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NECエレとモンタビスタ、Linuxプラットフォームで提携
-MontaVista Linux含めNECエレが一括して販売


左からNECエレクトロニクスの光岡誠治ソフトウエア開発推進室室長、モンタビスタソフトウエアジャパンの有馬仁志社長

11月1日発表


 NECエレクトロニクス株式会社モンタビスタソフトウェアジャパン株式会社は1日、MontaVista Linuxのプラットフォームに関する業務提携に合意したと発表した。これにより、NECエレクトロニクスは半導体のシステムLSIだけでなく、OSであるMontaVista Linuxやミドルウェアまでを一括して販売・サポートできるようになる。

提携内容

 従来、家電メーカーがNECエレクトロニクスのLSIとMontaVista Linuxを使ったデジタル家電や携帯電話、カーナビなどの製品を開発する場合、NECエレクトロニクスがシステムLSIやボードの販売・サポートを行なうと同時に、モンタビスタにLSP(Linux Support Package)の開発を委託。モンタビスタが各LSI用にカスタマイズしたLinuxをメーカーに販売・サポートしていた。

 今回の提携により、NECエレクトロニクスがMontaVista Linux Professional Edition/Consumer Electronics Edition/Carrier Grade Editionの各OSをプラットフォームとして採用すると同時に、従来モンタビスタが行なっていたMontaVista Linuxのサポートパッケージの開発も行なう。

 具体的には、NECエレクトロニクスはモンタビスタからLSP開発に必要なツールや技術情報の提供を受け、独自に開発したLSPにモンタビスタが認定を受なうというシステム。認定を受けたLSPは、モンタビスタから製品化される。また、NECエレクトロニクスはモンタビスタ製品の再販も行なう予定で、自社の半導体ユーザーに対して、直接MontaVista Linuxの販売、技術サポート、エンジニアリングサポートができるようになるとのこと。

メーカーは上層のサービスやコンテンツに開発力を多く投入できるようになる 提携内容を図式化したもの

 メーカー側のメリットは、従来モンタビスタとNECに分かれていたサポート面が、OSとミドルウェアまでを含めたプラットフォーム全体のサポートとしてシングルウインドウに統合されること。また、顧客対応が迅速化できるほか、技術提携により機能や性能の最適化がより図られ、NECエレクトロニクスのLSIの特徴を生かす機能実装が実現できるという。

ソフトウェアは肥大化する反面、開発期間は減っている

 提携に至った背景について、NECエレクトロニクスの光岡誠治ソフトウエア開発推進室室長は「携帯電話やデジタル家電、カーナビなどのアプリケーションリッチな機器では、内蔵するソフトの開発において、開発規模の肥大化と、開発期間の短縮化という2つの課題がある」と説明。同氏によれば、10万行以上という大型のプログラムがデジタル機器の30%以上に搭載されているが、その開発期間は1年未満が80%を占めているという。

 こうした現状を踏まえて光岡室長は「基本ソフトはメーカーにとっては非競争領域であるため、そこにかけるコストや時間は短縮できた方が良い。そこで、NECエレクトロニクスがプラットフォームとしてシステムLSIとOS、ミドルウェアなどをセットで提供することで、製品開発にかかるコストや時間を抑えられる。そして、メーカーは競争領域であるサービスやコンテンツ、アプリケーションの開発に注力できる」と説明した。

 また、提携の利点について光岡室長は、「コーポレートレベルの包括契約により、ライセンスの柔軟な利用と最適化が図れるほか、モンタビスタへ開発委託する費用から、NECエレクトロニクスが自社開発に切り替えることで、開発リソースの効率化も図れる」と答えた。

 さらに、モンタビスタソフトウエアジャパンの有馬仁志社長は「NECエレクトロニクスとは、モンタビスタの設立当初から様々な共同開発を行なってきたし、共通の顧客もいる。今までは半導体メーカーが半導体を、OSメーカーはOSを作るという図式で、新製品を作るたびに協業の契約を繰り返して効率が悪かった」と説明。

Liunxは、組み込みOS市場においてITRONに次ぐ2番目のシェアを持っている

 モンタビスタにとっての利点については「NECエレクトロニクスが持つ顧客に、MontaVista Linuxを販売できるというメリットがある。この提携はワールドワイドなもので、契約期間は1年間だが、毎年自動更新される」と説明。ただし、「両社にとって排他的な独占契約ではない」と付け加えた。

 さらに有馬氏は、Liunxが組み込みOS市場においてITRONに次ぐ2番目のシェアを確保していることや、そのシェアが着実に伸びていること、ITRONよりも、今後増加が予想される多機能なデジタル機器に向ているOSであることなどを説明。「Liunxはオープンソースなのでシステムの改変が容易で、新たな技術にも素早く対応できる。製品を開発する際の負荷は、ほかのOSと比べ、半分で済むという評判も寄せられている」と優位性をアピールした。

 なお、NECエレクトロニクスの林治一郎グループマネージャーは発表会後の質疑の中で、「NECのハイブリッドレコーダAX-10/20は既にMontaVista Linuxを採用している。今後もハイブリッドレコーダの多機能化は進むと予想されるため、“機能強化が容易に行なえる”OSが求められるだろう」と語り、NECの次期デジタルレコーダが発売されるなら、引き続きMontaVista Linuxが採用される可能性があることを示唆した。


□NECエレクトロニクスのホームページ
http://www.necel.com/index_j.html
□モンタビスタソフトウェア
http://www.montavista.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.necel.com/ja/news/archive/0411/0101.html
□関連記事
【2003年8月12日】MontaVista、家電用Linuxの団体「CE Linuxフォーラム」に加入
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030812/monta.htm
【2003年1月9日】MontaVista、家電向け組み込みLinuxプラットフォーム「CEE 3.0」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030109/monta.htm

(2004年11月1日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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