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【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
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米Microsoftと、松下電器産業株式会社は、PCとAV機器の間のデジタルメディア統一規格「HighM.A.T.」を共同開発したと発表した。今後両社から対応ソフト/ハードウェアがリリースされるほか、他社にもライセンスを行ない、同規格の普及に努めていくという。
「HighM.A.T.(High performance Media Access Technology)」は、PC上のデジタルコンテンツをAV機器で簡単に利用できるようにすることを目的に開発された、デジタルメディアの相互利用のための規格。CDやDVDプレーヤーなどのAV機器と、PCの間で、WMA/MP3/JPEG/WMV/MPEG-4などのメディアファイルとそのコンテンツ情報/プレイリスト/メタデータ/サムネールイメージなどを共通して利用できるようにする。 現状では、CDにデータファイルのほか、さまざまなメタデータを格納する仕様を定めた論理フォーマット的なものとなっている。規格自体は、CD-Rにデータを書き込むJoilet ISO9660に準拠している。
PC側では、記録メディア上にデジタルデータを書き込む際にHighM.A.T.に準拠する必要があり、AV機器側では、ディスク読み出しに関して規格に対応している必要がある。 Microsoftは、年内リリース予定のWindows Media Player9と、Windows Movie Makerの次期バージョンでHighM.A.T.に対応する。また、松下電器は、2003年にHighM.A.T.対応のDVDプレーヤー/CDプレーヤーなどを発売する。
例えば、現在発売されているWMA対応のDVDプレーヤーで、PCで作成したWMA収録のCD-Rを再生すると、各社独自のUIでファイルを表示する。その際にファイル数が大量になると、ローディングに時間がかかるなどの問題がある。また、ファイルの管理もファイル名ベースのみとなってしまう。 「HighM.A.T.」にプレーヤーとメディアが対応していれば、各社のプレーヤーで共通のメニュー/操作性で利用できるほか、メタデータの使用により「運動会」といったイベント名を付与して管理したり、PCとAV機器で同一のプレイリストが利用できるなどのメリットがある。 HighM.A.T.自体は、サムネイルの読み出し方法や、タグの付与といったことを規定しているだけなので、機器に応じて表示する情報を変更することも可能。例えば、同じディスクを利用しても、TVに表示するときは6つのメニューを表示するが、低解像度のカーナビの液晶で表示するときは読みやすさを考慮して4つのメニューのみ表示、ポータブルCDプレーヤーでは曲名とアーティスト名のみを表示するといった使い方ができる。また、統一的なデータ管理ができるため、検索性も大幅に向上するという。 発表会では、松下電器産業ホームAVビジネスユニット長の松本 時和氏が、「HighM.A.T.」について説明し、「AVとPCをつなぐブリッジ機器として、HighM.A.T.を訴求し、関連メーカーににも対応を呼びかけて行きたい」と述べた。また、今年より、Windows Media関連製品を発売し、北米を中心に既に200万台のWMA対応DVDプレーヤーを販売したことをアピールした。 また、米Microsoft バイスプレジデント アドバンスト ストラテジー&ポリシー担当の古川 享氏は、「松下電器とは'78年ごろにポケコンで関わるなど、20年以上にわたる関係がある」と述べた後、「'98年にはAV機器関連で総合的な提携を結んだが、あまり大きな成果は出ていない。しかし、今回の発表はもっと実際的なものである」と説明。また、「Microsoftに20年以上いるが、今までは米国のものを日本で売るということをやってきた。今回は松下電器と共同開発のパートナーとして米国に提案でき、非常にうれしい」と述べた。さらに、最初のライセンスパートナーとして富士写真フイルムと契約したことを明らかにした。
その後、表示形式の異なる機器でも統一されたユーザーインターフェイスが可能であり、機器間の互換性の向上などの「HighM.A.T.」の特徴を解説。応用機器として、DVDプレーヤーやポータブルCDプレーヤー、車載用機器などさまざまなデバイスに提供可能であることをアピールした。 また、「業界の同意を得ながら、著作権保護を加える機能なども追加していくことも考えている。そうしたことも含め、関連業界と話し合ってやっていきたい」と今後の課題についても語った。
ライセンス料については、「ハードウェアメーカーについては、それぞれの企業と個別に相談して決める。また、HighM.A.T.に対応したコマーシャルベースのタイトルからライセンス料を徴収するか、といったことについても決まっていない」という。なお、ソフトウェアメーカーなどにはSDKを近日中に配布するという。 ビジネスモデルとしては、「まだ模索中」としながらも、ライセンスフィーで儲けるという方向ではなく、「デジタルカメラが市場に出たことで、プリンタが売れたような、新しい経済や文化を生み出すインパクトを期待しており、双方のビジネスが刺激しあって伸びていくことを期待している」と説明した。 また、松下電器の松本氏も「ライセンスフィーで稼ぐというよりは、PCとAVのシナジーを高めることで、製品の価値を高め、DVDプレーヤーの販売台数を増やす方向で考えている」と解説した。 □マイクロソフトのホームページ (2002年10月18日) [usuda@impress.co.jp]
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