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【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
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ナカミチ販売株式会社は、同社のカーヘッドユニットとして初めてMP3/WMAファイルの再生に対応したCDレシーバ「CD-500」を12月1日に発売する。価格は102,900円。
同社のカーコンポーネントには、組み上げから調整、試聴までをチーフエンジニアの小林耕三常務取締役・技師長が担当する「K.Kobayashi Tuning」というカスタムブランドがあり、2003年10月には、ヘッドユニットの「TuningCD-700 II」(35万円)が限定100台で発売された。今回の「CD-500」はカスタムブランドモデルではないが、このK.Kobayashi TuningとCD-700 IIの設計思想を積極的に導入したモデルだという。
発表会で製品の説明を行なった小林常務は、同社がカーオーディオで目指す音の目標が「収録された音を忠実に再現し、アーティストのメッセージが見えるような“Visible Sound”である」と説明。それを実現するためには、「高度な技術力はもちろんだが、それを使うエンジニアが音楽のハートを知り尽くし、音楽をコアを伝えるためにはどのような技術、部品をチョイスしたらいいのか判断できることが重要だ」と語った。
CD-500はアンプを内蔵した1DINサイズのCDレシーバ。CDプレーヤー部、プリアンプ部、パワーアンプ部、FM/AMチューナの各セクションは、シャーシグランドとアンプの±入力をそれぞれ独立して設けたバランスアンプ結合方式を採用。小型の筐体に機器を内蔵することで発生する互いの回路への干渉やノイズ発生を防ぐという。 小林常務は「コストがかかるため、普通のカーオーディオでは徹底されないこうした部分をしっかり作ること。こうした思想は従来モデルから一貫してきた」と説明。同思想はCD部にも生かされており、トランスポート部や読み出し、信号処理用のRFやDSP回路は「デジタル系回路」としてそのほかのアナログ系回路から筐体内部で独立。単品コンポのCDトランスポートと同様に、S/PDIFインターフェイスを経由してアナログ系回路のDACへと入力される。 DACは24bit/96kHzをサポート。なお、CDドライブ部はCD-R/RWに収録したMP3/WMAファイルの読み込みもサポートしており、読み出された音楽データは一旦リニアPCMに変換され、音楽CDと同様にS/PDIFを通じて24bit/96kHzのDACで処理される。 小林常務は「馬鹿げた発想だと思われるかもしれないが、ナカミチのカーオーディオとして初めてMP3/WMAに対応する際、やるのならMP3/WMAの能力の限界まで発揮させようと考えた。一般的に圧縮オーディオはCDよりも音が悪いものと決め付けられているが、ナカミチには同じように“HiFiではない”と言われたカセットテープをHiFiに引き上げた実績がある」とし、圧縮音楽の音質にも自信を示した。
ほかにも、プリアンプ回路を大幅に見直し、電解コンデンサなどにハイエンド・ホームオーディオと同等のパーツを採用。チューナの一部を除き、安価なセラミックコンデンサを使わず、フィルム系のコンデンサを採用したという。また、電源部にはノイズの少ないプッシュプル方式のDC-DCコンバータを、ボリューム/バランス制御をマトリックス制御した可変抵抗素子1段のみで行ない、音質の劣化を抑えたという。
アンプ部の最大出力は45W×4ch(4Ω)。MP3の対応ビットレートは32~320kbps、WMAは64~192kbps。ファイル名とフォルダ名の表示をサポートする。出力端子は4chのプリアウト(RCA)と、ノンフェーダータイプのサブウーファ出力を用意。入力端子は同軸デジタルと、2系統のアナログ入力(内1系統はCDチェンジャー入力と兼用)を備えている。なお、CDチェンジャー入力は同軸デジタルでも行なえ、CD-500のDACを利用できる。
■「MP3が“使える”と認識を改める製品になる」
「会社で半田ごてを持って作業するというのは難しい立場だが、土日の趣味の時間なども使って製作に参加した」という小林常務は、今回の新モデルについて「音を良くするために必要なことを厳密に、妥協せずに行なった。CD700など、他社のカーオーディオとは一味違う音が出ると評価されてきたが、過去から新モデルに至るまで、この姿勢を貫き続けている」と説明。 さらに、MP3とWMAの再生に対応した点については「企画時に対応しようと決めたが、はっきりいって音には期待していなかった。完成したCD-500を3カ月自分の車に取り付けて試聴したが、MP3の音がまやかしではなく、本質をとらえた音で、聞き疲れもせず、非常に驚いた」とし、MP3/WMAの再生音にこだわって企画されたモデルではなく、音質を追及した副産物として圧縮音楽の高音質再生が可能になったことを説明。「“どうせCDばかり聴くことになるんだろうな”と思っていたが、2カ月が過ぎた頃にはMP3ばかり聴くようになっていた」という。
その理由について「データが失われてるのになんだか音が良いというのは納得できない。技術者なので理由を調べたが、CD-R/RWが通常の音楽CDと同じように回転しても、MP3ならば10分の1程度の時間で読み込みが完了し、あとはメモリに蓄えたデータを順次送り出している。このためスピーカーから出る音波の振動などがCDの駆動系に与える影響から逃れられるため、その利点が欠点を凌駕している。ミッドからハイエンドに至るまで、カーオーディオではMP3が主流になるかもしれない」との考えを披露。「CD-500は、購入したお客さんが“MP3がこんなに使えると知らなかった”と認識を改める機種になるのだろう」と締めくくった。 □ナカミチのホームページ
(2004年月日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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