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海外のTVをネット経由で視聴できる「MegaBox」
-STBは40GB HDD搭載でVODやWeb表示も可能


中央左がアトラスの猪狩茂社長、右がスーパーサットの嘉納行則社長
4月サービス開始

STB価格:オープンプライス

月額利用料金:945円


 株式会社スーパーサットは、株式会社アトラスと提携し、海外のテレビ番組などをインターネット経由でほぼリアルタイムに試聴できるという動画配信システム「MegaBox」を発表した。4月よりサービスを開始し、専用のブロードバンドコンテンツポータルサイト「MegaWorld」も開設する。

 STBの販売はアトラスが担当。一般ユーザーの獲得を目指すほか、コンテンツホルダーの募集や、STBのOEM販売などを実施する予定。STBの初期出荷は5万台で、2005年度中に20万台の出荷を目指すという。

 「MegaBox」と「MegaWorld」は、スーパーサットが開発した映像配信システム。専用のSTBとブロードバンド回線を接続するだけで、ISPやインフラを問わず、ビデオ・オン・デマンド(VOD)形式の動画配信や、Webサイトのブラウジング、電子メールの作成・送受信、ゲームなどがPCを使わずに利用できるという。操作は簡易キーボードを備えた赤外線リモコンを利用する。

STBをテレビと接続したところ。表示されているのはメインメニュー 専用STB「MegaBox(MB-1)」 メインメニュー

 最大の特徴は、海外のテレビ放送をブロードバンドを経由して、ほぼリアルタイムに視聴できること。具体的には、インターネット放映権のライセンス契約をスーパーサットと結んだ放送局の映像を、MPEG-4形式に変換。国内に設置した配信サーバを経由して約8秒遅れのリアルタイム放送として再送信している。

 各放送局との、インターネット放映権のライセンス契約はスーパーサットが担当。現在までにフランスの「ファッションTV」、中国の放送局10局、台湾の6局、ABCオーストラリア、韓国放送4局の計22局と契約したという。同社は今後「世界の音楽専門局やスポーツ専門局などの放送権を取得。一般番組も多く取り入れ、番組拡大と受信者数拡大の相乗効果を狙う」としている。

 配信帯域はコンテンツによって異なるが、800kbps~1Mbps程度を予定。フォーマットはテレビ再送信も含め、全てMPEG-4が採用されている。なお、専用STB「MegaBox(MB-1)」の価格はオープンプライスで、予想価格は39,800円前後の見込み。また、月額の基本利用料金として945円が別途必要となる。

 また、海外のテレビを視聴するためにはMegaWorld内で利用できる専用ポイントが1,500ポイント分必要。1ポイントは1円で購入可能。課金はクレジット、コンビニ、銀行振り込み、郵便振込みが利用できる。なお、STBには40GBのHDDも内蔵されているが、著作権の関係上、再送された放送はHDDに録画できない。

フランスの「ファッションTV」、中国の放送局10局、台湾の6局、ABCオーストラリア、韓国放送4局の計22局と契約している 契約しているチャンネルはニュースチャンネルが多い。目的の放送局を選択すると、8秒遅れでリアルタイム視聴が可能。全画面表示も行なえる

 海外テレビの再送信だけでなく、VODタイプのオンラインレンタルビデオサービスも実施。映画や環境ビデオ、成人向けなど、数百タイトルを用意する予定だという。価格は1タイトル100ポイント(100円)程度を想定しているが、タイトルによって異なる予定。

 配信形式はストリーミング形式と、HDDへのダウンロード型に対応でき、コンテンツによって異なる。また、レンタル方式で「3日か1週間経過すると、レンタルしたコンテンツがHDD上から自動的に削除される」などのシステムも実装している。なお、システム自体はマルチキャスト方式で配信を行なっているが、ユニキャスト方式にも対応しているという。

世界の名所を映像で収録した独自のVODコンテンツ「世界の風景」。コンテンツを購入すると、期限の定められたもの以外はいつでも再生できる

 さらに、専用ポイントで商品を購入できる通販番組や、カードゲームなどが遊べるコーナーを用意。また、Webブラウジング機能も搭載しており、MegaBoxのメインメニューから、インターネットの各種ポータルサイトやニュースサイト、天気用法サイト、生活情報サイトなどへのリンクが貼られている。

各メニューは細かくジャンル別されているが、ほとんどはニュースサイトや天気予報、ポータルサイトなどへのリンクで、現段階では独自コンテンツは少ない

 STBのOSにはWindows CE 5.0を使用。CPUはVIA C3の1GHzを採用。Ethernet端子に加え、コンポジット、S映像、アナログ音声出力を各1系統用意。さらに、マイク入力も備えており、カラオケコンテンツや、Windows Massengerのボイスチャット機能も利用できるという。ほかにもPS/2のマウスやキーボード端子、周辺機器が将来的に接続できるというUSB端子、プリンターポートやシリアルポートも備えている。

STBの背面端子部 付属のリモコンで全ての操作が行なえる OEM向けの供給を予定している次世代モデルMB-2


■ 放送と通信の融合を

スーパーサットの中田耕市プロジェクトリーダー

 スーパーサットの中田耕市プロジェクトリーダーは、PCを使わずにリモコンだけで操作できるMegaBoxについて「現在の日本ではブロードバンドが普及しているが、電子メールやWebブラウジング以外に有効に帯域を活用している事例は少ない。しかし、MegaBoxを使えば、PCが不要になることで、幅広い年齢層のユーザーに映像やゲームなどのサービスが楽しんでもらえる」と、魅力を説明。

 さらに、システム面のメリットとして「フォーマットにMPEG-4を採用したことで、サーバーや回線への負荷が軽減でき、インフラの初期費用が安くなる」などの点を挙げた。さらに、ID認証システムなどを使ってコンテンツの視聴に制限をかけられるシステムを紹介。今後は一般家庭だけでなく、ホテルなどへの業務用機器としても販売を行ない、同じホテルや会社などからしか観られないコンテンツを用意するなどの利用提案をしていくという。

アトラスの猪狩茂社長

 また、インターネット放送局が少ないコストで開設できる点も説明。「従来放送を行なっていない企業も手軽に放送が開始できる。また、放送法に抵触しないので、各国の常識を踏まえた形で、自由なコンテンツ制作・放送が行なえるだろう」と、今後の可能性を語った。

 また、アトラスの猪狩茂社長は「アトラスという会社は、プリクラで一世を風靡し、世間に知られるようになった。しかし、その次の製品がないという状態が続いていた。今後はこのMegaBoxに注力し、国内だけでなく、海外での展開も検討していきたい」と、展望を語った。

□アトラスのホームページ
http://www.atlus.co.jp/
□ニュースリリース(PDF)
http://www.atlus.co.jp/ir/press/pdf/press205_0411.pdf

(2005年4月11日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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