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東芝、FTTHを使ったDVDレコーダへの映像配信を開始
-TEPCO、パワードコムと共同展開。既存のRDシリーズでは対応不可


11月2日発表


 株式会社パワードコム株式会社東芝東京電力株式会社は2日、光ファイバーを使用し、東芝のハイブリッドレコーダに映像を配信するサービス「ひかり de DVD」のトライアルを開始すると発表した。モニター募集期間は11月2日から12月12日まで。募集人数は1,000人で、定員になり次第受付は終了となる。

トライアルのロードマップ

 トライアルサービスは12月1日から3月31日まで実施される。なお、モニターの対象者は「TEPCOひかり」関東サービスエリアの加入者、および加入予定者。また、モニターサービスを受けるためには、対応した東芝製ハイブリッドレコーダ「RD-X4TP」(73,290円)を「ひかり de DVD」の公式サイトから購入する必要がある(別途1,260円の送料が必要)。また、コンテンツの購入/レンタルにも個別の金額を支払う必要がある。ただし、モニターの参加費は無料。

 「ひかり de DVD」は、東京電力の光ファイバ接続サービス「TEPCOひかり」を利用して、対応するハイブリッドレコーダに直接映像を配信するというVODサービス。コンテンツを保存するパワードコムのデータセンターとTEPCOひかりのネットワークを直結し、インターネットを経由しないクローズドで安全、かつ高速な配信環境を構築したという。コンテンツは東芝、松下、IBM、インテルが加盟する策定団体4C Entityが8月に規格化したダウンロード用のCPRM「CPRM for Network Download」で保護されており、DVD-RAMに記録し、再生する。

 保存するメディアはトライアル開始の段階ではDVD-RAMのみで、CPRMに対応したDVD-RWやDVD-R、HDDにも保存はできない。また、ダウンロードしたコンテンツのムーブも不可となっている。コンテンツを試聴する際は「購入」と「レンタル」が選択でき、購入を選ぶと、記録したDVD-RAMメディアは何度でも再生が可能。レンタルの場合は24時間や72時間など再生可能な期間が価格ごとに決められており、決められた時間を経過すると同メディアは再生できなくなる。

 このシステムは、DVD-RAMメディアに割り当てられた固有のIDからユニークな暗号解読用の鍵を生成することで実現している。購入した際は暗号化されたコンテンツと解読用のタイトル鍵が両方メディアに保存され、何度でも再生できるほか、DVD-RAMの読み取りとCPRMに対応したDVDレコーダ/プレーヤーならば、他の機器でも再生が可能。レンタルを選んだ場合は、再生の度にコンテンツ配信サーバからタイトル鍵が送られるため、期限を過ぎると鍵が発行されず、再生できなくなる。また、レンタルの規約に違反するため、他の機器にメディアを挿入しても同コンテンツを再生することはできない。

PCでは著作権保護の面でコンテンツプロバイダの納得が得られ難いため、DVDの著作権保護で信頼性のあるハイブリッドレコーダを端末として採用したという システム構成。タイトル鍵の付与期間がレンタル期間となる トライアルでの各社の役割

 なお、コンテンツの記録に使用するDVD-RAMは、ダウンロードを開始する前に必ず初期化される。購入したコンテンツが既に記録されているメディアの場合、その内容も消えてしまうが、一度購入したコンテンツは何度でもダウンロードできるという。また、ダウンロード中の追いかけ再生にも対応。ダウンロード中を含め、再生は通常のDVDと同じように早送り、巻戻し、再生、一時停止も行なえる。

ひかり de DVDサービスへのアクセスは、クイックメニューから行なう。X4TPでは新たに「DVDBBサービス」というメニュー項目が追加されている 項目を選ぶとログイン画面が表示される。ここでIDとパスワードを入力する サービスのトップメニュー。左側がコンテンツのジャンル別メニューとなっている

ジャンルを選択するとコンテンツの一覧が表示される。デザインは「見るナビ」などと同じ。コンテンツの時間とファイルサイズ、レンタル料金などの情報が表示される。また、タイトル検索も可能となっている タイトルを選択すると詳細情報が表示される。ここでは購入/レンタルの価格も表示されている ダウンロード前には必ずDVD-RAMメディアが初期化される。また、一度購入したコンテンツはその後何度でもダウンロード可能

 トライアル期間中に提供されるコンテンツは、映画やアニメなど約300タイトル。コンテンツの収録時間やファイルサイズは内容によって様々だが、ファイルサイズの上限はDVD-RAMの片面に記録できる4.7GBに決まっており、映画などの2時間程度のコンテンツの場合ビットレートは2~4Mbps程度となる。映像フォーマットはMPEG-2で、音声はドルビーデジタル(ステレオ/5.1ch)、リニアPCMもサポート。映像サイズも16:9と4:3の両方に対応するほか、字幕や2カ国語にも対応でき「市販のDVDとほぼ同じものがネットワーク経由で手に入る」( 東芝)としている。なお、将来的には4.7GB以上のコンテンツを2層DVDディスクなどへ記録することも検討しているという。

 サービスの詳しい提供内容は下表の通り。

実施期間 2004年12月1日~2005年3月31日
タイトルジャンル 洋楽、邦楽、音楽、アニメ、テレビラマ、趣味・実用ほか
種別と価格
(2004年11月2日現在)
セル 980円~3,150円
レンタル 210円~420円
期間:24時間(当日)~168時間(7日間)
TEPCO ひかり
対応回線
ホームタイプ、SOHOタイプ、マンションVDSLプラン、マンションタイプイーサプラン
コンテンツ提供事業者
(計19社)
アール・アンド・シー、アルク、インターチャネル、オンリー・ハーツ、角川映画、ギャガ・コミュニケーションズ、グレートデン、ケービーエス京都プロジェクト、コアラブックス、時蔵、タイトー、2&4モータリング、ドキュメンタリージャパン、日本ヘラルド映画、ハピネット、バンダイチャンネル、BBB、ポニーキャニオン、ワーナーエンタテイメントジャパン

 対応レコーダのRD-X4TPの仕様は、ひかり de DVDの関連機能以外はRD-X4と同じ。電子番組表「DEPG」に対応したRD-X4EXとは異なる。また、ひかり de DVD以外の機能も通常のX4と同じように利用できるが拡張キットを購入しても、RD-X4TPをRD-X4EXにアップデートすることはできない。

RD-X4TP。ひかり de DVD以外の主な仕様は、端子類などを含めてX4と同じ。実際の商品にとはロゴマークなどが異なるという リモコンもRD-X4付属のものと同じ


■ 既存のRDシリーズは対象外

パワードコムの仲根滋社長兼CEO

 パワードコムの仲根滋社長兼CEOは挨拶の中で、同サービスが生まれたキッカケについて「2002年に東芝さんからやらないかと声をかけてもらった。爆発的に普及し、家庭の中で普通のものになりつつあるDVDレコーダと、究極のネットワークであるFTTHが組み合わさったことに大きな意味がある。在庫や欠品によるロスのない、新しい販売チャンネルとして素晴らしい流通システムになってくれるだろう。今後は操作性や利便性、画質や速度の問題などをモニターの皆様と検証し、より良いものにしていきたい」と抱負を語った。

 また、東芝デジタルメディアネットワーク社の山田尚志主席技監は、FTTHを使った動画配信端末にハイブリッドレコーダを選んだ理由について「今まで様々なネットワーク映像配信サービスが行なわれてきたが、専用端末を必要とするこれらのサービスはいずれも成功していない。そこで、普及したハイブリッドレコーダに直接ダウンロードしようという構想は以前から持っていた。今回東京電力、パワードコムと一緒にできることを喜ばしく思う」と挨拶した。

 しかし、山田氏はEthernet端子を備えた既存のRDシリーズで、同サービスが受けられる可能性について「ダウンロード時に使うバッファメモリの容量や、ファームウェアを書き込むメモリの容量などが足りないため、基本的に現行のRDシリーズでは対応できない。よって、対応するファームウェアを公開する予定もない」と発言。

 ただし、「今後の展開はトライアルで得た意見や情報などを検討してから決めたい」としながらも、「できるだけ多くの機器を対応させていきたい」とし、今後発表されるRDシリーズでひかり de DVDをサポートする可能性を示唆した。

東芝デジタルメディアネットワーク社の山田尚志主席技監

 また、同システムを使ったHDコンテンツの提供について山田氏は「HDに対応したエンコーダ/デコーダがある程度普及してからと思っているので、もちろん視野には入れているが、まだ2、3年はかかる」という見解を示し、地上デジタル放送のコンテンツを再送信する可能性については「今のところ考えていない」と否定した。

 なお、本サービスの開始時期や、その際の利用料金、事業規模などはすべて未定。仲根社長は「トライアルで得た生の声を3月末のトライアル終了までに整理し、今後の事業化のパラメーターを決めたい。事業規模はできるだけ大きく育てたいと思っており、本サービスも2005年度の事業化計画に入れたいと思っている。3月末までにもう一度報告の機会を持ちたい」と語るに留まった。

 また、全国展開の可能性や、パワードコム以外のISPの参入の可能性については「事業の展開をみながらフレキシブルに対応していきたい」(仲根社長)という。また、対応レコーダについても「大きな事業に成長した場合、東芝1社で対応できるとは考えていないので、仕様などを公開し、ほかの会社にも参加してもらいたいとは考えている」(山田氏)とした。

 ただし、配信ネットワークとしてADSLにもプラットフォームを拡大する可能性について質問が飛ぶと、仲根社長は「TEPCOひかり、FTTH一本で行く」と明言。「距離のハンデを背負うADSLでは、通信速度は1~2Mbpsがせいぜいで、動画配信には足りない。ただ、配信先の端末としてはハイブリッドレコーダにとらわれず、様々な機器を検討し、ユビキタス社会の実現を目指していきたい」とまとめた。


□東京電力のホームページ
http://www.tepco.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.tepco.co.jp/cc/press/04110201-j.html
□ひかり de DVDの公式サイト
http://www.hikari-de-dvd.com/
□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/
□パワードコムのホームページ
http://www.poweredcom.net/
□関連記事
【5月24日】パワードコムと東芝、DVDレコーダで直接録画できるコンテンツ配信実験
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/5337.html

(2004年11月2日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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