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DVD+RWアライアンス、第5回アジアパシフィックセミナーを開催
-HPとPhilipsが著作権保護技術「Vidi」を発表


セミナーは科学技術館で行なわれた
5月26日開催


 DVD+RWアライアンスは26日、東京・科学技術館で「第5回アジアパシフィックセミナー」を開催。その中でHewlett-Packerd(以下HP)とPhilipsが共同開発を進めている著作権保護技術「Vidi」の概要を発表した。また、リコーの16倍速記録に対応したDVD+Rメディア/ドライブのデモも行なわれた。


■ DVD+R/RWディスクでコピーワンスコンテンツを記録

Vidiはコードネームであり、認定されれば名称は変更になる。ちなみにVidiとは、ジュリアス・シーザーの言葉「Veni,Vidi,Vici」(来た、見た、勝った)からとられている

 現在、著作権保護技術「CPRM」に対応したDVD-RWやDVD-RAM、ハイブリッドレコーダのHDDは、コピーワンスコンテンツを録画することができる。しかし、DVD+R/RWにはCPRMに当たる保護技術が無く、コピーワンスコンテンツが利用できない状況になっている。

 「Vidi」は、HPとPhilipsが開発し、DVD+RWアライアンスでの策定を目指している著作権保護技術で、DVD-RW/RAMなどにおけるCPRMに当たるもの。ただし、PCでのデジタルコンテンツの録画も想定しているなど、機能面で細かい違いがある。

 Vidiはもともとは米国において、著作権が保護されたコンテンツがインターネット上で不正に流通するのを防ぐために作られた技術。両社は7月に認可が下り、2005年には対応機器が発売されると予想している。

 米国では連邦通信委員会 (FCC)がデジタル放送にコピー制御用の「Broadcast flag」と呼ばれるフラグを導入しており、この信号に基づいて各レコーダなどでコピー制御を行なうよう2005年7月から法律で規制される。VidiはこのBroadcast flagに対応しており、保護されたコンテンツはVidiに対応したDVD+R/RWメディアなどに録画できるが、それをインターネットに流すことはできない。

 具体的には、コンテンツに含まれる暗号キーとユニークIDを、プレーヤーやレコーダに内蔵したキー認証ICがチェックし、再生・録画の許可を出す。メディアに録画する場合には、メディア固有の暗号キーを基に、メディアごとに異なる128bitのAES暗号処理を施して+VRフォーマットで記録する。

 このため、認証ICを持たないプレーヤー/レコーダでは再生・録画ができず、ネットワークを通じて配信しても、認証キーを持たないプレーヤーソフトでは再生できない。ただし、認証キーを持つPC用のドライブやソフトウェアを使えば、PC上で保護されたコンテンツを再生・録画することはできるというもの。

Vidiの利用イメージ。Broadcast flagに従って、コピーフリーやコピーワンス、コピーネバーなど、様々な方式に柔軟に対応できるという

暗号化処理の概要図

 VidiがDVD+RWアライアンスで認定された場合、Vidiに対応した(暗号キーを持った)DVD+R/RWディスクにコピーワンスプロテクトがかけられたコンテンツを録画することが可能になるという。ただし、現在開発されているVidiはあくまでインターネット上の流通を規制するものであり、レコーダ間でのコピーなどは何度でも可能。また、HDDへの録画についても詳細は未定。さらに、従来のDVD+R/RWディスクには保存できない。

HPのC.Weirauch氏

 これについてHPのC.Weirauch氏は、「Broadcast flagに従って、コピーフリーやコピーワンス、コピーネバーなど、様々な方式に柔軟に対応できる」とVidiの柔軟性を強調。さらに「HDDへの録画についても想定し、開発を進めている。Vidiはまだ、ベーシックな技術として作り上げている段階。HDDへの録画などは市場のニーズに応じて順次対応していきたい」と今後の予定を語った。

 なお、日本で同方式を利用するためには、DVD-RW/DVD-RAMなどにおけるCPRMのように、電波産業界(ARIB)で認定を受けなければならない。現在認定を受けた著作権保護技術はD-VHS、CPRM、ブルーレイ(CPS)の3つで、認定されればVidiも4番目のデジタル著作権保護技術として名を連ねることになる。C.Weirauch氏は「夏頃には申請したい」としている。

 このため、Weirauch氏は日本におけるVidiに対応したDVD/ハイブリッドレコーダや、メディアなどの発売予定や次期などについては未定とし、DVD+RWアライアンスも「策定前の技術なので何とも言えない」とした。

 


■ 16倍速のDVD+Rをデモ

PhilipsのDriessen氏

 さらに、PhilipsのH.Driessen氏がDVD+R/RWの高速化についてのロードマップを発表。1月に行なわれたInternational CES 2004での発表より若干早まり、2004年の夏頃にはDVD+Rの16倍速記録に対応した製品がリリースされるという。

 Driessen氏は2002年の秋に発売された4倍速対応のDVD+R、2003年春のDVD+RW、2004年春の8倍速対応DVD+R、5月にリリースされた2.4倍速の2層記録製品などを例に挙げ、「これらはその時点で世界初となる高速記録を実現した。これは、極めて初期の段階から高速化を念頭においた開発を続けてきた成果である」と、DVD+R/RWの高速記録へのポテンシャルの高さを強調した。

高速化ロードマップ

 さらに、会場では完成したばかりという16倍速対応のリコー製ドライブとDVD+Rメディアを使っての書き込みデモが行なわれた。書き込みに使用されたソフトウェアは「Nero CD-DVD Speed Ver.2.11」。書き始めの内周では6.71倍速からスタートし、徐々に加速、外周で16倍速に達した。4.7GBのディスク1枚を、約6分で記録できるという。

 なお、16倍速記録時にディスクの回転速度は1万rpmに達しており、これ以上の速度になると物理的限界を超えてディスクが破損してしまうとのこと。

リコーの16倍速ドライブとメディアで書き込みデモが行なわれた 書き込みに使用されたソフトは「Nero CD-DVD Speed Ver.2.11」デモでは5分36秒で書き込みが終了した 16倍速記録を実現するために、西洋の城壁を連想させる「キャッスルライトストラテジ」という新開発のストラテジを採用。レーザーを照射せず、ディスクを冷やす時間を設けることで、記録時の熱が次の記録に影響を及ぼさないという

 なお、会場ではほかにもNEC製の2層記録に対応した厚さ12.7mmの薄型DVDドライブ「ND-6500A」や、ハーフハイトサイズの内蔵型モデル「ND-2510A」などが参考展示されていた。また、メディアでは三菱化学メディアの2層対応のDVD+Rや、8倍速対応DVD+RWなども参考出品していた。

NECの「ND-6500A」DVD+Rの8倍速、DVD+Rの2層記録(2.4倍速)、DVD+RWの4倍速、DVD-Rの8倍速、DVD-RWの4倍速に対応 ハーフハイトサイズの内蔵型モデル「ND-2510A」。仕様は「ND-6500A」と同じ 既に発売中のソニー製2層記録対応DVDドライブ「DRU-700A」も展示していた

三菱化学メディアは3種類のメディアを参考展示していた。左から2層記録対応DVD+R、16倍層対応DVD+R、8倍速対応DVD+RW

□DVD+RWアライアンスのホームページ
http://www.dvdrw.jp/
□関連記事
【2003年3月27日】DVD+RWアライアンス、第4回アジアパシフィックセミナーを開催
-ソニーがDVD+RWレコーダの国内投入を示唆
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030327/dvdrw.htm

(2004年5月26日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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