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DVDフォーラム、「Japan Conference 2005」を開催
HD DVDの“リージョンコード撤廃”が濃厚
-「HD DVD-RR」は来春以降。「DVD-RAM2」も


10月6日発表


 DVDフォーラムは7日、「DVD Forum Japan Conference 2005」を開催。HD DVD/DVDの規格化作業や、今後のロードマップなどが解説された。


■ HD DVDのほか、DVD9でも新規格の動き

最近の規格化活動

 技術仕様の検討/策定を行なう「TCG(Technical Cordination Group)」バイスチェアでLenovo Japanの三和邦彦氏は、TCGの最近の活動を紹介。

 HD DVDについては、HD DVD-R/RWと、ハイブリッドディスクの「Twin Format disc」、8cm径のHD DVD-ROM 8cmの策定が完了。また、新たに、HD DVD-Rの基本構造を継承しながら、書換型とした「HD DVD-Re-recordable(HD DVD-RR)」の規格化開始についても紹介された。

 また、アプリケーションフォーマットについては、HD DVD-R VRのVer.1.0がTCGで承認、次回のSteering Committeeの承認を受け、規格化が完了する見込み。また、TCGのアドホックグループ「AH-019」では、HD DVDをベースにした中国国内向けディスクについての検討を進めるという。


中国向けのHD DVD関連フォーマットなどについても検討

 DVDについては、16倍速DVD-RAMや8倍速DVD-R DLの策定が終了したほか、DVD-RW DLも規格化作業を開始。また、プロ用のオーディオレコーディング規格「DVD-PAR(Professional Audio Recording)」もVer.0.9まで策定されているという。

 また、アドホックグループの「AH-018」では、CPRMを利用してダウンロードした映像をDVD-Videoフォーマットで録画する方式を検討。MPAA(米映画協会)やCSSのライセンスを行なう「4C」などの意向や、ビジネス状況を調査し、仕様策定を行なうという。



■ HD DVD-RRやHD DVD-Videoフォーマットも解説

NEC 山中氏

 HD DVDの物理規格については、NEC メディア情報研究所 山中豊主任研究員が解説。HD DVD-ROMのロードマップを紹介。既にROM/RW/Rの規格化は終了しているが、書換型については、新たに「HD DVD-RR」の規格化作業を開始している。

 HD DVD-RRについては、9月にSteering Committeeで開発承認。2006年春にVer.0.9発行を目指し、設計方針の検討や、テストディスクの評価、フォーマット作成を進めているという。

 HD DVD-RRと従来のHD DVD-RWの関係については、RWが「ランダムアクセス性やディフェクトマネジメントによるデータ記録の信頼性」などの長所があり、「DVD-RAMに近い」と紹介。HD DVD-RRは、HD DVD-Rに近いフォーマットとなり、「メディアコストの削減が可能」という。規格化開始の理由については、「メディアメーカーの要求が高かった」とした。


HD DVD物理規格のロードマップ 記録メディア規格の位置づけ。HD DVD-RRはDVD-RW、HD DVD-RWはDVD-RAMと似た特徴を持つ

 片面2層メディアでHD DVD 15GB/DVD 4.7GBの両フォーマットに対応する「Twin Format Disc」については、「どちらのプレーヤーでも再生可能でHD DVDとDVDを繋ぐブリッジメディアとして、HD DVDの新規市場導入時に有効」と紹介。2フォーマットを混在しながら、2層ROMディスクの製造ラインで、容易に量産できるという。

 1層目がDVD-ROM、2層目がHD DVD-ROMとなっており、赤色レーザーで読み込んだ際の反射率を8%以下と、通常の2層メディアより低く設定。1層目はDVD-ROM規格に準拠しているため、通常のDVDプレーヤーで読み込んだ際は1層のDVDとして認識される。

 ただし、まれにDVD 2層ディスクとして認識してしまい、正常に再生できない場合もあるという。テストしたDVDプレーヤーでは「500モデルのうち、1~2モデルで2層DVDと認識された」とのことで、ディスクへの注意書き記載をメーカーに呼びかけていくという。

 また、2層DVD/2層HD DVDの両面ディスクCombination DVD discも規定し、両面のハイブリッドディスクも実現できる。

 HD DVD-Rは2月にVer.1.0を発行しているが、2層メディア「HD DVD-R DL」の開発も進めており、Ver.1.9を9月に発行。正式版となるVer.2.0の年内策定に向け、試作ディスクのラウンドロビンテストや特性規定の確定などの作業を予定している。

東芝DM社 三村参事

 HD映像のアプリケーションフォーマットについては、東芝 デジタルメディアネットワーク社 コアテクノロジーセンター光ディスク開発部 参事 三村英紀氏が解説。

 HD DVD-Videoのアプリケーションフォーマットを策定するWG-1では、映画業界や音楽業界からの要求を取り入れ、DVDビデオ/オーディオの資産の継承に配慮。3つのクラスからなるコンテンツモデルを導入し、コンテンツオーナーが投入タイトルにあわせて選択できるようになる。


3種類のコンテンツタイプを用意

 コンテンツタイプは、Standard Content/Adavanced Content/Advanced Content with Networkの3タイプを用意。Standardは、従来のDVD-Videoとほぼ同等の再生機能を実現し、HDビデオ/オーディオコンテンツを収録できる。

 Advanced Contentは、Standardの機能に加え、メニューやテキストの高品位化、再生中のメニュー表示/選択、複数オーディオのサポートなどの機能が追加される。さらにAdvanced Content with Networkではネットワーク経由でのコンテンツ追加や、プレイリストダウンロードによる再生機能の更新などが可能となる。

 Advanced Content/Advanced Content with Network向けのナビゲーションデータとして「Advanced Navigation(ANAV)」を定義。インタラクティブ機能のために導入され、プレイリストやMarkup Language、Program Languageを導入。

 ディスクリリース後にも構成要素の変更/追加が可能とする機能で、同一ディスク上で複数のプレイリストを管理して、再生順を変更したり、新たなプレイリストをネットダウンロードして再生することができる。

 ネット経由のビデオストリーム再生も、同期やレイアウトなどの再生制御が行なわれるため、ディスク上のコンテンツと同期したストリーム再生なども可能。なお、ネットダウンロードに対応するため、HD DVDプレーヤーには、フラッシュメモリなどの格納領域(Persistent Storage)のサポートが必須となる。容量は128MB以上。

HD DVDビデオのコンテンツイメージ 3つのコンテンツタイプを用意する


■ HD DVDではリージョンコードが無くなる?

東芝DM社 山田尚志 首席技監

 東芝 上席常務待遇 デジタルメディアネットワーク社 山田尚志 首席技監は、HD DVDの著作権保護技術について、CSS導入時の苦労話を交えて解説した。

 注目されるのは、リージョンコードについてのHD DVDの対応。DVDでは、北米、日本/ヨーロッパ、南アジア、中南米、アジア/アフリカ、中国と世界の6地域に数字を割り当て、各地域で発売されるDVDタイトルとDVDプレーヤーに搭載。異なる地域間のプレーヤー/ディスクでは再生できなかった。

 「リージョンコントロールは、いろいろな意見を頂いた。Steering Committeeでも非常に評判が悪く、入れないということになった。たぶんHD DVDにはリージョンプレイバックコントロールは入らない」という。

 また、山田氏によれば、コピー制御についてのコンテンツ業界の考え方も変わってきているという。その要因として、DVDの売上げが2005年に入って停滞傾向に入ったことを挙げた。

 ヒット作が無いこともあるが、「月間300以上のタイトルが発売され、どこに欲しいタイトルがあるのかわからない。また、棚の確保も難しくなっている」という。そのため、「売れるタイトルだけ店頭に並べ、ほかのカタログタイトルは在庫を持たず、サーバーから配信という考えが、コンテンツホルダからも出てきている」という。

 AACSで導入される「Managed Copy」も、こうした意見を反映し、「セキュアなコピーを許容して、ネットワーク配信などにも対応するもの」。最終的な運用は決定していないが、例えば、「購入時にコピーの回数を申請して、そのコピー回数分の権利を購入し、ディスクをかけたときにサーバーにアクセスして認証する。その情報を元に、ホームサーバーなどにコピーする」といった応用が可能となる見込み。

 また、ディスクと同じHD映像の家庭内ネットワーク配信や、ポータブル機器向けのコンテンツ出力なども予定しているという。「まだ、正式に決まったわけではない」としながらも、「今までのように単純にコピーを禁止するだけでは無くなってきている。いかにして高いセキュリティを保ちながら、コピーを許すか、という考え方になってきた」と、著作権保護への取り組みの変化を紹介した。

 家庭内の映像配信については、「Localized DTCP」の活用が期待され、伝送遅延が7ms以下のIPネットワークをローカル環境と判断し、この範囲内であればIPでの映像伝送を許可するという。

 また、AACSではウォーターマークによる海賊版ディスク再生防止も規定。これは、映画館で撮影したビデオが海賊版として流出するのを防ぐもので、劇場用の音声にウォーターマークを入れる。デジタルデータとして取り込んだ場合、ウォーターマークを検出すると、信号検出時点で再生を停止するという。

 なお、AACSは、HD DVD-ROMのみならず、記録型のHD DVDでも採用予定。仕様の決定時期については10月末で、ライセンスも10月末より開始。暗号鍵の供給開始は11月末となる。

AACSの特徴


■ DVD-RW DLも規格化。16倍速DVD-RAMは「DVD-RAM2」に

 パイオニア研究開発本部 光ディスクシステム開発部 部長の谷口昭史氏は、DVD-R/RW DLの規格化状況を解説。

 DVD-RW DLについては、2005年末にドラフト版のVer.1.9発行、2006年のVer.2.0策定を目指し開発を進める。基本コンセプトは「DVD-R DLを踏襲しながらリライタブルに対応する」とし、「レーザー出力の強化など、若干の変更を加えるだけで、対応できるようにしたい」という。メディアは、8.54GBの12cmディスクと、2.66GBの8cmディスクを規定。記録速度は2倍速を基本スペックとしている。

 DVD-R DLについては、8倍速が9月に承認。次の目標は「12倍速を目指し、年内には作業に着手したい」という。

DVD-RW DLのターゲット仕様 Ver.1.9を2005年内に発行

6~16倍速のDVD-RAMメディアはClass0ドライブで記録できない

 DVD-RAMについては日立製作所 ユビキタスプラットフォーム開発研究所 DVD開発部担当部長の高橋正彦氏が解説。

 既に最高速度となる16倍速までの規格化が終了しているが、5倍速までの従来方式(Class 0)から、記録方式の変更(CLVからCAV)など大幅な変更を伴うため、今後発売予定の6~16倍速DVD-RAMディスクに従来のDVD-RAMドライブで書き込むことはできない。

 6~16倍速DVD-RAM(Class 1)では、基本となる記録速度を6倍速に設定。また、最高回転速度の制限なども規定された。従来製品との下位互換が無いことから、市場投入時には「DVD-RAM2」のロゴを規定し、エンドユーザーが判別可能とする予定。

□DVDフォーラムのホームページ
http://www.dvdforum.org/
□関連記事
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http://av.watch.impress.co.jp/docs/20051005/ceatec09.htm
【2004年10月7日】DVDフォーラム、「Japan Conference 2004」を開催
-Dual Layer DVD-Rなどを紹介。16倍速DVD-RAMはクラス変更で対応
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20041007/dvdf.htm

(2005年10月6日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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