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松下電器産業株式会社は、PC用の内蔵型Blu-ray Discドライブ「LF-MB121JD」を6月10日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は10万円前後の見込み。対応OSはWindows 2000/XP/x64 Editionもサポートする。 パナソニック四国エレクトロニクス製のドライブを採用した、ATAPI接続の内蔵型BDドライブ。月産台数は1万台を予定している。BD-Rの1層(25GB)、2層(50GB)、BD-REの1層(25GB)、2層(50GB)の書き込みと、BD-ROMの読み込みに対応した。書き込み速度は1層、2層問わず、BD-R/RE 2倍速となる。 ただし、表記的には2倍速だが、BDの1倍速転送速度は4.5MB/s(36Mbps)で、DVDの1倍速である1.35MB/sよりも約3.2倍高速。搭載するPCなどによって異なるが、2倍速での書き込み時間は25GBメディアで90分、50GBで180分程度かかる見込み。なお、従来のカートリッジタイプのBDメディアはサポートしていない。 さらにDVDメディアの書き込み/読み込みもサポートしており、DVD±R 8倍速、DVD±R DL 4倍速、DVD+RW 8倍速、DVD-RW 6倍速、DVD-RAM 5倍速、CD-R 24倍速、CD-RW 16倍速で書き込みが可能。DVD-ROMは8倍速、CD-ROMは32倍速で読み込める。DVD-RAMのカートリッジメディアには非対応。
■ BD-ROM再生ソフトは同梱せず
ドライブとしてはBD-ROMの読み込みをサポートしているが、BD-ROMの映像ソフトを再生するための再生ソフトは付属していない。BDに対応している同梱ソフトはライティングソフトの「Power2Go 5」とバックアップソフトの「PowerBackup 2」のみ。 また、UDF1.5/2.0に加え、BDの標準フォーマットであるUDF2.5/2.6に対応した松下製のBD/DVDデバイスドライバも同梱。HDDのように、ファイルをドラッグ&ドロップするだけでBD-Rに書き込むこともできる。 ライティングソフトの「Power2Go 5」はBD-R/REだけでなく、DVD±R/RW、DVD-RAM、DVD±R DL、CD-R/RWの書き込みに対応。「PowerBackup 2」も同種のメディアへバックアップが手軽に行なえる。 いずれもデータ形式のみの書き出しで、BD-ROMソフトのようなメニューを作成するオーサリングソフトや、ビデオ形式でBD-R/REに書き出す機能は備えていない。そのため、LF-MB121JDの発売当初は、BD-R/REメディアをストレージデバイスとしてのみの利用することになる。 ほかにもDVD再生ソフトの「PowerDVD 6」、VR規格対応ソフト「DVD-MovieAlbumSE 4.1」、パケットライトソフト「InstantBurn 5」を同梱する。 なお、再生ソフトを同梱していないため、BD-ROMソフトの再生は行なえない。松下は「アップデータなどでの対応も検討しているが、現在のところは未定」としている。そのため、今回の製品の必要PCスペックはBD-ROMソフトの映像デコード処理は考慮しておらず、CPUはPentium 3 700MHz以上(1GHz以上推奨)、メモリは128MB以上とされている。
また、市販の映画など、著作権保護のかかったBD-ROMソフトを再生する場合には、再生ソフトだけでなくHDCP対応のグラフィックカードや、HDCP対応のDVI、もしくはHDMI端子を備えたディスプレイが必要となる見込みだが、現在のところこれらのアナウンスを行なう予定はないという。
さらに、BD対応オーサリングソフトに関しても未定。デジタル放送を録画したCPRMコンテンツのムーブの可否なども未定だが、ドライブ自体は「現時点でARIBやAACSが定める仕様をクリアしてる」(松下)としており、「ソフトウェアやビデオカードなど、ドライブ以外の対応状況によっては、将来的にそうした機能も実現できるかもしれない」と可能性を語った。
■ BD-R/REメディア4機種を4月28日に発売 同日にはBD-R/REメディアも発表された。どちらも1層(25GB)と2層(5GB)タイプを用意している。価格はいずれもオープンプライスで、店頭予想価格は下表の通り。月産枚数は5万枚で、メディアごとの生産枚数は流動的だが「初回の出荷ではだいたい、1層メディアは2層メディアの約3倍の数になる」という。
2倍速(最大72Mbps)二対応し、独自に開発したUV硬貨型樹脂材料とスピンコート工法により、安定した記録/再生を実現。追記型のBD-Rには有機色素ではなく、無機系の相変化記録膜を新規に開発しており、太陽光線による記録膜の劣化を防いでいる。さらに、スピンコート工法で傷を保護するハードコートもかけている。
■ ハーフハイトとスリムタイプの出荷も開始 さらに、パナソニック四国エレクトロニクスとパナソニック コミュニケーションズは、ハーフハイトタイプ「SW-5582」とノートPCなどに内蔵するスリムタイプのBDドライブも発表。PCメーカー向けに4月から出荷を開始する。 ハーフハイトタイプの書き込みソフト「LF-MB120JD」と共通で、BD-R/RE 2倍速書き込みに対応。スリムタイプはスロットタイプの「UJ-215」と、トレイタイプの「UJ-210」を用意。速度はBD-R/REが1/2層ともに1倍速、DVD-RAM 5倍速、DVD±R 8倍速、DVD-R DL 2倍速、DVD+R DL 2.4倍速、DVD-RW 4倍速、DVD+RW 8倍速。
■ 「BDの技術優位性は明確」
製品発表に先立ち、デジタルネットワーク・ソフトウェア技術担当の津賀一宏役員は「今回はドライブの発表だが、Blu-rayが技術面で不安がなく、ユーザーに安心して使ってもらえる製品だということを伝えたい」とし、フォーマットの概要について説明を行なった。
津賀氏は規格化状況の比較スライドを交えて「Blu-rayはR/RE/ROMの規格化が完了しているが、HD DVDはRの2層やRW規格が完了していない」と説明。さらにハリウッドスタジオのサポート状況は「Blu-rayでほぼ全ての映画が楽しめるが、HD DVDのみで楽しめる映画は12%のみ」などと解説した。
さらに、メディアのコスト面でも「確かに当初はメディアのコストも高かったが、技術開発を進め、量産体制を整えることで克服。本日の発表に至った」と語る。さらに大容量メディアの必要性や、AACS/BD+/BD-ROMマークの3階層による著作権保護技術の強固さなどをアピールした。 振動が問題となる車載用途への展開については「ディスクとピックアップレンズの距離が0.3mm(DVDは1mm)しかなく、ぶつかる危険性があるという指摘があるが、接近を検知してレンズを引っ込めて回避するシステムがあり、その接近検知時間がBDは0.8msと、DVDの3msと比べ大幅に速い」と説明した。
最後に、パナソニックマーケティング本部PCDグループの原昭一郎グループマネージャーがマーケティング戦略を解説。大容量の優位性をメインに訴求し、DVD次世代記録型DVDとしてPC市場に早期参入。「現在はPC用ドライブの世界市場で18%のシェアを持っているが、これをBDの投入で20%まで高めたい」とする。また、家庭用のBDプレーヤーについては「北米向けに9月の発売を予定しているが、国内の投入時期については未定。鋭意検討中」とした。
□松下電器のホームページ
(2006年4月21日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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