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日立、世界初のLCOSリアプロジェクションディスプレイ
-2台のランプを交互に使用、民生用モデルも検討


右が50型を4枚使ったシステム。左は比較用の透過型液晶を使った70型の従来モデル
7月30日より順次発売

標準価格:「S70-116CM」1,050万円
      「ES50-116CM」840万円

連絡先:ソリューション統括本部 マーケティング部
    Tel.03-5471-2942


 株式会社日立製作所は、業務用リアプロジェクションディスプレイとして、世界で初めて光学エンジンにLCOS(Liquid Crystal On Silicon)を採用した「LCOSマルチディスプレイ」を発売する。50型と70型の2モデルをラインナップし、いずれもマルチスクリーンでの使用を前提としてる。製品仕様と価格、発売時期は以下の通り。

 受注は4月12日から開始。なお、下記の価格にはマルチシステム構築のための標準作業費(エンジニアリング費)も含まれている。価格例は50型モデルで縦、横各2面の4面マルチ画面を構築した場合、4,200万円程度になる。

サイズ 型番 価格 出荷時期
70型 ES70-116CM 1,050万円 7月30日
50型 ES50-116CM 840万円 8月31日

 最大の特徴は、反射型液晶(LCOS)を採用したこと。どちらのモデルも0.7型、1,400×1,050ドット(SXGA+)の3板式パネルを搭載しており、透過型液晶を使った同社従来モデルよりも高精細・長寿命化を実現したという。

マルチスクリーンでの使用を前提としており、3×3面、2×3面など、様々なサイズに対応できるという

 透過型と比べ、画素サイズが約13.6μmから約10.4μmに、画素間のピクセルラインが約3μmから0.4μmに縮小・高密度化した。さらに、液晶層を薄型化できるLCOSの特性と、高速ドライブ回路により、応答速度も約20msから12msに高速化。スクリーンも黒浮きを従来より5%抑えた新しいピュアブラックストライプスクリーンを採用しており、チラツキの少ない、高精細表示を実現したという。

単板式DLPよりも色再現性が広く、透過型液晶よりもランニングコストが抑えられる

 また、50型モデルで従来と比較した場合、輝度が1,000cd/m2から1,200cd/m2に、コントラスト比も1000:1から1100:1に向上。従来の50型(XGA)よりも解像度が向上しているが、レンズの改良により奥行きも59cmから55cmに省スペース化している。

 画質以外の面では、液晶パネルの耐光性が向上。また、透過型液晶では液晶を挟んで入射側、出射側の2つのガラス基板が必要となるが、反射式のLCOSを採用したことで出射側のガラス基板の省略が可能。その結果、従来モデルのような偏光板の交換が不要になり、ランニングコストも従来の約半分に抑えられるという。

 ランプは従来同様100/120Wの超高圧水銀ランプを採用。稼動ランプと予備ランプを自動的に切り替えるオートチェンジャ機構を搭載しているが、稼動ランプの寿命が切れた時に切り替わるのではなく、24時間、1週間など、任意のサイクルで切り替えが可能。2つのランプを交互に使用することで各ランプの寿命が従来の倍に伸びるという。なお、交換所要時間も10数秒から数秒に短縮している。

液晶層を薄型化したLCOSパネルを採用。チラツキが少なく、耐久性も向上しているという 各社、各方式の製品との性能比較

黒浮きを抑えるというピュアブラックストライプスクリーンを搭載 左が従来の透過型液晶、右がLCOSタイプ。画素間のピクセルラインや、画素の細かさ、画像の荒さなどに大きな違いがある

型式 ES50-116CM ES70-116CM
サイズ 50型 70型
表示パネル 0.7型×3枚
1,400×1,050ドット
輝度 1,200cd/m2
(ブライトモード)
1,000cd/m2
(ノーマルモード)
600cd/m2
(ブライトモード)
500cd/m2
(ノーマルモード)
コントラスト比 1,100:1
視野角 水平:120度
垂直:60度
最大入力解像度 1,600×1,200ドット
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
1,016×550×1,002mm 1,414×750×1,341mm
重量 59kg 100kg


■ 2年でシェアNo.1を奪還

篠崎雅継COO

 ユビキタスプラットフォームグループの篠崎雅継COOは、想定している使用用途として「交通管制センターや災害対策センターなどの警察市場や、電気・ガス・水道などのインフラ監視用などの市場で、毎年安定した需要が見込まれている」とし、高精彩表示だけでなく、24時間・365日の連続使用に耐えられるモデルであることをアピール。

 今後の販売目標は、2年間で50/70型を合わせて国内で3,000台、海外で2,000台の計5,000台を見込んでおり、「業務用リアプロ市場でのシェアNo.1を奪還したい」(篠崎氏)と意気込みを語った。

 なお、LCOSを使った民生用製品の開発についてソリューションハードウェア開発部の三堀公彦部長は、「開発部隊が違うため、詳しいことはわからない」としながらも、「商品化を検討しているという話は聞いている」(同氏)とした。

□日立製作所のホームページ
http://www.hitachi.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2004/04/0412.html

(2004年4月12日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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