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社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は17日、会長定例会見を行ない、東芝の取締役会長である岡村正会長が、「景気の回復基調などにより、電子機器の国内出荷は好調に推移しているが、販売価格下落などの厳しい状況により下半期も楽観視はできない」との見通しを示した。 ■ 地デジ対応機器は好調も、停波周知は不徹底 電子機器国内出荷では、液晶、プラズマ、DVDなどが2桁台の成長で牽引し、底堅く成長していると分析。特に地上デジタル対応機器出荷については、順調に推移すれば、12月末で累計800万台の達成が可能と予測している。成長が続く薄型テレビは、「価格の下落も指摘されるが、2011年のアナログ放送停波に向けてまだ序盤戦。需要のスタート時とはそうなるもの」と期待を示している。 一方、9月よりに行なわれている各社の中期決算では各企業で明暗が分かれていることについて、「在庫調整が進み、一部好調な分野も見受けられるが、エレクトロニクス全体が過去のピークを更新しているわけではない」と慎重な姿勢を見せた。 当面の事業課題としては、第一に地上デジタル対応機器の普及促進を掲げ、「NHKの予測では、12月1日開局の地域や、関東エリアの出力アップにより、今年末には視聴世帯数が全体の60%、2,840万世帯になると予測している。一方、国民にはアナログ放送停波が認知されていないのが現状。総務省やD-paとともに、製品に貼付するシールや店頭告知などで周知徹底したい」と述べた。 また、6月に行なわれるのサッカーW杯までに、地上デジタル対応危機の普及台数1,200万台、1,000万世帯という総務省の達成目標については、「台数目標の達成も必要だが、薄型、デジタルというテレビの利便性を認知してもらうことが先」とした。 ■ コピーワンス見直しに向け調整も 著作権保護のありかたに対する取り組みについては、「デジタル放送のコピーワンス運用については、著作権の保護と、自由に録画できるアナログの利便性を活かしつつ、コピーワンスの運用を見直すことが必要」とした上で、「協会内のコンテンツ保護検討委員会において、現行製品に影響を与えることなく、コピーワンスを見直す方向で放送事業者と調整する」との意向を示した。 さらに、私的録音・録画補償金制度についても改めて抜本的な見直しが必要としており、「制作者にも収入が保証される課金方式を技術レベルで確立させることが可能であると主張し続けたい」と述べた。 また、11日に行なわれた文化審議会著作権分科会法制問題小委員会において、HDD内蔵型オーディオ機器などへの課金が見送られたことについては、「協会の主張が受け入れられたものと考えており、今後も個々のハードウェアではなく、コンテンツを享受する側が対価を支払うことで、制作者の不利益にもならないことを提案したい」とした。 著作権保護問題に付随して、放送と通信の融合についても言及。「USENのGyaOなどブロードバンド放送が急速にユーザーを獲得していることを見ても、ブロードバンドが主要メディアとなることは想像に難くない。放送事業者も既得権に安住せず、新規ビジネスも含めて前向きに取り組むことが求められている」と述べ、「ネット配信の成長や、クリエイター育成のためにも、著作権保護には国際的なルール作りが必要」とした。 □JEITAのホームページ (2005年11月17日) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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