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Intelクレイグ・バレットCEO、「デジタルホーム戦略」を解説
-デジタル放送のコピーワンス制限への疑問も


Intel クレイグ・バレットCEO

2月24日開催


 インテルは24日、都内のホテルで「インテル デジタルホーム プレスセミナー」を開催。クレイグ・バレットCEOが来日し、同社の「デジタルホーム」戦略について解説した。


■ PCの進化の時代から「デジタルホーム」の時代へ

 バレット氏は、今後3年間で、コミュニケーション、テクノロジ、リッチコンテンツの連携が進み、家庭での生活スタイルやエンタテインメント体験が変化していくと切り出し、20年以上前のIBM PCの発売からPCは進化しており、当初はワープロやスプレッドシートなどの用途が中心だったものが、マルチメディア関連などの多くの魅力的な利用法が増えていると説明。

 また、インターネットの普及により、PCが個人で利用するものから、ネットワークを介したより広範なサービスを利用するものに変化しているなど、PCを取り巻く状況の変化や、家電との接続性の強化や、ワイヤレス化などのトレンドを解説し、PCの進化が今後も続いていくとの見通しを明らかにした。

 バレット氏は、「全てがデジタル化に向かっており、CE機器やワイヤレス機器、コンテンツなどのデジタル化が進む」とし、「新しいデバイス、ビジネスモデルが求められている」と述べた上で、「新しい進化は家庭から起ころうとしている」とし、同社の「デジタルホーム戦略」について説明した。


■ デジタル機器をシームレスに扱う「デジタルホーム」戦略

 デジタルホームは、「エンターテインメント」、「コミュニケーション」、「学習」、「さまざまな体験」などを家庭内でデジタル機器を用いてシームレスに扱うという同社のコンセプト。

 バレット氏は、デジタルホームの実現に向けた重要な要素として「家電とPCの相互接続性」、「ブロードバンド」、「デジタルコンテンツ」の3点を挙げ、家電のデジタル化とブロードバンドの普及が進んだ日本は非常に重要な位置を占めていると説明した。

デジタルホームの実現への3要素 デジタルホームはエンターテインメントやコミュニケーションを家庭内でシームレスに行なう構想

 実際に、エイベックスの映像配信サービス「PRISMIX TV」などのデモや、スクエア・エニックスの和田洋一CEOをゲストに招いたIntelプラットフォームのアピールなどが行なわれ、デジタルホームの実現によりデジタルコンテンツへのアクセスが容易になることで、生活スタイルが変化すると説明。

 また、ソニーはHD対応のH.264(MPEG-4 AVC)ソフトウェアコーデックを実装したバイオを出展。実際にH.264でエンコードした映画「スパイダーマン 2」を出力して見せた。

スクエア・エニックス 和田洋一CEO ソニーはHD対応のMPEG-4 AVCコーデックをデモ


■ DHWGの活動がデジタルホームの要

 バレット氏は、Intelが中心となり設立された「Digital Home Working Group(DHWG)」の活動についても解説した。

 DHWGは、音楽/写真/ビデオなどのデジタルコンテンツを、家電、PC、モバイルなどの機器の間で、簡単に共有することを目的にした団体。オープンな相互接続性を確保し、業界標準技術に基づいた設計ガイドラインを2004年第2四半期に策定、2004年中に対応機器が発売される見込みという。

 バレット氏は、DHWGの活動をデジタルホーム戦略の中で最重要課題となるPC/家電の相互接続性を実現するものとして位置づけ、時間を割いて説明した。

 コンテンツ保護の方針についても言及し、「DHWGでもコンテンツ保護は議論している。DHWGのデバイスとデバイスの間であればデジタルコンテンツを自由に流していいのか? といった問題があるが、例えば日本のデジタル放送の録画ではコピーワンスがあり、基本的にコピーは1度までとなっている。しかし、制限ゆえにデジタルコンテンツの潜在的な可能性をフルに活かせないということもある」と疑問を呈し、コンテンツ配信用のDTCP over IPへの対応などが解決策となると述べた。

 バレット氏は、「著作権を保護しながら、家庭内でシームレスにコンテンツをやりとりできるようになるべき。著作権保護については米国でも議論されており、今後も検討していかなければならない」とした。

Microsoft古川副社長

 また、Microsoft副社長の古川亨氏も登壇し、“コンテンツサービス用のプラットフォーム”としての「Media Center Edition」をアピール。

 さらにWindows Mediaの映像圧縮技術だけでなくDRMも重要とし、コンテンツサービスの普及には「正しく認証して課金すること、そして著作権の管理が重要になる」と説明しながら、「各パートナーと協力し、社会的にデジタルコンテンツ配信のプラットフォームを築いていく」と意気込みを語った。

 最後に、デジタルホームに向けた将来のコンセプトモデルとして、薄型リモコンやIPフォン、キーボードと薄型の液晶ディスプレイ内蔵本体部からなるコンセプトPC「フローレンス」や、Windows Media Center Editionをベースに、2系統のHD放送対応テレビチューナを内蔵した「エンターテインメントPC」のコンセプトモデルを紹介した。

 バレット氏は「家庭内でシームレスにデジタルコンテンツを扱えるようにするのが、DHWGメンバーの目標。設立時の参加メンバーは17社だったが、既に100社以上が集まった。今後もこの技術を加速していきたい」とし、講演を締めくくった。

Windows Media CenterベースのエンターテインメントPC コンセプトPCの「フローレンス」
デモは同社のLCOSを採用したリアプロジェクションテレビで行なわれた

□Intelのホームページ
http://www.intel.co.jp/
□関連記事
【2003年6月25日】家電/PC間でのコンテンツ共有を目指す「DHWG」が設立
-ソニー、松下、Intel、MSなど17社が参加
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030625/dhwg.htm
【1月20日】インテル、デジタルホーム開発セミナーを開催
~相互接続性確保が実現への第一関門
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0120/intel.htm

(2004年2月24日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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