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三洋電機株式会社は、76cmで60インチの投写が可能な“超・短焦点プロジェクタ”「LP-XL40(S)」を10月より発売する。価格は522,900円。
小中学校の小規模な教室など、教育市場での利用に向けて、投映距離の短距離化や、使い勝手の改善を図った液晶プロジェクタ。新開発の「超・短焦点レンズ」を採用し、60インチを投写距離76cm、80インチを103cmで投写可能とした。103cmで80インチ投写は、「モバイル液晶プロジェクタで世界最短」という。 液晶パネルは0.6型/1,024×768ドットで、新開発の「超・短焦点レンズ」は、13枚構成で単焦点/手動フォーカス。F値はF1.8。投写画面サイズは60~80型(投写距離076~1.03m)で、「教育市場でのヒアリングの結果、黒板前のホワイトボード設置サイズは約60型で、1m程度の教卓上での投写を前提に最適な設計とした(AVカンパニー プロジェクタ統括ビジネスユニット商品企画部 平尾義周部長)」という。
レンズの最前面には、LP-Z4比で約1.8倍となる大口径の非球面プラスチックレンズを採用。同社のCADシミュレーション技術やレンズメーカーとの技術協力により、精度を上げ、大口径化、短焦点化を可能とした。なお、ズーム機構やレンズシフトなどは備えていない。
輝度は1,500ルーメン(ダイナミックモード)、コントラスト比は400:1、ランプは200W UHP。入力端子はアナログRGB(D-Sub15pin)×2、S映像×1、コンポジット×1、アナログ音声×2。アナログRGBは、変換ケーブルを介してコンポーネント入力に対応するほか、モニター出力にも切替可能となっている。 上下方向の台形補正機能や、最大16倍のデジタルズーム、黒板に投写可能な「黒板モード」、クールダウンを待たずに電源コードを抜ける「イージーオフ」などの機能を装備する。1W出力のモノラルスピーカーも内蔵する。 また、常設設置時の盗難防止機能として、「振動感知式オーディオアラーム」を搭載。電源OFF時に同機能をONにしておくと、振動を感知してアラームを発信、盗難を防止する仕組み。また、国内に先立ち英プロメシアンに7月より納入した製品では、同機能のほか、本体ボタンを省き、リモコン無しでは操作不能とするなど、学校設置時の盗難/転売対策を強化している。 消費電力は245W。外形寸法は320×292×148mm(幅×奥行き×高さ)、重量は3.3kg。リモコンが付属する。
■ 新“三洋丸”は楽習でシェア拡大
同社の野中ともよ会長は、同社の新ビジョン「Think GAIA」と、その推進について説明した。 「Think GAIAを策定して1年経ちました。一言で言うと、“生かされている存在としての自分たちを認識しよう”ということ。“いいことをしていく、電機メーカー”。それが新しい“三洋丸”が向かっている方向です」と、同社の基本戦略を説明。 続いて、「“それがなぜプロジェクタと関係ある?”と思われるかもしれません。Think GAIAは、環境に貢献し、クリーンエネルギー社会を創造し、愛のあるコミュニティ作りをしていこう、という、3つの大きな目標があります。そしての子供たちのために何ができるのか、その目標に向かってカンパニー間で連携していく形ができました」と、“子供たち”のための教育市場向けの製品であることを強調した。 野中会長は、新プロジェクタの特徴として「Edutainment(デュティンメント)」というキーワードを掲げ、「“学習”から“楽習”へ。楽をして学ぼうとい意味ではなく、“楽しく学ぶ=Edutainment”ことで、授業中の子供たちの集中力も増す」という。「ITの世界は、ICT(Information and Communication Technology)と呼ばれ始めている。ICTの導入により、生徒と生徒、生徒と教師などのコミュニケーションを深められ、理解も深まる」と説明。そのほかにも、MPEG-4ムービーカメラ「Xacti」を用いた映像制作や、オフィスやスポーツジム、コンサートホールなどでへの応用事例などを紹介し、新製品をアピールした。
また、同社AVカンパニー プロジェクタ統括ビジネスユニット 商品企画部 平尾義周 部長は、LP-XL40の特徴と製品戦略を説明した。 教育向けのプロジェクタはプロジェクタ市場の約35%の規模があり、今後も毎年約20%の拡大が見込めるという。そのうち「LP-XL40」がターゲットとする小/中/高校での整備台数は、学校数の4万校に対し、約6.8万台。1校あたり1.8台という普及率だが、ICTの導入の推進により、今後クラスに1台を見込むと、約46万台まで拡大するという。 学校向けプロジェクタ市場の拡大に向け、LP-XL40では、学校向けの要望を多く取り入れた。「一番後ろの席からもよく見える」、「教卓の上に置ける」、「先生や生徒の陰が気にならない」、「机の配置を変えずに使える」といったものがその代表例で、それらの要望を満たした製品に仕上げたと強調。現在は、教育市場で国内/海外ともに10%程度のシェアを「新製品の投入により20%まで引き上げたい」という。 今回の「超・短焦点レンズ」の導入により懸念される周辺の歪みや収差については、「従来製品と変わらない水準を実現できる」という。なお、ホームシアター向けなどでの展開は考えていない。
□三洋電機のホームページ ( 2006年7月18日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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