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米Tzero Technologiesは26日、UWB(Ultra Wide Band)を採用し、ハイビジョン映像のワイヤレス伝送にも対応した、家電向けのチップセット「Tzero TZ7000」を発表した。7月よりチップセットとMini PCI対応リファレンスデザインの出荷が開始され、日本での販売は加賀電子が行なう。 「Tzero TZ7000」は、テレビやDVDプレーヤーでのワイヤレス映像伝送が行なえるUWBチップセット。映像は「テレビ放送品質」を謳っており、伝送速度は最大480Mbps、パケットエラーレートは10-8(1/1億)。100Mbpsの通信を行ないながら、20m離れた場所からのハイビジョン映像のストリームを3本以上伝送できるという。さらに、2本のアンテナを用いて、システムゲインの調整にも対応する「UltraMIMO」の採用などにより広帯域化や干渉の除去を実現。通信周波数帯域は3.1~10.6GHzをサポートし、干渉やフェードの影響も防ぐとしている。 UWB規格の「WiMedia」に準拠。参画企業のソニーやSamsung、Philips、シャープが要求した仕様では、95~98%超の接続信頼性、MPEGパケットエラーが2時間で1回未満、干渉耐性では10mの距離でHDストリーム(保証通信速度は1本100Mbps)3本以上の伝送、設置の容易さが挙げられていたが、これらをクリアし、信頼性を99%以上、パケットエラーレートを2時間5分で1回、干渉耐性-10dB、データレートは480Mbpsで5m以上、106.7Mbpsで20m以上を実現。壁越しなど視界を越えても利用できるという。 チップセットは、物理レイヤー(PHY)とメディア・アクセス・コントロール(MAC)レイヤーを含む統合ベースバンド・ミックスドシグナルSoC(システム・オン・チップ)の「TZ7110」と、RFチップの「TZ7210」で構成。WindowsやLinuxなどのホストOSをサポートし、アンテナはシングル/マルチの両方に対応する。
利用ターゲットとしてはリビングなどのDVDレコーダやSTBから、離れた部屋のテレビで再生するシチュエーションをイメージしているほか、ポータブルプレーヤーやビデオカメラ、ノートPCとの接続によるモバイル連携用途や、PCケーブルの代替利用なども想定している。 デモとして、ノートPCを用いて、発表会場でスループット20Mbps/1080iの映像を室内で送受信。壁などの障害物をイメージし、受信側のアンテナ部を缶で覆っても問題なく再生されていた。
■ テレビ、DVDのワイヤレス化を重要視
CEOのマイケル・グレット氏は「家庭にあるテレビやDVDレコーダ、STBなどの機器をワイヤレスでつなぐという市場をコアビジネスとして最重要視している」としており、「WiMediaの推奨する性能の1,000万倍を誇り、市場の要求に十分応えている」と自信を見せた。 また、「動画の世界での大きな問題はフェードと干渉」とし、「広帯域化により、映像の分野で必要とされる、高い品質と設置性の両立を実現可能」と述べた。同社は2003年にWimedia参画企業が会談した当時から関わり、Wimediaの仕様を超える性能の実現に向けて開発を進めていたという。 販売ターゲットは「大手家電メーカー」としており、加賀電子との共同販売による日本市場向けと、輸出向けの両方を見込んでいる。 □Tzeroのホームページ(英文)
( 2006年6月26日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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