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社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)や社団法人日本レコード協会(RIAJ)など4団体と6放送事業者は25日、Winnyなどのファイル交換ソフトの利用実態調査結果を発表する報告会を開催した。現在の利用者はインターネットユーザーの3.5%、175万5,100人と推計されるという。 調査は、株式会社テレビ朝日、株式会社テレビ東京、株式会社東京放送、日本テレビ放送網株式会社、日本放送協会、株式会社フジテレビジョンの6放送事業者と、ACCS、RIAJ、社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)、日本国際映画著作権協会(JIMCA)が共同で6月13日~18日に実施。データには、ECサイトでの参加募集に応じた18,596名の回答を利用している。 ■ 音楽/映像の8割以上が不正利用
集計によると、インターネットユーザーの3.5%がファイル交換ソフトを現在利用しており、過去に利用したという8.6%を合わせると12.0%が利用経験を持つ。現在、過去のユーザーともに過去最高値となり、合計が10%を超えたのも2002年の調査開始以来初めて。利用者数は、2006年2月末のデータをまとめた「インターネット白書2006」(インプレスR&D)のインターネット利用者数推計(5,060万2,100人)をもとに推計すると、約608万1,700人となる。 利用したことがあるソフト種類では、「WinMX」(52.9%)と「Winny」(52.6%)がほぼ同率で、3位が「Limewire」(27.8%)となった。一方、主に利用するソフトという質問ではWinnyが33.3%(2005年は33.2%)、WinMXが24.5%(同54.8%)、Limewireが19.8%(2005年データなし)で、WinnyがWinMXを逆転している。 ファイル交換ソフトでダウンロードしたことがあるファイルのジャンルに関する問いでは、「現在利用者」、「過去利用者」ともに最も多いのが音楽関連で65.1%。続いて映像関連(59.1%)、ソフトウェア(15.2%)、写真・画像関連ファイル(13.5%)、文書関連ファイル(8.5%)となっている。現在利用者で見ると、女性は音楽関連が81.2%で最も多いのに対し、男性は映像関連が70.0%で音楽関連の65.5%をわずかに上回っている。 現在の利用者が過去1年間にダウンロードしたファイル数の平均は194。過去利用者がこれまでにダウンロードした数は115ファイルで、過去4回の調査に比べ「51ファイル以上」という回答が増加傾向にあるが、平均数では2005年を下回っている。 中でも、ダウンロードしたファイル数が最も多いのは「音楽関連」で平均87.1ファイル。「映像関連」が79.4ファイル、「写真・画像関連」が11.2ファイルで、上位3項目では2005年より減少した。音楽については、現在利用者の約3分の2が過去1年以内にダウンロードを行なっている。 ダウンロードされた映像ファイルで最も多いのが「アダルト」で43.6%。続いて「映画(洋画)」(36.7%)、「アニメ(映画・テレビ)」(28.6%)、「映画(邦画)」(28.0%)となっている。全てのジャンルにおいて、過去利用者に比べ現在利用者のダウンロード率が高い。 映像ファイルのダウンロードに使われたファイル交換ソフトではWinnyがトップ(32.4%)で、WinMX(23.8%)、Limewire(20.2%)が続く。一方、音楽ファイルでは1位がWinMX(28.7%)、2位Limewire(23.5%)、3位Winny(22.2%)となっている。 質問では、ダウンロードした具体的なファイル名を3つまで尋ねることで、交換されたファイルにおける著作権などの権利の有無に関しても調査。フリーウェアや著作権切れと思われるファイルなど、権利がないと推定されるものは、音楽で8.9%、映像で13.8%だったのに対し、権利対象と推定されるファイルがそれぞれ91.1%、86.2%となった。 ファイル共有ソフトによるアップロード経験に関しては、現在利用者の32.6%が経験ありと答え、2005年(35.5%)よりわずかに低下。共有をしたことがあるファイルのジャンルでは音楽関連が71.1%で最も多く、映像関連が51.1%、写真関連が10.5%。ファイル共有経験者の76.7%が、共有対象となるフォルダにファイルを入れており、平均ファイル数は160で、2005年の166よりわずかに減少。ファイルの種類では音楽が減少、映像が増加している。 ■ やめた人の「また利用したい」は過去最低 過去利用者がファイル交換ソフトの利用をやめた理由を尋ねた箇所では、最も多かったのが「セキュリティ・ウイルスなどが心配」の46.2%(2005年は30.5%)で、前回トップだった「著作権侵害の恐れがある」は26.4%(同31.3%)と比率を落とした。そのほかの回答では、「利用者が摘発されたという報道があった」が8.6%、「アーティストの不利益になる」が4.9%だった。 今後の利用意向については、過去利用者の5.6%が「また利用したい」、23.1%が「機会があれば利用したい」と回答。2005年はそれぞれ8.4%、31.5%で、大幅に減少し、過去最低の数値となっている。 ACCSでは、対策の1つとして、Winnyのネットワーク上にある著作権侵害ファイルを検索し、利用者のIPアドレスを特定する技術について 試験運用することを8日に発表。現在は検証作業中で、技術、法律面から運用を検討している。 久保田裕専務理事は、「技術と法律、啓発の3点でバランスが取れることが重要。セキュアなP2Pサービスを行なうビジネスを促進させるのも協会の役割であり、ユーザーの利便性も高まることでP2P技術も次のステップに移行するのでは」と述べた。 そのほか、動画共有サイト「YouTube」での権利侵害については、特定ファイルがアップロードされた際にYouTube側ですぐに削除が行なわれるように、あらかじめファイル名などのリストをまとめる、というJASRACが提案した対策について触れ、ACCSでも運用を検討するとコメントした。 □ACCSのホームページ ( 2006年7月25日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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