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福岡県警生活経済課と小郡署は4日、著作権者に無断で複製した映画やアニメなどの映像を、自らが運営するホームページ上でストリーミング配信していたとして、岐阜県各務原市の自営業男性(41歳)を著作権法違反の疑いで逮捕した。国内で、ストリーミング配信による著作権侵害行為が摘発されたのは今回が初の事例となる。 男性は、自らの営業事務所に設置するサーバーに洋画、邦画、アニメなど合計759作品の映像をホームページ「Streaming Station」を通じて募った会員に、月額980円で閲覧可能な状態にしていたという。会員数は40~70名の間で推移しており、売上額は約40万円とされている。 配信された作品のうち、2004年11月25日ごろから2005年8月3日まで、「機動戦士ガンダムI」、「ドラえもんのび太のワンニャン時空伝」、「ブラックジャックカルテVI 雪の夜ばなし、恋姫」、「半落ち」、「ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島」の5作品を公開していたことに対して、サンライズ、シンエイ動画、手塚プロダクション、東映、東映アニメーションの著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害した疑いが持たれていた。
5月31日には男性宅の家宅捜索が行なわれ、パソコン3台やDVDソフト、サイトの宣伝チラシなどが押収されている。 男性の供述では、複製された映像は、全てレンタル店から借りたDVDをコピーしたものであるという。ユーザーにはクレジット決済での会員登録を行なわせ、決済は海外企業を通じて米国ドルで行なっていた。 警察の調べによると、「Streaming Station」を男性が立ち上げたのは2004年6月ごろ。社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は同12月に会員各社から情報提供を受け、調査していた。また、有限責任中間法人日本動画協会(AJA)も権利者団体より情報提供を受け、調査を行ない侵害の事実を確認していたという。
最初に警告されたのは、2005年11月に日本国際映画著作権協会がサイトを発見した際で、その後も数回に渡り電話で本人に警告。2006年2月6日にはAJAから男性に対して著作権侵害行為をやめるよう書面で警告し、13日には男性から謝罪とサイトを消去した旨のFAXが送られたが、実際は新規会員募集のページを削除したのみで、会員向けの無断送信は継続していたという。また、ACCSでも2月17日よりサイトの問い合わせフォームを通じて警告していた。 さらに、2月末には同サイトに会員登録していた福岡県の男性から、違法ではないかという相談が福岡県警に持ち込まれたことから同県警が捜査を開始。県警からの連絡を受けたACCSではAJAと協力し、調査状況や警告などの情報提供を行なったほか、権利者による告訴意思の確認作業を進めていた。 ■ 「YouTube」での侵害には対応が追いついていない
ACCSは4日、AJAと共同で記者会見を開き、事件の経緯や両協会の姿勢などについて説明。ACCSの久保田裕専務理事は「今回の売上金額は40万円だが、これを放置すると情報に対価を払うという意識がなくなり、被害は無限に広まる恐れがある」とし、今回の摘発が意義深いものであるとコメント。 一方で、ユーザーがコンテンツを提供する形をとる「YouTube」にも、一部で著作権侵害が行なわれている件に関して久保田氏は、「アメリカでテレビ局などが削除要請するなど対処を行なっているが、ユーザーが次々と現れるため、対応が追いついていない」と認識しているという。 今後の対策として「違法性に対して認識の低い人には啓発するという形が必要だが、分かった上で行為に及ぶ犯罪者に対しては、法的手段で戦うしかない。肖像権や著作権などを含めた『情報モラル』という観点で、配信サイト運営者と共通認識を持つための活動を積極的に行なう」とした。 □ACCSのホームページ ( 2006年7月4日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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