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100層までの多層化を可能にする多層光ディスク基本技術
-日立と日立マクセルが共同開発


5月16日発表


 株式会社日立製作所研究開発本部と日立マクセル株式会社は16日、最大100層程度の多層化を可能にする光ディスクの基本技術を開発したと発表した。11日より米国バンクーバで開催中の「Optical Data Storage Topical Meeting 2003」で成果発表が行なわれた。

 従来の多層化技術では、光の透過性を利用して光スポットの焦点位置を移動させ、任意の記録層だけに焦点を合わせることによって、選択的に記録/再生を行なっている。層数を5層以上に増やすと、下の層では光が弱くなるため、従来方式での多層化には限界があった。しかし、今回両社では、現行光ディスク装置との互換性を保ちながら、記録層の多層化を実現する新概念の多層光ディスク技術を開発し、その効果を確認した。

 今回両社が開発した技術は、印加する電圧によって色が変化するエレクトロクロミック材料を記録層に適用するもの。この記録層では着色させる電圧と、透明にする電圧が異なるため、着色された層では光の吸収により、記録や再生が可能になる。そのため、印加する電圧により記録再生する層を選択することができ、選択した層以外の層を透明化することによって、5層以上の多層化が容易となるという。

 また、従来の多層ディスクでは、記録したい層以外の層からの影響を除去するために、層の間隔を十分広く取る(25μm程度)必要があったが、今回の開発技術では、選択した層以外が透明なため、層の間隔を約0.3μmまで狭くできるという。これらの改善により、従来方式の2層ディスクの層間隔と同程度の厚さで100層もの多層化が可能となったという。

 開発した多層光ディスク技術の情報の記録と再生は、以下の原理で行なわれる。

  • 記録:選択した記録層へ強い光を照射すると、発熱で照射部の透過率が変わり透明になる。これが記録マークとなり、この状態が電圧によらず固定される
  • 再生:記録された層を再生するには、選択した層に弱い光を照射すると、着色された記録層と透明の記録マークでは反射光量に差が生じる。これによって記録情報の読み出しを行なう

 今回記録層1層からなる直径12cmの光ディスクを試作し、記録再生原理実験を実施。着色した記録層にレーザ光照射により記録マークを生成し、さらにこの記録マークからの信号読み出しに成功したという。この装置の光学系はCDやDVDとの互換性を維持できるため、両社では、今後多層媒体を用いた動作確認を行ない、同方式を用いた多層光ディスクの実現を目指すとしている。

□日立製作所のホームページ
http://www.hitachi.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/030516a.html
□日立マクセルのホームページ
http://www.maxell.co.jp/
□Optical Data Storage Topical Meeting 2003のホームページ(英文)
http://www.osa.org/meetings/topicals/ods/

(2003年5月16日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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