◇ 最新ニュース ◇
|
||
【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
||
|
社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)は19日、2003年度の事業報告説明会を開催した。2003年度の使用料徴収額は、過去最高の1,094億7,201万円(前年比3.2%増)となった。 内訳としては、CDオーディオが伸び悩みオーディオディスクの徴収額が前年比91.6%の約282億7,625万円と落ち込んだものの、下げ幅は小さくなっている。また、DVD市場の拡大により、ビデオグラムの徴収額が137億1,586万円(前年比135.4%)と大幅に伸びたほか、放送使用料や、着信メロディを中心とするインタラクティブ配信の使用料が伸張し、全体では過去最高の徴収額となった。 分野別では、演奏や放送、有線放送を含む「演奏」分野での徴収額が前年比104.5%の約433億8,301万円、CDやDVDなどを含む「録音」分野が約459億6,606万円(同102.6%)、「出版」分野が同101%の約17億4,311万円、レンタルCDなどを含む「貸与」分野が同97.2%の約37億3,269万円、通信カラオケやインタラクティブ配信(着メロなど)を含む「複合」分野が同104.2%の約138億288万円となっている。使用料収入の合計は前年比103.3%の1,086億2,777万円となった。 また、録音用CD/MDや録画用DVDなどに含まれる「補償金」は、前年比92.3%の8億4,424万円となっている。私的録音保証金は前年比84.4%の7億4,757万円と減少しているが、録画メディア用の私的録画保証金は前年比334.5%の9,667万円と大幅増となった。これは、「録画型DVDメディアの売上が大幅増となったため(泉川昇樹 常任理事)」という。 説明会では、JASRACの吉田茂理事長が「日本経済は回復傾向にあり、音楽業界でも長く続いたCDの販売不振の減少幅が小さくなってきた。DVDソフトの売り上げも好調を維持している。着メロなどのインタラクティブ配信も伸びたため、徴収額は前年実績を上回った」と2003年度の活動を振り返った。 また、2003年度の大きな取り組みとして、“中国の音楽著作権管理団体「MCSC」との間で録音権分野についての相互管理契約を締結”、“録音物の使用報告の電子化、ネットワーク上の音楽利用についての円滑な権利処理システムの構築”、“違法なネットワーク配信などに対する積極的な法的措置の取り組み”の3点において、大きな前進を見せたとし、「今後も音楽の創作者と利用者の双方からさらなる信頼を得られるよう取り組んでいく。知的財産社会における役割を自認しつつ、公益法人の責務として、多くの人の理解を得ていくように努力していく」と意気込みを語った。
また、加藤衛 常務理事が事業報告やJASRACの取り組みの詳細について解説。CDオーディオの利用料は下がっているが、DVDの売り上げが増え、「全てではないが(CDの落ち込みの)かなりの部分をカバーしてきた」という。また、放送や着メロなどのインタラクティブ配信も着実に伸び、トータルで前年度を上回る実績を記録した。 インタラクティブ配信の約138億円の使用料の9割以上は、いわゆる“着メロ”だが、「オリジナル音源着信音(着うた)も、金額は小さいものの今後の伸びが期待される」とする。ほかにも、「マイク一体型カラオケ向けのカラオケダウンロードや、楽譜なども急速に伸びている」とした。 また、携帯端末に対する映像/音楽配信の許諾については、「権利処理が複雑で難しいという問題があるが、経団連の中で権利者15団体、放送事業者団体などが、約1年の協議を重ねており、許諾の仕方や利用料率の問題をかなりのところまで詰めて議論をしている」という。 地上デジタル放送の携帯端末向け放送については、「今の地上波/BSなどとの利用料率と同じということはない。携帯向け放送を含んだ利用料率を後で放送局と協議する」としている。 また、権利者への使用料の分配についても、精度の向上に向けた取り組みを紹介した。着メロでは、年間3億程度のダウンロード数をデジタルデータで処理し、一括して計算するシステムを導入しており、従来より大幅に高精度で正確な分配が行なえるという。こうした電子的な報告を、放送や通信カラオケなどでの導入することを目指しており、「現在のJASRACの事業の管理事業でもっとも力をいれ、コストをかけて管理体制の確立に取り組んでいる」とした。 中国の著作権管理団体「MCSC」との相互管理契約を締結についても紹介。「早速、女子十二楽坊が大ヒットし、かなりの金額を中国に送ることができた。まだ中国からの入金はそれに見合うものではないが、管理体制が十分でない中国や、アジアの著作権管理団体をサポートしていく」という。 また、利用料徴収額の比率は、従来のレコードなどを中心とした「録音」の比重が少なくなり構成比で42%。一方、放送や演奏などの「演奏」が39.6%、通信カラオケ/着メロなどの「複合」が12.6%で、あわせると50%を超えており、「流通の形態が変化しているのは明らか。徴収料は落ちておらず、(CDの売上は良くないが)音楽が売れないのではなく、音楽流通の形態が変わっている」との見解を示した。 インターネット上の違法な音楽配信については、「規模については議論の余地があるが、違法なファイル共有が影響を与えているのは事実」とし、京都府警がファイル交換ソフト「Winny」の作者を著作権法違反幇助の疑いで逮捕した件については、「ソフトに罪はないが、そのソフトを使って他人に違法行為を助長するような事実関係があったとすれば、今回京都府警が幇助罪で告訴したことは正しいこと。JASRACとしては“よくやっていただけました”とはっきりと支持する」と語った。 また、「(今回の逮捕では)Winnyを利用したユーザーとのやりとりが、具体的な幇助にあたるか、ということが問われている。新しいソフトが駄目とか、そういう議論ではない」としながらも、「包丁で人を指すから包丁を作った人が悪いというたとえ話がメディアにでているが、これ(Winny)は包丁だ日本刀だというよりも、ピストルじゃないですか? 明らかに“そちらのほう”をあおっているという匂いがする」との認識を示した。
あわせてJASRAC賞の発表も行なわれた。JASRAC賞は著作物使用料の分配額によって決定され、今年で22回目となる。 金賞は、槇原敬之の作曲による「世界に一つだけの花」。銀賞は菊池俊介作曲の「ドラゴンボールZ BGM」、銅賞はすぎやまこういち作曲/橋本淳作詞の「亜麻色の髪の乙女」が受賞した。 □JASRACのホームページ (2004年5月19日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
|
|