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松下電器産業株式会社は、従来のトランスモジュレーション方式に加え、地上デジタル放送のパススルー方式にも対応したCATV用のセットトップボックス(STB)「TZ-DCH800」を7月に発売する。価格はオープンプライス。 CATVで地上デジタル放送波を再送信する方式には、地上デジタル放送の変調方式(OFDM:直交周波数分割多重)を変えずにそのまま送信する「パススルー方式」と、CATV局で受信したOFDMをCATVに適した変調方式(QAM)に再変調して伝送する「トランスモジュレーション方式」の2種類がある。 同社従来モデルではトランスモジュレーション方式のみサポートしていたが、TZ-DCH800では両方式をサポート。出荷時はパススルーに設定されているが、設置後でも両方式を切り替え可能。CATV業者のサービス形態に合わせて、柔軟に対応できる。 受信可能なデジタル放送は地上・BS・110度CSデジタルと、C-CASカードを使ったリマックス自主放送、i-HITS、JC-HITSもサポートする。また、10BASE-TのEthernet端子も備えており、「Tナビ」にも対応している。 さらに、EPGの表示順位や操作フローを改善。設定ウィザードを設けるなど、操作性や設置性も向上したという。また、NHK総合で実施中の緊急警報放送との連動機能を搭載。緊急放送を感知すると、Ir接続した警告ランプを点灯することができる。 映像出力はD3とS映像を各1系統用意。音声出力として光デジタル端子も備えている。外形寸法は280×292×570mm(幅×奥行き×高さ)。重量は1.7kg。リモコンや、Irシステムケーブルユニットなども付属する。
□ニュースリリース
■世界初のc.LINKモデム
また、9月に世界初のc.LINKモデムを発売する。親モデムの「TZ-CLM110」と子モデムの「TZ-CLM100」を用意し、価格はオープンプライス。 c.LINKとは、Entropic Communicationsが開発した宅内同軸ケーブル高速通信技術のことで、受動素子で接続された同軸ケーブル配線上で、最高250Mbpsという高速伝送を可能にするというもの。
現在のCATV網を使ったインターネット接続にはケーブルモデムが用いられているが、40Mbps以上の高速伝送は実現できていない。また、集合住宅内での高速通信には、構内電話線によるVDSLを使用するのが一般的だが、100Mbps以上を安定して伝送するには至っていない。 c.LINKは、既設の同軸ケーブルが利用できる技術のため、ケーブル内の空き周波数を使用し、従来の信号との共存が可能。具体的には局から集合住宅まで光ファイバーで接続(FTTB接続)し、構内では放送信号の分配に利用されている既設の共聴同軸ケーブル上にc.LINK信号を多重して各世帯と接続。別種のケーブルを集合住宅内に設置するコストが省けるほか、加入者宅にモデムを設置する際も複雑な設定が不要になるなどのメリットがある。
同社はこれにより、「アンテナコンセントのある全ての部屋で、テレビ放送、インターネット、IP電話の3種類のサービスを同軸ケーブル1本で提供できる。配線工事が容易で、部屋の美観も損ねない」と説明している。なお、物理速度は250Mbpsだが、PCとのインターフェイスは1000BASE-TXを利用するため、実行最高速度は130Mbps程度になるという。
また、c.LINKモデムの管理・制御をCATVが行なえる「c.LINKモデム管理システム」を実現。海賊版モデムの排除や、不正アクセス追跡用ログ記録などを備えるほか、サーバクライアント方式によるリモート監視への拡張性も備えているという。
□松下電器のホームページ
(2005年6月1日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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