同ICは、モータコイルへの通電を高周波でON/OFFし、そのON時間とOFF時間の比率を変えてモータ速度を制御するパルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)駆動方式。 CLV、ZCLV記録方式では、内周速度と外周速度を短時間で切り換える動作に高トルクモーターが必要となる。しかし、高トルクモーターは巻線数を増やしマグネットの磁力強化をするために、回転時にコイルに発生する逆起電圧が大きくなり、データリード時の回転速度を高くすることが困難。これを解決するため、新開発した「通電位相(タイミング)の連続制御方式」を採用。同社では「光ディスク駆動用のモータ駆動ICとして初めて」としている。 「通電位相(タイミング)の連続制御方式」では、ブラシレスモータの3相のコイルへの通電を順次切り換えるために、回転するマグネットの磁束を検出するホール素子3個を用意。同ICでこの位相を前方向にずらし、逆起電圧の低い領域で流すことで、逆起電圧のピーク点より低い位置にシフト。より多くの電流をコイルに通電することで、高トルクモータでの最大回転数を同社従来製品比で50%向上させた。 同ICでは、高トルクと高速回転の両立により、CLV、 ZCLV記録方式ドライブのデータリード時の回転数を向上できるほか、内周、外周で急速に加減速を繰り返す際の振動を抑制する新回路を採用。そのほかにもリード/ライトでのゲイン切替、PWM周波数切替、チップ温度検出端子、逆転検出端子などの機能を実装している。 パッケージは厚さ1.0mmの薄型ながら、底面にリードコム部を露出。リードコム部をプリント基板に半田付けすることにより、標準基板実装時(50×50×0.8mm)で約1.6Wの許容損失を確保、ICの発熱を低減している。
(2002年8月23日)
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