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株式会社フィリップス エレクトロニクス ジャパンは23日、コンシューマ市場向けの半導体ソリューション事業の戦略説明会を開催。HDDポータブルオーディオ向けのIC「PNX0106」を発表した。1万個ロット時の価格は12ドルとなっており、「このソリューションを使えば、1万円以下のHDDオーディオプレーヤーも実現できる」(同社)としている。サンプルとリファレンスボードの出荷は7月、量産出荷は10月を予定している。 PNX0106は、コスト面と消費電力に優れるというポータブルオーディオ/マルチメディアプレーヤー向けのソリューション。パッケージサイズは12×12×1mm(縦×横×厚さ)。132MHzの「ARM926 EJ-S」と24bitのオーディオ用DSP、ADC/DACなどを集積している。 インターフェイスとしてIDEをサポートし、HDDを接続可能。さらにCFカードもサポートするほか、SD/MMCカードやNAND、NOR、SRAM/SDRAMも接続可能。様々なメディアに保存した音楽・映像ファイルが再生できる。さらに、拡張用端子も備えており、Wi-Fi、Bluetooth、FMラジオなども追加できる。 音楽再生時の消費電力は60mWで、800mAhのバッテリを搭載した際の連続再生時間は45時間。PCとの接続用にはUSB 2.0(15Mbps)を搭載。ホスト機能もサポートしており、デジタルカメラなどからPCを使わずに静止画を転送してHDDにコピー可能。静止画表示も行なえるほか、簡易動画の再生もサポートしている。
OSはLinuxを採用。具体的な対応フォーマットは、音声がMP3/WMA/AAC/AAC+/AAC+Enhanced/OGG。さらにADPCM/MP3形式での録音も可能。audible.comのオーディオブックフォーマットもサポートする。 静止画はJPEGをサポート。動画はMotion JPEGと、176×144ドット/15fpsのMPEG-4、WMVの再生が可能。LCD出力用デバイスを2系統備えており、一方をモノクロ用として曲名やシステム表示に利用し、一方をカラーにして動画表示やジャケット表示に利用するといった使い方もできる。 ほかにも、外部ビデオエンコーダを接続すれば、テレビなどへの出力にも対応可能。また、JAVAプログラムのロードも可能で、携帯電話用に作成されたゲームを遊ぶこともできるという。
また、同Nexperiaブランドの新製品として、3月にリリースを開始したというポータブルビデオプレーヤー向けのチップ「PNX0190」も紹介された。映像はMPEG-1/2/4とDivX5、H.264、WMVの再生に対応。音声はMP3/DTS/ドルビーデジタル/AAC/WMAをサポート。JPEG/JPEG2000の静止画表示も行なえる。 また、録画機能も持っており、MPEG-2/4とH.263での録画が可能。音声はMP3/AAC/G.7xxで録音できる。リファレンスボードは3.5インチの320×240ドット液晶パネルを装備し、1.8インチの20GB HDDを搭載。720pの入出力をサポートしている。 802.11a/b/gの無線LANモジュールを内蔵しており、DLNAもサポート。メモリーカードスロットはメモリースティックとCFカード用のインターフェイスを装備。USBは2.0でホスト機能も内蔵。ホットスポットなどで、単体でインターネットアクセスでき、オンラインで映像や音楽が購入可能。NFCプリペイドカードでの支払いもサポートする。さらに、地上デジタル放送用チューナの接続にも対応するとしている。
■ 「HDDオーディオ市場には、日本メーカーの多くが参入するだろう」
半導体事業部のスコット・マークォート事業部長は、デジタルオーディオプレーヤーの市場規模について、「近いうちに1億台程度の大きな規模に育つだろう。その中でも、HDDを搭載したモデルが大きな割合を占めるのは間違いない」と予測。
さらに、「HDDプレーヤーの多くを占めるのはiPodだが、日本のメーカーも多く参入すると期待している。新製品のPNX0106はATRACへの対応も可能なのでソニーも販売先として見込まれる会社の1つ。松下はSDカードに対応している点、東芝はコスト面などで我が社の製品の利点をアピールできると考えている。また、シャープやサンヨーなど、そのほかの企業とも積極的に連携し、新製品のポテンシャルの高さを知ってもらいたい」と、今後の抱負を語った。
□フィリップスのホームページ
(2005年5月23日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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