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【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
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東京都がアニメ産業の振興と育成を図るために実施している「東京国際アニメフェア 2004」が、東京・ビッグサイトで開幕した。会期は3月25日から28日まで。なお、一般公開日は27日と28日となっている。
フェアの内容は大きくわけて、新作アニメーションの紹介などを行なうブース展示と、アニメアワードの授賞式やアニメーションに関連したシンポジウム、声優らが参加するステージイベントなどで構成される。出展社数は全166社で、国内の企業は135社、海外からも31社が参加している。
ここでは、DVD化が期待できる注目の新作アニメや、石原慎太郎東京都知事も出席した「アニメアワード」の発表会、DVD-BOXの発売や実写版映画の公開で注目を集める「キューティーハニー」に関するイベントを中心にレポートする。
■モバイル放送開始への準備が整う
3月13日に、専用の通信衛星の打ち上げに成功したモバイル放送は、タカラのブースに専用コーナーを設置。対応端末の展示や、放送内容の紹介を行なっている。 今回出展されたのは東芝製の端末で、以前からイベントなどで展示されているものから、より商品に近い形になっている。ただし、以前としてコンセプトモデルのまま。SDメモリーカードに対応したスロットも装備しているが、展示機では録画できない。
サービス開始は7月を予定しており、2.6GHz帯の放送波を使用。移動しながらの受信に強く、屋外での使用も想定している。映像、音声の受信が可能で、蓄積型のデータ放送にも対応。音声番組30chを含む約70chでの放送を予定し、サービス料金はパックで1,000~3,000円を予定している。
■アニメ・オブ・ザ・イヤーはガンダムSEED 26日には、過去1年間に国内で放映、公開された商業アニメーション作品と、一般からの応募作品の中から、約180名の選考委員の投票で決められる「東京アニメアワード」が発表された。 グランプリの「アニメ・オブ・ザ・イヤー」は、企業作品部門で「機動戦士ガンダムSEED」、公募部門で韓国のハン テホ監督の「Africa a.F.r.l.c.A」がそれぞれ受賞した。ガンダムSEEDは、2002年の10月から2003年9月までMBS、TBS系列で全50話が放送された作品。'79年の「機動戦士ガンダム」から23年、テレビアニメとしては第9作目のガンダムシリーズ。「戦争」という問題に正面から取り組んだ姿勢に加え、DVDの売上がシリーズで累計100万枚を突破するなど、ビジネスとして成功したことも高い評価を得た。 公募作品のAfrica a.F.r.l.c.Aは、独特なビジュアルでアフリカの自然と、そこに生きる人々をスケール豊かに描いた作品。映像的な新しさに加え、アフリカが直面している環境的な問題などを描いたメッセージ性も評価された。
オリジナルビデオ部門では、「アニマトリックス」と「マクロスゼロ」が優秀作品賞を受賞。「アニマトリックス」はハリウッド映画と日本を中心としたアニメーションが高いレベルで融合した点が評価され、「マクロスゼロ」はドルビーデジタル5.1chのサラウンドや、2Dのアニメーションと3DCGを違和感なく融合させた映像表現が支持された。 ほかにも、劇場映画部門では4月28日にDVDが発売される「東京ゴッドファーザーズ」、既にDVD化されている「茄子アンダルシアの夏」が優秀作品賞を受賞した。
審査委員長の金子満氏は挨拶の中で、「アニメアワードは3つの点を重視して審査している。それは、アート性と、子供達が楽しめるかどうかという点、そしてビジネスとして魅力的かという点。ビジネス面を評価するアワードは珍しい」と説明。アニメを産業として考え、ビジネスとして国際化する必要があるとしたうえで、「公募作品は自由に作ってもらい、アニメの可能性を評価した。韓国や台湾など、海外からの応募が多く、作品のレベルも高くなっている。日本のクリエイターも負けずに頑張って欲しい」と激を飛ばした。
グランプリの受賞では、石原東京都知事が登場。日本のアニメーションの歴史を振り返ったうえで「日本のアニメはハリウッド映画にも負けない、立派な文化に育った。東京アニメアワードは今後も継続し、アニメーションにおけるアカデミー賞のような権威になれるよう育てていきたい」と語った。
■庵野監督の最新作は、「Re:キューティーハニー」
会場内の特設ステージでは、「2004年 キューティーハニーの新展開」と題して、庵野秀明監督のアニメ最新作「Re:キューティーハニー」の発表イベントが行なわれた。ステージには庵野監督をはじめ、原作者の永井豪氏や、ガイナックスの佐藤祐紀プロデューサー、東映のプロジェクトチーム・KATERNAの高見義雄取締役らが出席した。
庵野監督の「キューティーハニー」は、5月29日に公開される佐藤江梨子主演の実写版映画を連想するが、今回発表された「Re:キューティーハニー」は、スカイパーフェクTV! のパーフェクトチョイスで放送される新作アニメ。全3話のシリーズで、第1話が7月24日、第2話が8月28日、第3話が9月25日に放送予定で、DVDでのリリースも9月から開始される予定。
世界観やキャラクターは原作のハニーと共通しているが、如月ハニーが派遣OLだったりと内容はオリジナリティに富んでいる。もともと、新作アニメは実写版映画の中に挿入するために規格されたが、提出されたアイデアがあまりにも魅力的だったため、1本のアニメシリーズとして製作することが決定した。
庵野氏が総監督を務めるほか、シリーズ構成とメインライターに、アニメ初参加となる劇団☆新感線の中島かずき氏を起用。周りを固めるスタッフは、キャラクターデザインにガイナックスの平松禎史氏、各話の監督に今石洋之氏、伊藤尚住氏、摩砂雪氏が参加するという豪華な布陣。
庵野監督も「脚本を読んだ時点で面白いと感じた。こんなことは滅多に無いことで、参加するスタッフも実力派揃い。絶対に面白くなる。ヒットするかどうかは時の運だが、面白いことは保証する」と自信を見せた。 原作者の永井豪氏は、続々と新作がリリースされるハニーについて「漫画を描いていた当時はセクシーなアンドロイドの女性など、夢のまた夢だと思っていたが、技術の進歩で可能になるのではないかとすら思えてきた」と語る。なお、ハニーというキャラクターは「当時よく見ていたヨーロッパ映画の女優さんを意識して作った」という。
なお、ハニーといえば変身シーンがどのように描かれるかが気になるところ。庵野監督は「上からは好きなようにやっていいと言われているので、ギリギリまで挑戦したい。そうしないと、永井先生にも喜んでもらえない」と語り、会場の笑いを誘った。
■アニメファンも楽しめるイベントに
会場で一際眼を引くのは、7月17日から公開される大友克洋監督作品「スチームボーイ」。ブースには、主人公・レイのフギュアや、劇中に登場する小物の展示が行なわれている。また、最新の予告編を上映するコーナーも用意。多くの観客を集めていた。
徳間書店、スタジオジブリ、日本テレビ、プロダクションI.Gの共同ブースでは、宮崎駿監督作品のDVDの紹介に加え、最新作「ハウルの動く城」の、巨大な城のフィギュアを展示。ほかにも、タペストリーや、「となりのトトロ」のメイとサツキの家のジオラマなどが置かれている。
また、押井守監督の映画「イノセンス」に関する展示もあり、原画やコンテ、イメージボードなども見ることができる。なお、同ブースにはプロダクションI.Gがアニメパートを手掛けたタランティーノ監督の映画「キル・ビル Vol.1」のDVD-BOX(4月16日発売)も展示されている。
東北新社のブースでは、スタジオ4℃が手掛ける新作アニメ「魔法少女隊 アルス」が話題。4月9日からNHK教育で放送される全40話のシリーズで、人間界から魔法の世界に迷い込んでしまった少女アルスと、見習い魔女のシーラ、エバの3人の女の子が大きな謎と陰謀に立ち向かっていく正統派なファンタジーだ。各話は約9分。「スタジオ4℃」と「NHK教育枠」という好条件が揃っているためか、デモ映像のクオリティは高く、足を止める人が多い。
ブース内部には、東北新社とファミリー劇場が共催で公募した「第1回アニメ企画大賞」で選ばれた企画をアニメ化した「風人物語」が紹介されている。押井守氏が監修しており、制作はプロダクションI.Gが担当。次期は未定だが、スカイパーフェクTV! のパーフェクトチョイス PPVでの放送が決定している。音楽は川井憲次氏が担当しており、こちらも注目の作品だ。
ほかにも、会場には4月から放送が開始される新作アニメを中心に、オリジナル・ビデオ・アニメの紹介、グッズの販売などが行なわれている。東京都主催ということもあり、お堅いイメージのあったイベントだが、3回目にしてジャンルの幅が大きく広がった印象だ。
また、「アニメは世代を超える」と題して、アニメーションの歴史を紹介する特別企画展や、放送中の人気アニメ「ふたりはプリキュア」のキャラクターにPCを使って色を塗る体験コーナーなども用意されており、家族で楽しめるイベントになっている。
□東京国際アニメフェア2004のホームページ
(2004年3月26日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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