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シャープ、2年連続で中間期最高記録を更新
-液晶テレビの大画面化が加速


佐治寛副社長

10月27日発表


 シャープの2004年度中間期決算は、売上高が前年同期比14.9%増の1兆2,570億円、営業利益は32.4%増の775億円、経常利益は37.3%増の717億円、当期純利益は40.7%増の393億円となり、「9月中間期決算としては、2年連続で売上高、利益とも過去最高を更新することになった」(シャープ・佐治寛副社長)という好決算となった。

 セット商品であるエレクトロニクス機器事業が、売上高で前年同期比10.4%増の7,829億円、営業利益で24.8%増の276億円、ICや液晶パネルなどの電子部品事業の売上高が、15.8%増の6,109億円、営業利益で41.9%増の513億円といずれも大幅な伸張を見せており、依然としてシャープの好調ぶりを見せ付ける内容となった。

 主要エレクトロニクス機器の売上高を見てみると、10インチ以上の液晶カラーテレビは、93.6%増の1,317億円、台数では金額と同じく1.9倍にあたる111万台の出荷実績となった。

 佐治副社長は、「同一サイズで比較すれば、前年同期に比べて約3割の価格下落があるが、30インチ以上の構成比率が台数ベースで国内25%、全世界でも20.4%となっており、ますます大型化が進んでいる。平均単価も5,000円ほど上昇している」と話す。

 昨年上期には、30インチ以上の構成比が11%(全世界)であったことと比較すると、一気に大画面化が進んでいることがわかる。

 8月1日に出荷したフラッグシップとなる45インチの液晶テレビも9月末までの2か月間で1万台を販売しており、上期の売上増に大きく貢献している。

 「40インチ以上はPDP、それ以下は液晶といわれていたが、40インチ以上でもPDPと互角に戦えると判断している。来年度には50インチ以上の製品を投入する予定であり、技術的課題も解決しつつある。年末商戦は45インチ、37インチなど大型製品を中心に事業を拡大していきたい」と、大画面化に重点ポイントを置いた事業戦略を推進する姿勢を見せた。

 今年上期の同社液晶テレビのサイズ別出荷比率は、30インチ以上が20%、22および26インチが14%、20インチが30%、15インチが16%、13インチが20%になっているという。

 同社では液晶テレビの通期の見通しについては、前年比72.6%増となる3,000億円を見込んでいるが、「台数に関しては、大型化の進展と、欧米市場での液晶テレビに対する需要がスローペースであることから、当初見込みの300万台を270万台に下方修正する」とした。

 国内は当初計画の120万台は「この数字はいける」(佐治副社長)として変更しないが、海外は180万台から150万台に修正した。

 「市場全体としても、750万台を見込んでいたが、700万台程度になるのではないか」と見ている。


■ パソコン用パネルの一部を亀山で生産?

 今後の同社の液晶テレビ事業で注目されるのが、大型液晶の主力生産拠点である亀山工場での取り組みだ。

 今年8月以降、日産900枚、月産2万7,000枚のバネル生産を可能としたが、来年春には、日産1,500枚、月産4万5,000枚の体制に拡充して、拡大する需要に対応する考え。 

 また、注目を集めている亀山第2工場の建設については、「年末までの市場動向や技術革新の動向を見ながら、来年早々には決定したい」と、これまでの発言を繰り返すに留まった。

 だが、パソコン用の液晶パネルをはじめとする中小型パネルの一部生産を亀山工場で行なう考えがあることを初めて明らかにした。


■ パソコン事業は下期に20%増を見込む?

 そのほか、パソコン事業は、上期が前年同期比19.0%減の210億円と2桁減となったものの、下期は新製品投入の効果などもあって前年同期比19.8%増の260億円という強気の見通しを想定。通期では、1.4%減の470億円にまで巻き返す計画だ。


■ 各部門で好調な決算に

 なお、上期の部門別実績は、液晶テレビを中心としたAV・通信機器事業の売上高が前年同期比15.3%増の4,614億円、営業利益が21.3%増の152億円、白物家電などの電化機器の売上高は0.5%減の1,098億円、営業利益は218.1%増の12億円、パソコンやPDAなどの情報機器の売上高は6.6%増の2,115億円、営業利益は21.0%増の1,115億円となった。

 また、電子部品関連では、IC事業が、フラッシュメモリの10~30%の価格下落の影響を受けて、売上高は1.0%減の1,148億円となったものの、CCDやCMOSイメージャなどがカメラ付携帯電話の好調ぶりに支えられ出荷が増加。営業利益は15.4%増の86億円となった。液晶は、出荷の6割を占める中小型のシステム液晶が大きく貢献。売上高は52.3%増の3,600億円、営業利益は59.7%増の298億円と大幅な増収増益となった。


■ 通期の上方修正には慎重な構え

 同社では、上期決算が予想を上回る好決算となったものの、「米国および中国経済の行方、原油価格の高止まりといった世界経済の不透明感もあり、最終製品の消費意欲に関しても減少する可能性があると見ておくべき」(佐治副社長)として、通期計画は当初のままとした。

 対前年伸び率で見ると、通期見通しは、売上高、営業利益、経常利益、当期利益のすべてにおいて、中間期実績を下回る数値となっていることから、極めて堅い計画を掲げているともいえるだろう。

□シャープのホームページ
http://www.sharp.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/kessan/h16_tyu/index.html

(2004年10月27日)

[Reported by 大河原克行]


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