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Apple Computerは4日、音楽配信サイト「iTunes Music Store(iTMS)」を日本国内でスタートした。オーディオ形式はAAC。サービス開始当初は15社と協力し、登録楽曲数は100万曲。
1曲あたりの販売価格は、90%の曲が150円、10%が200円。iTMSの独占販売コンテンツも用意。B'zの未発表曲を含む340曲デジタルボックスセット18,800円(一曲当たり55円)などが発売される。アルバム単位での購入も可能。楽曲数×150/200円のアルバムもあるが、各曲を購入するより、割安な価格設定のアルバムもある。アルバムの価格については「レーベルの意向を汲んで決定している」という。 決済方法はクレジットカード。さらに、プリペイド方式の「iTunes Music Card」も2,500円、5,000円、10,000円をラインナップし、ビックカメラや、ヨドバシカメラ、ソフマップ、ヤマダ電機、コジマ、Amazon.co.jp、AppleStoreなどで販売する。 基本的なサービスは、米国など他地域で展開しているiTMSと共通で、ムービークリップやカバーアートの配信も行なわれる。DRMは各国のiTMSと共通で、5台のパソコンまで利用可能、iPod、CD-Rへは無制限でコピーできる。また、毎週無料楽曲を配信するキャンペーンも実施する。
iTunes Music Storeは2003年4月28日に米国でサービス開始。ダウンロード販売楽曲数は、2004年3月に5,000万曲、7月に1億曲、2005年3月に3億曲、7月に5億曲を超え、世界最大の音楽配信サービスとなっている。 日本での展開については、法制度の問題や権利者間での調整などの問題を抱え、サービスの開始が遅れていたが、ついに日本市場でもサービスが始まった。発表会では、スティーブ・ジョブズCEOが登場し、iTMSや同社の日本市場戦略について解説した。
■ 「iPodはPSPの3倍売れている」
ジョブズCEOは、PC市場でのMacの好調な売れ行きや、最新OSのTiger(Mac OS X 10.4)、最新マウス「Mighty Mouse」の基本機能を紹介した後、「iPodの簡単なアップデート」について説明した。。 iPodの累積売上げ台数は2,000万台を超え、「前四半期の売上げ台数は600万台に達した」と紹介。その上でPSPについて言及し、「PSPも成功しているプレーヤーで、前四半期に200万台販売した。しかし、iPodはその3倍売れている。いかにiPodが成功したプレーヤーかがわかるだろう」とiPodの好調なセールスについてアピールした。
米国のデジタルオーディオプレーヤー市場のiPodのシェアは72%と圧倒的に高いが、「日本では成功し、トップシェアではあるがシェアは36%。ソニーやRio、iriverなどが続いている。まだまだシェアを高める余地がある。次に欲しいプレーヤーの調査では、74%がデジタルプレーヤーが欲しいと回答している」と、市場とiPodの今後の伸張を確信していると語った。 その理由として、多くの周辺機器により生み出される「iPodエコノミー」を挙げ、周辺機器の充実により、iPodの魅力が高められていることを説明。さらに、「車での利用もiPodには最適」と述べ、日産自動車、マツダ、ダイハツ工業の各社の日本国内向け2006年モデルのカーステレオがiPod対応となることを発表。「2006年にはiPodが利用できる車が、100万台以上出荷される」という。また、iPodの認知を高めるための交通広告などの事例についても紹介した。
■ 「20カ国目となる日本のiTMSは、日本のための日本製のサービス」
「本日の本題」として紹介されたのが、iTunes Music Store。「いままでに5億曲、一日150万曲を販売し、米国でのシェアは82%を超えている最大の音楽配信サービス。世界中で大きな現象となっている」と簡単に説明した後、「いままで、19カ国で展開してきたが、本日、20カ国目として日本で開始する」と述べると、会場からは一斉に拍手が起こった。 日本でのサービス開始にあたりジョブズCEOが強調したのは、「日本のために作られ、日本で作られた」(Made for Japan, Made in Japan)という点。日本での展開に当たり、専門チームを立ち上げて取り組んだという。また、「日本でのiTMSの立ち上げにより、iTMSはグローバルな音楽マーケットの85%をカバーする」とアピールした。
iTunesについては、「世界でベストなジュークボックスソフト。Music Storeも統合されている。PCとMacの双方で利用できるので、Windowsのベストアプリケーションという人もいる」と笑いを誘い、iTMSでは「100万曲をラインナップする」と述べると再び会場から大きな拍手が沸き起こった。 しかし、価格について「200円」と紹介されると、会場からは小さなどよめきと失望の声が漏れる。会場の反応を受けたジョブズ氏は「200円は10%の楽曲。残りの90%の楽曲は150円」と発表されると、会場は再び拍手に包まれた。 ジョブズ氏は、アルバムカバーやビデオクリップ、iMixなどのiTMS配信音楽の特徴や、オーディオブックや、Podcastingについてもアピールして、幅広いデジタルエンタテインメントプラットフォームとしてのiTMSを説明した。
Podcastには、InterFM、ソトコト、ラジオNIKKEIなどが参加し、日本語コンテンツを提供。オーディオブックの販売も行われ、「古今亭志ん生 塩原多助一代記」を再生してみたジョブズ氏は「これはコメディか? 」と観衆に問いかけて、笑いを誘った。 エクスクルーシブコンテンツとして紹介されたのは、B'zのデジタルボックスセットで、未発表楽曲を含む340曲を収録し、18,800円。ジョブズCEOは「一曲55円」とアピール。日本向けのコンテンツとしては、globeやウルフルズによるiTunesオリジナル曲や、Def Tech、CRAZY KEN BAND、Chara、LITTLE CREATURES、綾戸智絵らの楽曲もラインナップされる。 さらに、サム・クックやアニマルズ、ローリング・ストーンズなどの初期カタログを所有するAbkcoのカタログタイトルを全世界で提供することも明らかにした。これらの楽曲はiTMSのエクスクルーシブコンテンツとして展開される。 また、ローリング・ストーンズの最新アルバム「A Bigger Bang」の予約販売も行なう。新たにiTMSに追加されたPre-Order機能により、配信前に予約ができるほか、iTunes限定のボーナスビデオが付属する。
最後にジョブズ氏は、「今日の午後にもiTMSを試してみてください。きっと気に入ってくれるでしょう。iTMSとiPodの組み合わせで、日本における音楽体験は大きく変わり、新しいデジタル音楽の時代がやってきます。皆さんのフィードバックを楽しみにしています」と語り、イベントを締めくくった。
□米Appleのホームページ(英文) (2005年8月4日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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