ダブルチューナに加え、BSデジタル/110度CSデジタルチューナを搭載。480i/480p/720p/1080iの入力に対応する。

 音質面でも共通部分が多い。特徴的なのは「センタースピーカー入力端子」の存在で、これは内蔵スピーカー(L/R)をサラウンド環境でのセンタースピーカーとして利用できるというもの。また、内蔵スピーカーだけでBSデジタル放送のMPEG-AAC 5.1chを再現するという「TruSurround DIGITAL 5.1CH」を備える。

 任意のチャンネルを初期画面に登録できる「MYプラス機能」や、AVマウス、コントロールS端子といった従来からの装備も継承。メモリースティックスロットも全機種が装備しており、デジタルカメラなどで撮影した静止画をテレビ画面に表示できる。

グランドベガの一部を除き、リモコンも共通 32V型CRT「KD-32HD900」背面にあるセンター入力端子


 新搭載のベガエンジンは、これまでシステム内で混在していたAD変換とDA変換を最小限にするため、信号入力の入り口でデジタル化するもの。信号劣化やノイズを低減できるほか、「DRC-MF V1」といった高画質化回路の性能を一層引き出すことができるとし、今回発表された製品のすべてに採用している。

 ベガエンジンは、「CCP(コンポジット・コンポーネント・プロセッサー)」、「DRC-MF V1(デジタル・リアリティー・クリエーション・マルチファンクション V1)」、「MID-XU(マルチ・イメージ・ドライバーXU)」の3つのLSIで構成された、統合型の高画質化システム。

表示形式に関わらず搭載される「ベガエンジン」。これまで複数あったAD、DA変換を極力少なくした ベガエンジンのロゴも発表された。ただしデザインは暫定だという

 具体的には、すべてのソースをCCPで79.99MHzにデジタル変換。これをDRFC-MF V1が4倍密変換する。さらに、フォーマット統合機能を持ったMID-XUが各表示デバイスにあった変換を行なう。これらにより、SN感、f特性、パルス特性などが向上。さらに、エンハンス機能や、動きベクトルを利用するノイズ低減機能も搭載している。

 加えて、プラズマテレビや液晶テレビといった固定画素表示モデルには「DCP(デジタル・コンポーネント・プロセッサー)」と、「高画質パネルドライバーLSI」を採用。DCPは、液晶やプラズマディスプレイパネルの特性に応じて、より自然な色再現を行なうという。

 また、パネルドライバーにはPDP用とLCD用が用意され、PDP用は低輝度領域の分解能を高め、LCD用は応答速度が遅い中間領域に強制ドライブ変調をかける。これにより、動きのあるシーンで残像感が低下している。

 同社ではベガエンジンを様々なモデルに採用する予定で、映像機器の中核デバイスとして位置づけるという。また、海外ではCRTリアプロジェクタへの投入も検討している。

各LSIの詳細。DRC-MF V1以外はすべて新規開発で、特許の申請数は127件にのぼる アナログ、HD、SDともにCCPからMID-XUへと一貫したデジタル処理を行なう 従来処理との比較。クロマデコーダを通すためのアナログ化がCCPにより省かれている


■ プラズマベガ

 50V型の「KDE-P50HX1」と、42V型の「KDE-P42HX1」をラインナップ。パネル解像度は、P50HX1が1,365×768ドット、P42HX1が1,024×768ドット。「メディアレシーバー」と呼ぶ、外付けチューナが付属する。ディスプレイ部の消費電力はそれぞれ550W、360W、メディアレシーバーは61W。

 パネル部分を透明なアクリルパネルにはめ込んだデザインを採用し、「あたかも画面が宙に浮かんでいるような雰囲気をかもし出す」としている。さらに、インジケータやロゴがアクリルパネル部分で浮かび上がるなど、従来のプラズマテレビにはない意匠が施されている。

50V型の「KDE-P50HX1」。展示はなかったが、メディアレシーバーが付属する。フローティングスタンドはオプション 42V型の「KDE-P42HX1」もアクリルでパネルを囲んだ「フローティングデザイン」を採用。写真のテーブルトップスタンドは別売り メディアレシーバーは50V/42Vで共通。前面パネルはフロスト仕上げパネルとハーフミラーのツートン

 スピーカーにはパッシブラジエータを採用し、新設計のウーファを搭載している。また、新開発のツイータとの組み合わせにより、薄型スピーカーとしては「迫力のある低音と伸びのある中高音再生が可能」としている。アンプは15W×2chのデジタルアンプで、BBE回路も搭載している。

 メディアレシーバーの前面パネルには、パネル上側をフロスト仕上げ、下側をハーフミラーとし、「隠さずあえて見せるスタイリッシュなデザイン」を採用したという。また、前面パネル中央には、入力信号により浮き上がる青色のLEDを配置する。

 なお、チューナ一体型の「KZ-32TS1」と「KZ-42TS1」は引き続き併売される。

プラズマベガの主な仕様
 KDE-P50HX1KDE-P42HX1
画面サイズ50V型(16:9)42V型(16:9)
パネル解像度1,365×768ドット1,024×768ドット
有効画面寸法1,106×622mm
(対角1,270mm)
918×518mm
(対角1,050mm)
入力対応信号1080i/720p/480p/480i
搭載チューナBS/110度CSデジタルチューナ
地上波ダブルチューナ
音声実用最大出力15W×2
メモリースティックメディアレシーバユニットに前面1系統
入出力端子 コンポジット/S入力×3
コンポーネント入力×2(D4入力×1)
AVマルチ(RGB/Y色差)入力×1
BS/CSビデオ出力×1(S2映像出力×1)
i.LINK 前面×1/背面×2
センター入力×1
光デジタル出力×1
サブウーファ出力×1
ヘッドフォン×1
モジュラ(電話回線)×1
AVマウス×1
コントロールS出力×2
消費電力ディスプレイ部:550W
メディアレシーバ部:61W
ディスプレイ部:360W
メディアレシーバ部:61W
最大外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
ディスプレイ部:1,573×108×856mm
メディアレシーバ部:430×360×105mm
ディスプレイ部:1,352×102×720mm
メディアレシーバ部:430×360×105mm
重量ディスプレイ部:53kg
メディアレシーバ部:7.5kg
ディスプレイ部:39kg
メディアレシーバ部:7.5kg



■ 液晶ベガ

 今回発表されたのは、BSデジタル/110度CSデジタルチューナ内蔵の30V型「KDL-L30HX1」。これで液晶ベガは、現行の15V型ワイド17V型ワイド23V型とあわせて、計4機種のラインナップとなった。

 同時発表のプラズマベガと同じく、ディスプレイパネルをアクリル板で囲んだ「フローティングデザイン」を採用。パネル解像度は1,280×768ドット。ベガエンジンとともに、新開発の「応答速度改善回路」を搭載し、「残像感を低減し、動きの早い映像も見やすくくっきりと再現できる」としている。

30V型液晶ベガ「KDL-L30HX1」。スタンドは固定式でチルトは不可 メディアレシーバーは、プラズマテレビと同じデザインのものが付属する

液晶ベガの主な仕様
 KDL-L30HX1
画面サイズ30V型(15:9)
パネル解像度1,280×768
有効画面寸法643×386mm
(対角750mm)
入力対応信号1080i/720p/480p/480i
搭載チューナBS/110度CSデジタルチューナ
地上波ダブルチューナ
音声実用最大出力10W×2
メモリースティックメディアレシーバユニットに前面1系統
入出力端子 コンポジット/S入力×3
コンポーネント入力×2(D4入力×1)
AVマルチ(RGB/Y色差)入力×1
BS/CSビデオ出力×1(S2映像出力×1)
i.LINK 前面×1/背面×2
センター入力×1
光デジタル出力×1
サブウーファ出力×1
ヘッドフォン×1 モジュラ(電話回線)×1
AVマウス×1
コントロールS出力×2
消費電力ディスプレイ部:150W
メディアレシーバ部:61W
最大外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
ディスプレイ部:973×91×524mm
メディアレシーバ部:430×360×105mm
重量ディスプレイ部:20kg
メディアレシーバ部:7.5kg
スタンド部:12kg



■ グランドベガ

 解像度1,366×768ドットの液晶パネルを採用したリアプロジェクションテレビで、2月に発売された「KDF-HD800シリーズ」の後継モデルになる。60V型の「KDF-60HD900」、50V型の「KDF-50HD900」、42V型の「KDF-42HD900」が発売される。

 KDF-HD800シリーズとの主な違いは、ベガエンジンの採用と、センターおよびサブウーファ端子の搭載。代わりに、5.1chアナログ出力は省略された。消費電力も4~8W低減している。また42HD900は、前モデルの42HD800にはなかったBSデジタルチューナ/110度CSデジタルチューナを搭載する。

60HD900、50HD900、42HD900。前モデルから本体カラーが変更された。若干明るい印象になっている ディスプレイ下のインジケータ部。メモリースティックを装備する

グランドベガの主な仕様
 KDF-60HD900KDF-50HD900KDF-42HD900
画面サイズ60V型(16:9)50V型(16:9)42V型(16:9)
液晶パネル1.35型1,366×768ドット TFT×3枚
有効画面寸法1,318×742mm
(対角1,513mm)
1,096×616mm
(対角1,257mm)
919×517mm
(対角1,055mm)
スクリーンピッチ0.155mm
光源100W UHPランプ
入力対応信号1080i/720p/480p/480i
搭載チューナBS/110度CSデジタルチューナ
地上波ダブルチューナ
音声実用最大出力15W×2
メモリースティック前面1系統
入出力端子 コンポジット/S入力×4
コンポーネント入力×2(D4入力×1)
AVマルチ(RGB/Y色差)入力×1
BS/CSビデオ出力×1(S2映像出力×1)
i.LINK 前面×1/背面×2
センター入力×1
光デジタル出力×1
アナログ音声出力×1
ヘッドフォン×1
モジュラ(電話回線)×1
AVマウス×1
消費電力220W
最大外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
1,618×437×1,103mm1,376×354×964mm1,200×294×854mm
重量60kg47.5kg39kg



■ ベガ

 CRTモデルは、ワイド36型の「KD-36HD900」、ワイド32型の「KD-32HD900」、ワイド28型の「KD-28HD900」をラインナップ。前モデル「KD-HD800シリーズ」に引き続き、スーパーファインピッチFDトリニトロン管を搭載。さらに、110度CSデジタルチューナを標準搭載した。なお、D4入力を装備するが、720pは1080iに変換して表示する。

 KD-HD800シリーズとの主な違いは、高画質回路「ベガエンジン」を採用したこと。また、アナログ5.1ch出力が省略され、代わりにセンター入力端子を新たに装備した。

 内蔵スピーカーも変更され、4×12cmミッドレンジスピーカー2本、5cm丸型ツイーター2本、12cm丸型ウーファ(7.5リットルBOX)の「3D5スピーカー」という構成になった。さらに、リモコンに外部機器(DVD/VTR/HDD)操作用の独立ボタンを追加している。

ワイド36型の「KD-36HD900」 上から時計回りに36HD900、32HD900、28HD900 32HD900の入出力部。i.LINKは前面にもある

ベガ(CRT)の主な仕様
 KD-36HD900KD-32HD900KD-28HD900
ブラウン管スーパーファインピッチFDトリニトロン管102度偏向
36型(16:9)32型(16:9)28型(16:9)
入力対応信号1080i/720p/480p/480i
搭載チューナBS/110度CSデジタルチューナ
地上波ダブルチューナ
音声実用最大出力ツイータ/ミッドレンジ:7.5W×2
ウーファ:15W×1
メモリースティック前面1系統
入出力端子 コンポジット/S入力×4
コンポーネント入力×2(D4入力×1)
AVマルチ(RGB/Y色差)入力×1
BS/CSビデオ出力×1(S2映像出力×1)
i.LINK 前面×1/背面×2
センター入力×1
光デジタル出力×1
アナログ音声出力×1
ヘッドフォン×1
モジュラ(電話回線)×1
AVマウス×1
消費電力230W210W205W
最大外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
994×592×622mm898×564×576mm804×564×514mm
重量89.4kg71.1kg52.9kg


安藤国威社長
 今回の製品発表にあたり、プレス向け説明会が東京・台場のメディアージュで開催された。同社がカラーテレビの製品発表会を開くのは5年ぶりになる。会場ではベガの歴史を振り返るプレゼンテーションが行なわれた。

 それによると、民生用トリニトロン管は2002年で累計2,600万本を出荷し、カラーテレビのシェアにおいては、米国で34%、国内で24%というシェアを獲得している(出荷金額、ソニー調べ)。

 挨拶に立った安藤国威社長は、'60~'70年代の黎明期にシャドウマスクと争ったトリニトロンブラウン管の成功を挙げ、「ソニーの代表的な商品といえば、個人的にはカラーテレビだと思う」と述べた。

 今回の新製品についても「ブロードバンド時代はデジタル家電の復権のときであり、テレビが家庭のエンターテイメントの中心になる」と、ベガをコアビジネスの1つとして位置づけた。ただし、5月の経営説明会で発表された、バイオと連携するベガについては明らかにされなかった。

 また、「ここにきて、ブラウン管からフラットパネルへの変革が起きている」ことを示唆し、「(ブラウン管という)1つのデバイスにはこだわらない。PDP、液晶、ブラウン管、グランドベガなど、ソニーとって大事なベガというラインナップが、今回で確固たるものになった。デバイスだけでなく、画質、完成度などで見て欲しい」と自信の程を語った。

 なお、「フラットディスプレイでもソニーはシェアを取れるのか」という記者からの質問に対し、ホームネットワークカンパニーの山下勉プレジデントは、「総合的にもジャンル個別にも1位をとりたい」と回答。また、フラットディスプレイの自社開発についても質問が及んだが、PALCの開発断念と、有機ELおよびFEDへのシフトが再確認されたにとどまった。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200208/02-0821/
□関連記事
【8月1日】ソニー、D4入力搭載の23V型「液晶WEGA」
―パネル解像度1,280×768ドット、DRCも採用
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020801/sony.htm
【4月17日】ソニー、ハイビジョンに対応したワイド17V型の「液晶WEGA」
―実売12万円の4:3 15V型も
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020417/sony2.htm
【1月8日】ソニー、60/50/42V型のGRAND WEGA新モデル
―42V型は40万円、BSデジタル内蔵60V型は実売65万円
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020108/sony.htm
【2001年8月23日】ソニー、メモリースティック対応BSデジタル内蔵「WEGA」
―D4端子を装備し高精細平面ブラウン管を採用
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010823/sony1.htm

(2002年8月21日)

[orimoto@impress.co.jp]

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