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Thomson、総額128億円でカノープスを買収
-プロビデオ市場を開拓。ブランドは継続


12月5日発表


ThomsonGlass Valley事業プレジデント マーク・バレンティン氏(左)、カノープス株式会社取締役会長 山田広司氏(右)

 仏Thomsonは5日、カノープス株式会社の取締役会長である山田広司氏と、その親族が保有する発行済み株式の33.3%を譲り受けることで合意したと発表した。内訳は50%が現金、50%がThomsonの保有株式となる。

 さらにThomsonは公開買い付け(TOB)を行ない、譲渡された株と合わせて77.87%以上を取得する予定。買い付けは12月6日より開始する。

 最終的にはカノープス株式を100%取得し、Thomsonの放送機器、ビデオカメラ、IPSTB、DSLモデム/ゲートウェイ、MP3プレーヤーなどを扱うシステム/装置部門「グラスバレー」事業に統合する予定。なお、カノープスは現在東証2部に上場しているが、Thomsonによる買収を受け、上場廃止となる見込み。

 株式譲渡と公開買い付けにより、カノープスの株式を全て取得した場合、取得総額は9,130万ユーロ(日本円で約128億円)となる見込み。なお、山田氏は現在、親族保有分と合わせて発行済み株式の約40%を保有している。

 公開買い付けは12月6日から2006年1月16日までの42日間を予定しており、カノープスの株式を1株当たり148,000円で買い付ける。これは12月2日までの30取引日の終値平均値123,900円に対し、ほぼ20%のプレミアムを付けた価格となる。買収後も山田会長ら現在の経営陣は、事業運営にあたる予定。


■ シナジー効果を見込んだ買収

 Thomsonグラスバレー事業プレジデントのマーク・バレンティン氏は、グラスバレー事業について説明した後、カノープスの買収目的について語った。

 グラスバレーでは、放送機器や、ビデオネットワークなどのソリューションを展開しているが、今回カノープスを買収することにより、放送用より安価な業務用、プロフェッショナルAV機器や、映像編集機器をグラスバレーのラインナップに融合させるという。

 今回の買収により、従来より力を入れていた放送用機器に加え、プロフェッショナルAV向けのソリューションの確立を図る。売上げ目標は2006年度が7,000万ユーロ、2008年度が1億ユーロ。

買収理由は製品群によるシナジー効果と企業文化 買収効果によりプロフェッショナルビデオ機器や、ProAV事業を拡大

 買収の理由については、「文化が近い」ことを第一条件に挙げ、山田会長の経営手法がグラスバレーに近いことや、これまでのカノープスとの関係から双方の企業文化が近いことが確認できたことを強調。さらに、技術面での相互補完性や、製品群や販売チャンネルの相互補完性、成長ビジョンの類似の共通点が多いことから、「戦略的に補完できる部分が多く、シナジー効果が見込める」という。また、「Thomsonの日本でのプレゼンスの大幅拡大も期待している」と語った。

 カノープスのブランドについては、グラスバレー部門の中で維持していく予定。また、買収後も引き続き山田会長がカノープスの経営を続けていく方針で、「山田さんの経営力を、カノープスの企業価値と考えている」と説明。「山田会長を迎えなくては、買収できないと思っていたが、会長の方から、株式取引のオファーを頂いた」という。


■ カノープスブランドの製品は市場で販売され続ける

 カノープスの山田広司会長は、今回の株式譲渡と買収に関して、事業面から説明。「Thomsonのチャネルを使ってカノープスのハイエンド製品を販売できる。特に海外での販売に期待している」という。

 また、HD対応などで増大する開発費の要求に応えられること、両社の製品ラインナップが近いことから、シナジー効果を見込めるなどのメリットを挙げ、「協力することで、ソリューションが最初から最後まで繋がる。そういう製品が両社にはたくさんある」とした。

カノープス側の戦略的意義 期待されるシナジー効果

 「カノープスの設立以来、最先端で、各事業分野で必ず一番になることを目指してきた。プロAVのハイアマから、エントリーのプロフェッショナルビデオではナンバーワンになった。しかし、システムがHDになり、より大きくなった今、強いパートナーと一緒に成長することが必要だ」と、Thomsonによる買収のメリットを語った。

 なお、カノープスが現在展開しているコンシューマ製品については、テレビキャプチャカードやエントリークラスのビデオ編集製品、編集ソフトなどを例に挙げ、「ビデオの技術を使った製品は引き続き、開発、販売を行なっていく。“カノープス”というブランドの製品が、これからも店舗や市場に流れ続けるのは間違いない(山田会長)」とした。ただし、「価格競争が厳しく、差別化が難しい製品などについては、今後検討を続けていく」という。

 同様にThomsonでもカノープスの流通や販売チャネルを活かした製品展開を検討するという。現在はThomsonのコンシューマ製品はほとんど日本市場で販売されていないが、「カノープスの紹介を受けながら、日本のビジネスを拡大し、今まで日本で知られていなかった製品の販売なども行ないたい。また、日本以外でもカノープスのチャネルを使って販売を拡大していきたい(マーク・バレンティン Glass Valley事業プレジデント)」とした。

□Thomsonのホームページ
http://www.thomson.net/EN/
□ニュースリリース
http://www.thomson.net/EN/Home/Press/Press+Details.htm?
PressReleaseID=2e3b8b1f-b565-46c0-a8bd-599c5de7c9ea

□カノープスのホームページ
http://www.canopus.co.jp/

(2005年12月5日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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