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【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
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■ ついに出た。1万円台のプログレッシブプレーヤー つい、1年ほど前は、最低でも5万円クラスだったプログレッシブ対応DVDプレーヤー。しかし、今では2万円台後半から購入でき、値ごろ感が高まってきている。そんな状況下でも、1万円台のプレーヤーというのは、さすがになかったと思うが、思わぬところから超低価格プログレッシブプレーヤーが登場していた。 PCDIYショップ「DOS/Vパラダイス」を運営する「サードウェーブ」のブランド「NExtWave」のDVDプレーヤー「Win3023DH」がそれだ。販売価格が14,800円という低価格ながら、プログレッシブ出力に対応。ドルビーデジタルデコーダやDTSデコーダも内蔵しているほか、VGA端子(D-Sub15ピン)も装備しており、アナログRGB出力もできるという。はじめてスペックを見たときは、「なにか間違っているのでは」と思ったほどの高機能ぶりだ。 ということで、その性能を確かめるべく購入してみた。税込みで15,540円でプログレッシブDVDプレーヤーが買えるとは、1、2年前には想像もできなかった安さだ。 ■ 謎だらけのパッケージ。「OKO」って何?
パッケージを見ると、DVD、SVCD、VCD3.0、DVCD、MP3、OKO、CD-R、CD+Gと書いてある。DVD、SVCDまではわかるが、その後のVCD3.0とDVCDとかよくわからないものが……。まあ、たぶんVideoCDやminiDVDなどの従兄弟みたいなものだろうと想像がつくのだけれど、「OKO」ってのは一体何でしょうか?。 封入品は、本体とリモコンのみのシンプルなもの。本体は、430×282×60mm(幅×奥行き×高さ)と、やや薄めのデザイン。前面パネルにはマイク入力を2系統搭載し、パネルのセンター部に1.2.3.4.5と、何に使うのか良くわからない(説明書にも特に記述なし)ボタンを5つ装備。実際に押してみても反応が無かった。 また、早送り、巻き戻しボタンは付いているが、チャプタスキップ用のボタンは無く、本体のみで操作を行なうのは難しい。マイク入力を前面に2系統備えていることからもわかるとおり、カラオケ端末としての利用を想定されているようだが、普通のDVDプレーヤーとして使う分にはかなり疑問を抱くボタン配置となっている。
出力端子は、背面にアナログ5.1ch出力と、コンポーネント/S映像/コンポジットを各1系統、光デジタル/同軸デジタル音声出力を各1系統、アナログ2ch音声出力も装備している。 リモコンは十字キーを中心にレイアウトされており、低価格プレーヤーとしてはやけにキーが多いような……。「♭」とか「#」と書いてあるキーも備えている。何かと思ったら、カラオケ用のキーの上げ下げボタンとのこと。
とりあえず、設置してディスクを挿入してみると、タイトル画面に「PDVD」の文字が……。同じく本体フロントパネルにも「PDVD」と書いてあるのだが、「P」はProgressiveの「P」なんでしょうか? とりあえずPDVDなるフォーマットはDVDフォーラムでは決まっていないと思うが、まあ、あまり気にしないことに。 ■ VGA表示やプログレッシブ再生も可能。 それでは、早速VGA出力を三菱製のPC用CRTディスプレイ「RDGX17X」に接続。リモコンの「VIDEO」ボタンを数回押して「PROGRESSIVE TV」の「VGA」を選択すると、CRTへプログレッシブ出力される。 画質的には、若干赤が弱いように感じたが、ディスプレイ側で色温度設定などを行なえるので、そんなに気になることは無い。「PCディスプレイでDVDなんか見ない」と思っていたのだけれど、くっきりと思いのほか高画質な印象。プログレッシブ対応のテレビなどを持っていないけれど、プログレッシブ表示でDVDを見たいといったユーザーにはかなり役立つ機能だと思う。 そのほかにもコンポーネント映像、S映像、コンポジットの出力端子を装備している。ただし、同時出力には対応していないため、いずれかの出力端子1系統を選択する形となっているのはやや残念なところだ。ちなみに、コンポーネント接続でもきちんとプログレッシブで再生されており、S映像やビデオ出力をアップスキャンしているというわけはなさそうだ。 画質をどうこう言うような機種でも無いと思うが、大きな障害が出ることもなかったので、この価格なら満足といった感じ。他のスタッフは、プログレッシブ表示時にたまにギクシャクしているように感じるということだが、個人的には気にならなかった。 操作は、基本的にリモコンで行なうのだが、これはかなり使いづらい。中心にある最も大きな十字キーがチャプターの送り/戻しかと思っていたのだが、これが、なんとカラオケのエコーに割り当てられている。また、VOCALボタンなどのDVD視聴には不要なボタンもたくさん付いているので使いづらい。とはいっても、我慢できない程のものではない。このへんは価格とのトレードオフと言うことで割り切って考えたい。 ■ 再生互換性について 各種記録型DVDでもテストしてみた。結果は以下の通りで、DVD-RWのVRモードのほか、DVD-RAMも同様に認識できなかった。
【再生互換性一覧】
コピーコントロールCDについては、BOAの「Every Heart -ミンナノキモチ-」でテストしたが、ややマウントまでに時間がかかるもののCD-DAとして再生が可能だ。 また、MP3データを収録したCD-Rの再生にも対応しており、手持ちのMP3 CD-Rでテストしたところ、特に問題なく再生できた。さらに、CD-Rに焼いたJPEGも表示することが可能だった。 ■ リージョンフリーでPAL/NTSC変換にも対応? 一般的なDVDプレーヤーでは、プレーヤー側で設定されているリージョンコード(地域コード)と、DVDソフト側のリージョンコードが一致しない限り再生できないが、このプレーヤーでは、ソフト側のリージョンコードに関係なくDVDソフトの再生が可能となっている。 手持ちのDVDソフトで確認してみたところ、リージョンコードが「1」に設定されているソフトも問題なく再生可能だった。 また、PAL/NTSC対応とのことで、PAL収録のフランス版「千と千尋の神隠し(LE VOYAGE DE CHIHIRO)」でテストしたところ、メニューの表示まで行なえたが、その後の操作を受け付けず、再生できなかった。おそらく、メニューの構造との相性で再生できなかったのだろうが、NTSCのTVに表示できていたのでディスクを選べば再生できるのでは。
■ まったく使い物にならないが、ネタにはなる日本語メニュー やや余談となるが、一応この「Win3023DH」は日本語設定メニューを装備している。一応というのは、デフォルトでは英語表示なのだが、日本語を選択すると、かつて見たことの無いクオリティの日本語表示が行なわれてしまうからだ。 具体的には下の画面を見ていただきたいが、「スポーカ(スピーカー)」「ドルプーダピタル(ドルビーデジタル)」、「メイングーピ(メインメニュー)」、「アナロパ(アナログ)」、「しブラル設定(基本設定)」といった具合。見て楽しむ分には面白いが素直に英語メニューで利用するべきだろう。というか何でこんな中途半端なものを入れているのでしょうか?
■まとめ 以上のように、使い勝手やデザインなどから、1台目のDVDプレーヤーとしてはあまりお勧めできるような製品ではないかもしれない。 しかし、これだけの低価格で、現在考えられるほぼ全ての機能を搭載しているのは大いに魅力だ。とりあえず、PALのディスクを試したいとか、お手軽にプログレッシブ再生を楽しみたい、といったユーザーには最適な製品だろう。「なんでもできて低価格」という意味では、2台目以降のマルチプレーヤーとしては、他に比類ないぐらい魅力的な製品だ。 ■せっかくなので、分解してみました
内部がどんな構造になっているのか気になったので、早速分解。値段が値段だけにシンプルだとは思ったが、開けてびっくり。基本的には、ドライブと電源、それにかなり小さなメイン基板の3つのコンポーネントだけでできている。 ということは、メイン基板上のESS VideoDrive 「ES6028F」という1チップでほぼ全てにプレーヤーの機能を実現しているということ。DVDプレーヤーが完全にコモディティ化していることが実感できる。
□製品情報 (2002年12月11日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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