◇ 最新ニュース ◇
|
||
【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
||
|
松下電器産業株式会社は、2003年度経営方針説明会を都内で開催。中村邦夫社長が、1月1日からスタートした全社的組織再編に伴う「事業分野(ドメイン)別体制」や、次期「V商品」の説明、海外戦略などを説明した。 冒頭、中村社長は2001年から実施した「創生21計画」により、生産性や売上が向上、国内家電の占有率が目標の25%を実現しつつあるとし、同計画の成功をアピールした。そして、「本日創業」という言葉で表現される新体制を発表した。 1月1日からスタートした「ドメイン別体制」と呼ばれる新体制は、各事業分野別に事業会社を完全に分け、それぞれの開発、製造、販売システムを一元化し、自己完結させるというもの。その結果、各ドメイン会社は自主責任経営を行なうことになる。ドメイン会社は1月1日と4月1日に成立した8社を含め、計14社になる。
事業の目標やプロセスは各ドメイン会社が独自に決定するため、2003年度の事業計画方針もこれまでとは異なり、本社からの数値目標は一切ないという。また、本社が各事業会社にガイドラインを与えることもなく、あくまで「自らの事業計画は、自らが作る」システムになる。よって、現段階では詳しい事業計画は本社にもわからず、3月に各社から今後の計画についてヒアリングを行なう。 これに合わせて、プロセス指標と結果指標が混在していた業績評価基準も見直される。新しい評価基準は「CCM」と「キャッシュフロー」のみで、評価に応じた報酬制度になる。ドメイン別体制ついて中村社長は、「決まったこと徹底的にやるのが我が社の社員の良いところ。体制を変えることで全社員のマインドが変わり、行動が変わり、全体の結果も変わるだろう」と、新体制への自信を見せた。
また、同社の掲げる創生21計画の最終年に当たる2003年は「経営の太い柱づくり」をより進めていく。そのために、2002年に成功を収めた「V商品」の投入も引き続き行なわれる予定で、現段階で90品目を選定、2003年度売上1兆2,000億円を目指す。 さらに、「他社にない、他国にない技術、ノウハウで商品を囲い込む必要がある」(中村社長)という考えの元、他社製品との差別化を図る「ブラックボックス技術」の創造を進めていく。さらに、前述のドメイン別体制により、技術者の層が厚くなり、質の向上も見込めるしている。
また、グローバルな戦略として、世界統一デザイン戦略や、世界規模のマーケティングによる世界同時の「垂直立ち上げ」を目指す。AV関連では、世界におけるシェアをDVDレコーダで50%、PDPを2005年度に30%を目標にする。なお、SDカードに関しては、昨年1年間で900万枚の生産を達成。SDカードを使用した製品としては特にデジタルカメラが好評で、昨年12月期の量販市場のシェア10%を確保、メーカーとして売上5位になったという。 さらに、投資を続けていた海外の収益が軌道に乗り、営業利益の大きな向上が期待できるとした。中村社長は「海外こそ成長エンジンだ」と述べ、今後は収益の60%以上は海外事業で確保し、その中でも中国事業は、2005年までに1兆円事業にしたいという考えを明らかにした。ほかにも、共通したテーマを持つ世界規模のデザイン戦略で、ブランド価値を向上させる計画も発表された。
「ドメイン別体制」は、一歩間違えれば「放任」ともなりかねないシステムだが、本社がチェック機関として働くため、その心配はないという。なお、本社は今後、他の企業との提携や買収など、本社にしかできない業務を行なう。
2003年の経営スローガンは「一人ひとりが創業者」。各ドメイン会社と、そこで働く社員の自立を印象付ける会見となった。最後に中村社長は、「4月の決算時には、2002年に約束した1,000億円の営業利益を実現し、なおかつ、各ドメイン会社からの良い事業計画を発表できればと思っている」と締めくくった。
□松下電器のホームページ
(2003年1月10日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
Copyright (c) 2003 Impress Corporation All rights reserved. |
|