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いよいよ日本でiTunes Music Store(iTMS)が開始されることになった。CEOであるスティーブ・ジョブズ氏に次ぎ、米アップルコンピュータのナンバー2を務めるフィリップ・シラー上席副社長は、本誌のインタビューに答え、「日本におけるiTMSの準備は100点満点。日本の顧客に対して満足のいくサービスが提供できる体制が十分整った」と、今回のサービス開始を自己評価した。iTMSの日本での勝算などについて聞いた。
■ 開始がここまで遅れた理由 大河原:いよいよ日本で、iTMSのサービスが開始されますね。サービス開始時点での体制および内容を、自己評価するとどうなりますか。シラー:準備には多くの社員が大変な努力をしてくれました。その成果に対しては、大変な満足をしています。楽曲にしても100万曲を超えるコンテンツが用意されていますし、日本の15社のメジャーな音楽会社から、人気の高い日本ローカルの楽曲を提供してもらえる体制が整った。iTMSで提供されるコンテンツ、サービスのローカライゼーションについても、うまく進んだと考えています。 ギフトカードの提供も、日本のリセラーとのパートナーシップによって、提供できる体制が整っています。日本にあわせたサービスが用意できたと、この点でも自負しています。100点満点がとても満足しているということであれば、iTMSそのものに対しては100点満点を与えられますし、今日の午前中のイベントでのスティーブ・ジョブズの講演内容や、BECKの演奏に対しても100点ということになりますね(笑)。
大河原:日本でのサービス開始にあたって、最もこだわったことはなんでしょうか。 シラー:日本でiTMSを開始するために、我々は高いゴールを設定しました。アップルにとって、日本は大変重要な市場ですし、音楽という点でも世界的に見逃せない市場になっています。多くの機能やサービスを揃え、多くのコンテンツを提供し、さらに価格もアグレッシブなもので提供できるようにしました。このすべての要素にこだわったといえます。
大河原:米国では2003年4月からサービスが開始されたにも関わらず、日本のサービス開始は、2年以上も遅れました。その理由はなんでしょうか。
シラー:一番時間がかかったのは、音楽会社との調整でした。これにはかなり労力を費やしました。日本の音楽業界と米国の音楽業界とは、音楽配信に関する認識が大きく異なったことも背景にはありました。
日本でサービスを開始するにあたり、多くの楽曲を用意しなくてはならない、それに付随するすばらしいサービスを用意しなくてはならない、そして、手頃な料金で提供できなくてはならない、こういった観点で話し合いを進めてきましたが、これに時間と労力を費やしたのが要因だといえます。 シラー:iTMSは、今日時点でも大変魅力のあるストアになっていると判断しています。iTMSで、音楽をサーチしていただくと、きっと、「おぉ、こんな音楽があるんだ」と、驚いていただけると思います。いま現在は、SMEの楽曲は加わっていませんが、引き続き話し合いを進めていますから、近い将来には、ぜひ参加してもらいたいと思っています。 ■ 日本での勝算は?
大河原:米国では一曲99セントでダウンロードできますが、日本では、90%の楽曲が150円、残りの10%が200円という料金設定。iTMSという観点で捉えた場合には、まだ日本での料金が高いような気がしますが。
シラー:私は、それほど高いとは思っていません。手頃な料金設定を実現することに関しては、大変な努力をして取り組んできましたし、米国と日本では、音楽の市場形態が違うという側面も考慮しなくてはなりません。
iTMSはナンバーワンのストアとして、様々な機能を提供しています。また、一番広範な形で個人の使用権を整えている。最も適切な料金で、最もお客にとって魅力的なサービスを提供しているのがiTMSだといえます。
シラー:欧米でiTMSのサービスをラウンチしてから、多くの企業がアップルに追随する形でサービスを開始しました。米国でも欧州でも、そして、日本でも同様に音楽有料配信サービスが開始されています。しかし、こうした競合サービスが増加するに従って、iTMSのシェアが伸びているのです。
他社のサービスも利用してみるが、最終的には、iTMSに戻ってくるという利用者が多いのです。その背景には、iTMSが常に先進的であり、ベストのサービスを提供していると判断されているからです。では、なぜ、iTMSがベストのサービスを提供できるのか。それは、音楽を愛している専任のチームが一生懸命になってサービスを強化しているからです。
日本でも、同様に専任のチームを構成しました。ですから、日本でもベストなサービスを提供できますし、それを提供してくれるのはiTMSであると、利用者が判断してくれるだろうと考えています。 シラー:具体的なビジネスゴールについてはいえませんが、欧米でのiTMSも、iPodも、当初設定したゴールを遙かに超える実績を記録しています。当初は、100万曲のダウンロードを目指したが、これも予想を超えました。1,000万曲も、1億曲も、5億曲も、予想を超えている。日本でも同じようなことが起こるはずです。 大河原:日本では、初期1カ月でどれぐらいのダウンロード数になるでしょうか。 シラー:いや、わかならないですね。それと、将来のことについてはコメントできないんですよ。繰り返しになりますが、我々の予想を上回ることを期待していますよ。 大河原:最後にシラー上席副社長のお勧めのiTMSの使い方を教えてください。
シラー:iTMSは、いろいろな楽しみ方を提供してくれますが、なかでも、いかに音楽を見つけだすかという点に様々な仕掛けがある。これがiTMSのポイントです。例えば、iTMSに用意されているiTunes Essentialの機能を利用するのもひとつの手です。
これはアーティストやジャンルごとに、iTMSが楽曲を用意し、そのなかから気になった楽曲を試聴したり、購入したりできる。また、iMixによる個人のお気に入り楽曲の紹介や、スタッフのお勧め楽曲の紹介といった数々の推奨情報がある。
さらに、フロントページにはトップ10の楽曲やアルバムが出ているので、みんなが何を買っているのかといった情報もわかる。私は、’70年代、’80年代のロックンロールが大好きなんですが、iTMSを利用して、いままで知らなかった音楽にも出会える。これがiTMSの最大の魅力ではないでしょうか。日本の利用者にも、これまでに体験したことがない、音楽の楽しみ方を味わって欲しいですね。
□米Appleのホームページ (2005年8月4日) [Reported by 大河原克行]
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