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ソニー、第2四半期決算は7期ぶりの増益
-「PSPの戦略価格は、ソニーの勢いの象徴」


ソニー執行役副社長兼グループCSO&CFOの井原勝美氏

10月28日発表


 ソニーは28日、2004年度第2四半期(7~9月)の連結決算を発表した。売上高は、前年同期比5.3%減の1兆7,023億円、営業利益は30.6%増の434億円、経常利益は43.6%増の633億円、当期純利益は、61.6%増の532億円となった。

連結業績

 ソニー執行役副社長兼グループCSO&CFOの井原勝美氏は、「7期ぶりに増益をご報告できる」と切り出し、収益の改善ぶりをアピール。

 井原副社長によると、売上高は現地通貨ベースで換算すると前年同期比2%減、営業利益は62%増の結果になったとしており、「全世界において、デジタルカメラ、フラットパネルテレビ、米国において液晶リアプロジェクションが好調で、さらに半導体も好調に推移した。また、映画部門においては、スパイダーマン2が大ヒットし、映画ビジネスの営業損益が前年同期のマイナス46億円の赤字から、274億円の黒字へと320億円改善したこと、ソニー・エリクソンなどの合弁会社の業績が改善し、持分法投資損益で61億円の利益を計上したことなどが大きな要因」とした。

エレクトロニクス事業の業績

 分野別では、エレクトロニクス事業全体では、売上高が前年同期比2.5%減の1兆2,133億円、営業利益は83.4%減の72億円と減収減益となった。現地通貨ベースでは、売上高は前年同期比1%増になるという。

 減収の理由は、ブラウン管テレビ、携帯型オーディオの低迷が響いた点。iPodに先行されている携帯オーディオ分野は、HDDウォークマンを投入したものの、まだ大きな効果としては表れておらず、前年同期比264億円減の1,470億円。依然として携帯オーディオ分野のテコ入れは大きな課題となっていることを浮き彫りにした。

 また、価格の下落による売り上げ原価率の悪化、円高の影響に加えて、構造改革費用を前年の63億円から156億円へと増加させたこともエレクトロニクス分野の減益に響いた。しかし、年末商戦に向けては、「昨年は10月にテレビを発表し、11月にDVDレコーダーを発表し、いずれも商戦直前の発表だったために、投資した費用がうまく効果につながったとはいえなかった。だが、今年はテレビは8月に、DVDレコーダは9月に発表しており、第3四半期突入前に準備が整ったことからフルに勝負ができる」(湯原隆男執行役常務)と説明。

 また、「セット部門とデバイス部門との連携がうまく図られるようになり、フラットテレビにも当社ならではの差異化できる部分が増えた。パックライトパネルや薄いオーディオアンプなどの技術がそれで、魅力ある商品が揃った」(井原副社長)として、下期の巻き返しに意欲を見せている。

 パソコン事業に関しては、「期待をもって投入したものの、日本では期待には達しない実績になった」とする一方、「海外については、欧米ともに好調に推移した」(井原副社長)という。湯原執行役常務も、「海外250万台、国内120万台という当初の年度見通しは修正せず、国内も秋モデルによって下期の巻き返しに期待したい」と語った。なお、バイオは、通期見通しで前年比16%増の370万台を予定しており、ノートパソコンでは240万台、デスクトップパソコンは130万台の計画を掲げている。


■「PSPの価格は“ソニーの勢い”を象徴」

ゲーム事業は下期の巻き返しを狙う

 ゲーム事業に関しては、売上高は前年同期比25.8%減の1,196億円、営業利益は前年同期の22億円から利益ゼロとした。ハードウエアが日米欧で価格引下げ措置をとったことに加え、小型化した新型プレイステーション2への移行を控え、部品在庫の削減や従来機種の生産出荷を抑えたとこが減収減益につながっている。しかし、ソフトウェアは、第2四半期としては、過去最高の実績になったという。

 同社では、新プレイステーション2の発売によって下期に巻き返しを図る考えで、今年度1,400万台のプレイステーション2の出荷計画を1,450万台に上方修正。さらに、PS Oneも当初の100万台から250万台へと修正した。

 音楽事業に関しては、前年同期比41.5%減の584億円、営業利益は前年同期のマイナス59億円の赤字から22億円への黒字となった。今回の決算には、ソニーBMGの買収に伴い、ソニー・ミュージックエンタテインメントの音楽制作事業を新会社へ移管したことが影響している。なお、ソニーBMGが連結対象となるのは来年度以降になる見込みだ。ちなみに、ソニーBMGの8月および9月の売上高は7億3300万ドル、税引前損失はマイナス2,600万ドルの赤字となっている。

 増収を支えた映画事業は、売上高では前年同期比2.3%増の1,917億円とわずかな増加だが、営業利益は前年同期のマイナス46億円の赤字から274億円の黒字に転換した。スパイダーマン2の興行収入が好調であったほか、「Hellboy」、「13 Going on30」といったDVD/VHSソフトの売上が好調だったという。「前年同期には不振作もあったが、今年の第2四半期にはそれがなかったのも大きい」(井原副社長)としている。

ソニーBMGが連結対象となるのは来年度以降 映画事業では、スパイダーマン2の興行収入が大きく貢献

 なお、同社全体の中間期連結決算は、売上高が前年同期比2.5%減の3兆3,144億円、営業利益は6.6%増の531億円、経常利益は12.5%減の698億円、当期純利益は、124.6%増の764億円となった。

7月発表の見通しから、売上高を下方修正、経常利益と当期純利益を上方修正した

 一方、同社では、今年度の通期見通しを修正した。売上高は7月時点に発表した7兆5,500億円を7兆3,500億円へ下方修正。営業利益は1,600億円のままとしたものの、経常利益を1,600億円から1,700億円へ、当期純利益を1,000億円から1,100億円へそれぞれ上方修正した。

 井原副社長は、「ソニーは、この4か月間で大きく変化している。とくに、これまではカンパニー間の戦略がちぐはぐだったが、デバイスとセット、セットとセットといった部門間の連携が良くなってきている。バーチャルインテグレーションも実現しており、差異化した製品が投入できるようになってきた。ただ、この大きな変化が、まだエレクトロニクス事業の業績上昇という結果にはつながっていない。とくにテレビなどの分野が強くならないと回復感が出ない。しかし、昨日発表したPSPの価格は、戦略的価格として設定した。なかなかすぐには収益には結びつかないだろうが、ソニーのひとつの勢いとしてみてもらいたい」と語った。

 また、「ソニーのエレクトロニクス事業は、ファイナンシャルパフォーマンスの面からも見ても、がっかりしたという意見があるのはわかるし、私もそう思う部分もある。しかし、こうした指摘を噛み締めて、従来のようなビビットな商品や魅力ある商品、新しいカテゴリーを創出する企業へと変身しなければならない」と井原副社長は語った。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200410/04-054/
□関連記事
【7月28日】ソニー、第1四半期決算は最終利益が大幅増
-VAIO、ウォークマン、PSXが苦戦、携帯電話は好調
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040728/sony.htm

(2004年10月28日)

[Reported by 大河原克行]


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