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株式会社ガイナックスは11日、新作テレビアニメ「天元突破(てんげんとっぱ) グレンラガン」の制作発表会を開催した。2007年初頭の放送を予定しており、放送枠は夕方を予定。2クールの26話構成となる。 製作委員会には株式会社アニプレックス、株式会社コナミデジタルエンタテインメントも参加。アニプレックスがDVDなどのパッケージ化を予定。コナミはゲーム化、トイホビー、ブロードバンド展開などを予定している。
「天元突破 グレンラガン」は、新世紀エヴァンゲリオンから11年を経て「21世紀のロボットアニメの大本命」を目指し、ガイナックスが制作する新作アニメーション。「Re:キューティーハニー」で演出を務めた今石洋之氏が監督。同じく「Re:キューティーハニー」で脚本を担当した劇団☆新感線の中島かずき氏をメインライターに迎えている。 物語の舞台は未来の世界。地中の村ジーハでは、人間は穴の中に家を造り、家畜を飼い、地震に怯えながら何百年も暮らしていた。シモンは、村を広げるために横穴を掘ることが生き甲斐の少年。ある日彼はクリスタルのように輝くドリル「コアドリル」を見つける。 シモンの理解者カミナは、グレン団というチンピラグループを率いて、村の天井の上にある、地上に行こうと考えている。そんな折、天井が崩れ、巨大ロボが落ちてくるという大事件が発生。
だが、地上が本当に存在していたことに人々が驚く間もなく、ロボットは村を破壊し始める。どうすることもできない人々を救ったのは地上から来た謎の女ヨーコ。だが、彼女のライフルでは足止めしかできない。混乱の中、シモンがかつて地中から掘り出したロボットの存在が明らかになる。シモンは手にしたコアドリルに導かれるように、そのロボット・ラガンに乗って戦うことになるのだが……。
発表会では先行予告編が上映されたが、「フリクリ」などを連想する派手なアクションと、「Re:キューティーハニー」のようなスピード感あふれる怒濤の展開を垣間見ることができた。声優の名も伏せられているなど、まだまだ謎の多い作品だが、作品に対するスタッフの意気込みは非常に熱い。
■ 「ガンダムの拡大再生産をやめる」
ガイナックスの山賀博之社長は、今回の企画について「5年前から新しいロボットアニメの話が出ていた。SF的に考察すると必然性がないことなどから、アニメの数は増えたのに、ロボットアニメの数は減っている。そこで、もう一度アニメーション本来のドキドキ、ワクワク感が味わえるようなロボットアニメを作りたいと考えた」と語る。
だが、「ロボットアニメとなると、どうしてもガンダムの影響が大きく、ガンダムの下で物を作っているような、ガンダムの拡大再生産をやっているようになってしまう」という。そこから抜け出すために「ガンダムよりも原初的な部分に戻って、面白さやカッコよさを追求。“純然たるロボットアニメ”を目指したい」とした。ちなみに、タイトルの「天元突破」には「そうしたこれまでの世界を突き破って、僕らの新しい時代を作りたい」というメッセージが込められているという。
アニプレックスの取締役執行役員専務、夏目公一朗氏はグレンラガンを「11年目にして、エヴァンゲリオンから解き放たれた作品」と表現。「プロジェクトとして様々な展開を予定しており、成功させなければならない。そのために活動している真っ最中」と語り、親会社のソニーミュージックも参加し、旬のアーティストがオープニング/エンディングを担当することなどを明らかにした。
■ 「男はドリルでロボットだ」
発表会後半には、今石監督、脚本の中島かずき氏、キャラクターデザインの錦織敦史氏、メカデザインの吉成曜氏、プロデューサーの武田康廣氏と赤井孝美氏が登壇。さらに、ガイナックスの初期を支え、現在では「ローレライ」や「日本沈没」の監督で知られる樋口真嗣氏がゲストとして登場。「グレンラガン」に関してのトークショーを開催した。
今石監督は作品のテーマについて、「ドリルです」と説明。製作会議でも同様のことを言っていたとのことで、脚本の中島氏は「ドリルの一言から26話に膨らませた。監督の高いテンションを物語にして、最終的に風呂敷をたたむのが私の仕事」と苦笑い。中島氏は「そのおかげで、ロボットもドリルであり、人類史も宇宙史もドリルである!! という気になってきた」という。意味はよくわからないが、ロボットアニメに何よりも大切な“熱い想い”は伝わってくる。
監督はロボットアニメについて「言葉にするとショーもないので、映像化したという感じ。根底にあるのは面白いストーリーと、カッコいいアクションという原始的な要素。特色としては、いかに“男らしさ”を表現するか、“男はかくあるべき”というものを示したい。“ドリルは男である”という作品です」とのこと。 なお、巨大な顔の形をしたロボット・ラガン(裸顔)など、個性的なメカも気になるところ。メカデザインについて吉成氏は「ほとんどが監督のアイデアで、本当に奇抜なデザインが多い。私はそれをなぞるだけです」と笑う。その“奇抜度合い”については「間違いなく、誰も見たことがない映像になるでしょう」と語る。
「自分の作品の脚本を中島さんに頼んでいたのだけれど、“今石監督のアニメが遅れているので一カ月遅れる”と言われ、どうなっているんだと見にきたら、ゲストとしてここに座っていた」というのは樋口氏。「今石監督の絵にはきらめく才能と、新しさを感じ、昔から嫉妬していました」と評価。話の流れで樋口氏も、絵コンテで1、2本、作品に参加する約束をするなど、会場は大いに盛り上がった。
最後に中島氏は“アニメ界に風穴をあける”をテーマとした作品の意義について「現在のアニメ界は、自分達が好きなものを作っていったら、ある種の閉塞感につつまれてしまったという状況にある。そこを突き破りたいという思いも、裏テーマとして持ちながら制作している」と語った。
□ガイナックスのホームページ
(2006年7月11日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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