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社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)は、CATV事業者3社とCATVにおける著作物利用について争っていた2つの裁判で、知的財産高等裁判所第2部により権利者側の主張を全面的に認める判決を得たことを明らかにした。 1つの裁判はJASRACの許諾を得ずに、JASRACの管理著作物をCATVの自主放送やCS放送などで再送信していた事業者2社と、利用許諾契約は締結したが、使用料を支払わないCATV事業者に1社に対し、著作物の利用差し止めや損害賠償を求めていた。 CATVにおけるJASRACの許諾形態は、地上デジタル/アナログ、BSデジタル/アナログの再送信に関する「5団体契約」に加え、CS放送や音声ラジオ、自主放送に関しては別途JASRACと利用許諾契約を結ぶ必要がある。しかし、成田ケーブルテレビ、銚子テレビ放送の2社については、CSなどに関する利用許諾契約を結ばずに、CSの再送信や自主放送などを放送していたという。 もう1つは、JASRAC、日本脚本家連盟、芸能実演家団体協議会、日本シナリオ作家協会、日本文藝家協会の5団体が原告となり、上記3CATV事業者との間で締結したCATVによる地上波およびBS放送の同時再送信に関する契約(5団体契約)に基づく使用料の支払いを求めていた。 JASRACではCSでの再送信などに関して約9,100局の使用禁止楽曲リストを作成し、楽曲の停止を求めるとともに、損害賠償を請求。知財高裁では成田ケーブルテレビに約750万円、銚子テレビ放送に約86万円の支払いを命じた。また、利用料を支払いを怠った行田ケーブルテレビに関しては約292万円の支払いを命じた。 この2つの裁判の一審では東京地裁が「CS放送の再送信について5団体契約と別途JASRACの利用許諾を得る必要はない」、「5団体契約のうち芸団協に関する部分は錯誤により無効」と判決を下していたが、JASRACら権利者団体は、知財高裁に提訴していた。 今回の知財高裁判決では、一審判決を覆し、「自主放送やCS放送の再送信についても5団体契約とは別にJASRACの利用許諾を得る必要があること」、「5団体契約のうち、芸団協に関する部分についても瑕疵のない有効な契約であること」など、権利者側の主張を認め、請求を認容したという。 □JASRACのホームページ (2005年8月31日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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