◇ 最新ニュース ◇
|
||
【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
||
|
日本電気株式会社(NEC)、メモリーテック株式会社、株式会社東芝の3社は26日、次世代DVD「HD DVD」の説明会を開催。東芝やNECが自社のHD DVD戦略やロードマップについて解説したほか、株式会社ポニーキャニオンがコンテンツフォルダとして初めてHD DVD市場に参入することを明らかにした。 ■ 東芝は2005年にHD DVDプレーヤー/レコーダを投入
東芝 執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社長の藤井美英氏は、HD DVDを取り巻く現状と、東芝の取り組みを解説した。ポニーキャニオンがHD DVD向けソフトを2005年に発売することを紹介し、コンテンツ業界の支持を得ている旨を紹介した。 藤井氏は、「国内のデジタル放送の普及やHDD/DVDレコーダの普及により、映像ライフスタイルが変化している。〝HDDにどんどん録画して、残したい映像だけをDVDに保存する”というスタイルが一般的になってきている」とし、次世代DVDに期待されることは「映画など“高品位なコンテンツのパッケージ配布”とHDD上で管理し番組をタイトル単位で保存する“アーカイブ”の2点になる」と説明した。
また、コンテンツ業界はDVDから次世代DVDへの緩やかな移行を求めており、「急速にHD DVDへの移行が進むとは考えていない。今後10年以上、DVDと次世代DVDが共存することが予測される」という。そのため、「現状のDVDビジネスを基盤に、コスト増を抑えることが重要となる。HD DVDではコンテンツ業界と共存しながら、既存の設備を生かしたリーズナブルな価格で展開できる」とし、HDコンテンツ向けの大容量と、現行DVDとの市場共存に対応できる互換性の高さをアピールした。 また、東芝では2005年中にHD DVDプレーヤー/レコーダを投入。「2005年度に発売予定のSEDテレビとあわせて夢と感動を提供していきたい」という。なお、レコーダはHDDとHD DVDのハイブリッドとなる見込みで、そのほかに再生専用機も用意する。価格については“企業秘密ということにさせていただきたい”とのこと。 ■ ポニーキャニオンがコンテンツ業界初のHD DVD参入表明 株式会社ポニーキャニオン 映像事業本部映像製作1部 大柳英樹部長は、「2005年のハードの発売にあわせてHD DVDのオリジナルコンテンツの発売準備を開始する」と市場参入を表明。8月に公開予定の映画「ムーンライト・ジェリー・フィッシュ」を紹介し、同作品や環境映像の「ヴァーチャル・トリップ」でHD DVDコンテンツを投入すること明らかにした。
ムーンライト・ジェリー・フィッシュは、藤原竜也主演の映画。バリカムによる全編ハイビジョン撮影のHDデジタルムービーとなっている。また、同社の環境映像レーベル「ヴァーチャル・トリップ」では、35mmフィルムからHDテレシネしたHD-D5マスターを利用し、大自然の風景を自然音と音楽でみせる環境映画「virtual trip THE MOVIE 地中の大自然 FASCINATING NATURE」を展開。さらにHD-CAM収録の「virtual trip HDシリーズ」も発売予定する。 virtual trip HDは、世界中の美しい風景/ユニーク風景を体感できるHD収録のディスクとなり、発売予定のタイトルは、virtual trip MALDIVES(モルディブ)/THE BEACH MALDIVES/MALDIVES diving vew/Great Barrier Reef diving view/FULL MOON on TOKYO/空撮 TOKYOなど。価格については、「従来のDVDとほぼ同等くらい。特典の充実などで若干高くなる程度」という。 大柳部長は、「われわれの最初の映像ソフトはオープンリールだったが、ハードの進化に合わせてソフトを作ってきている。ビデオでも覇権争いが繰り広げたが、残ったフォーマットはユーザーフレンドリーなものだった。“HD DVDとブルーレイのどちらが勝つのか”注目されているが、ユーザーにとってよりベターものが生き残るという状況となれば、われわれは歓迎する」と次世代ディスクへの期待を表明。 また、「作り手からは高画質への要求は非常に高い。高画質映像は大画面での視聴に適しており、新たな大画面映像文化が生まれると思う。HD DVDで、新しい可能性を探っていきたい」と抱負を語った。 ■ HD DVDでは著作権保護機能にAACSを採用
NEC 第一ストレージ事業部統括マネージャの早津亮一氏は、HD DVDの規格の動向を解説するとともに、ブルーレイとHD DVDの違いを中心に解説した。 早津氏は、「ブルーレイはHDTVの記録に主眼を置いた形式で、HD DVDはHD Video(ROMコンテンツ)に主眼を置いて開発をスタートしている」とし、両規格のポジションの違いを指摘。HD DVD-ROM規格におけるH.264やVC-9などの最新コーデックの採用や、現行DVDのディスク構造の踏襲などのHD DVDの特徴を紹介し、「SDからのスムーズでシームレスな移行」を目指したHD DVDのメリットを解説した。 また、既にROM規格が策定されており、スタンパ作成の技術を確立しているHD DVDのアドバンテージを紹介。著作権保護機能は、IBM、Intel、東芝、松下、ソニー、MS、ディズニー、ワーナーらによる「AACS(Advanced Access Content System)」を採用するという。AACSのスペックについては言及されなかった。なお、ブルーレイでもAACSの採用が予定されているという。
早津氏は、書換型の「HD DVD-ARW」やライトワンスの「HD DVD-R」、「HD DVD-File」などの規格化ロードマップも紹介し、規格化が順調に進んでいることを紹介。また、「次期DVDビデオ規格における、映像品質、製造コスト、コピープロテクションの全てのポイントでHD DVDがベスト」と述べ、ROMコンテンツ向けの媒体としてのHD DVDの魅力をアピールした。 なお、同社製のHD DVDドライブを利用したPC接続のHDコンテンツ出力デモも行なわれた。同社製のPC向けドライブの発売時期は2005年を見込んでおり、ノート向けのスリムドライブなどもその1年後には実現可能という。 ■ 「今のままではLongHornにBDROMはのらない」とMicrosoft
マイクロソフト株式会社の矢島利勇シニアエグゼクティブアドバイザーは、SD時代のDVDとHD時代のHD DVDの取り組みを比較しながら、ブルーレイとHD DVDの開発思想の違いを紹介。ブルーレイはは極端にアナログにこだわった技術で「技術開発志向。プラスチック/光技術志向」と表現、一方のHD DVDを「エレクトロニクス技術志向で、ビジネス指向」とまとめた。 また、違法コピーの拡大や各コンテンツフォルダの映画ライブラリのDVD化が一段落すると予想される2006年を転換点と予測。レコーダの普及やLCDやPDPの過剰供給、PCドライブの読み取り速度限界などがDVDのビジネスの頭打ちも2006年頃に見込まれるため、次世代フォーマットへの期待が高まるという。 一方で、「HD映像は32型以上のテレビでないとその価値がわかりにくく、原価アップの価格転化は難しい。“だからディスクを安くしてよ”というのがハリウッドの本音。(ブルーレイのように)新しい技術を作るのは楽しいでしょうが、ユーザーは映画を買うのであり、光ディスクを買うのではない。また、ユーザー体験としてSD放送がVHSからDVDに変わった時のような大きな変化を望めない」とし、HD化に伴うコストアップはユーザーに受け入れられないと解説した。 また、「ブルーレイもVC-9(WMV9)を採用すると聞いているし、(著作権保護機能として)AACSの採用も予定しているというので、だんだんと近づいているという印象はある。しかし現在のブルーレイは記録機で、ソフトを新たに供給するROMがまだ規格化されてない。(次世代OSの)LongHornではHD DVDはサポートできるが、このままだとブルーレイは搭載できない」と述べた。
■ HD DVDディスクの製造速度は3.5秒
メモリーテック株式会社の大塚正人 技術開発部長は、東芝と協力し、8月下旬からHD DVD再生用ディスクの製造ラインについての技術資料を公開すると発表した。 HD DVDの魅力については、8年間市場で実証されてきた安定した生産プロセスや品質管理が実現できるなど紹介。また、2年前よりDVDとHD DVD量産に兼用できる製造プロセス開発に着手しているが、DVDと共用できないLBR(Laser Beam Recorder)に対してモジュレータやレンズ、ビームパスを独自改良、HD DVD 1層/2層を満たすスタンパの安定製造に目処を立てたという。 また、約800枚のスタンパを実験製造し、スタンパの安定製造を確立した。5月にはつくば工場に2ラインのHD DVD/DVD共用製造ラインが完成し、稼動を開始した。なお、DVDとHD DVDの生産切り替えは約5分で行なえるという。 2層30GBディスクを3.5秒のサイクルタイムで実現(DVDは3秒)。歩留まりは93~95%という。8月には甲府工場でも2ラインのHD DVD/DVD製造ラインを立ち上げる。4ライン合計のHD DVD生産能力は280万枚(DVDは330万枚)。
また、HD DVDのオーサリング、エンコーディング技術のテストも進めているという。1,920×1,080ドットのHD映像ではほぼマスター画質で再生できるため、ノイズや色相ズレが顕著に確認できたしまう。そのため、カラーコレクションやフィルムスクラッチ除去などの技術も赤坂のスタジオでテストを進めているという、また、HTMLを使った拡張ナビゲーションのオーサリング環境などのテストも行ない、実用化への歩みを進めているという。 □東芝のホームページ (2004年7月26日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
|
|