|
株式会社エフエム東京(TOKYO FM)とNTTコミュニケーションズ株式会社(NTT Com)は4日、NTT Comの「香り通信」技術を使用し、TOKYO FMのラジオ番組「Tapestry」の中で、音楽に合った香りもリスナーに届けられるというコーナー「香りセレクション」を10月2日より開始すると発表した。 このコーナーは、NTT Comの「香り通信」技術を利用したもの。「香り通信」とは、パソコンで制御できる香りの発生装置「アロマジュール」を使ったもので、インターネットなどから香りのプログラムをダウンロード。パソコン用の専用ソフトを利用してアロマジュールをUSB経由で制御し、プログラムに沿った香りを発生させるというもの。
アロマジュールには6種類の香料をセットでき、内部の電磁弁を細かく開閉させることで、1%刻みの香りの調合が可能。電磁開閉式で空気を送り込み、気化させることで熱を発生させずに芳香させるなどの特徴がある。自動予約動作もサポート。配布されたプログラムの利用だけでなく、ユーザーがオリジナルの香りを作成することもできる。
これまでは映画館などで試験的に利用されていた技術だが、NTT Comでは今年度の後半にかけてコンシューマ向け、および企業向けへの本格的なビジネス展開を予定。ニーズの把握や提案を行ない、ホテルや映画館、CDショップなどへ、プラットフォームとして導入するビジネスモデルの構築を予定している。
ラジオ番組への導入も、こうした取り組みの1つ。具体的には、ラジオ番組「Tapestry」(月~金曜日/8:30~10:55)の中に「香りセレクション」コーナーを新設。毎月番組が推薦するアーティストを決め、その音楽性や楽曲の印象に合わせた香りをブレンド。番組のWebサイト上でレシピのデータを公開。リスナーがダウンロードしてラジオを聴きながら香りも楽しめるというもの。スタジオでもその香りは漂っており、番組との連帯感も高まるという。 番組では、アロマジュールと香料の一式を、コーナー開始時に10台、以降は毎月1台ずつプレゼント。さらに、各アーティストのレシピであらかじめ作成した香りを小さなスプレー瓶に入れた「エア・フレッシュナー」をプレゼント。認知拡大や利用者増加へのキッカケとする。 なお、アロマジュール自体はNTT Comの直販サイト「CoDenモール」にて44,900円で販売されており、香料をセットにしたモデルも49,900円で提供している。ただし、Tapestryの中で使われる香料は特別なものを利用しており、CoDenモールで販売しているものではコーナーの香りは再現できない。あくまで番組のプログラムが利用できるのは、番組でプレゼントされた「アロマジュール+香料」のみとなる。なお、番組用の香料だけを単体発売する予定もあるという。 なお、TOKYO FMでは今後もプロデュースするアーティストのライヴ会場に、香り発生装置を設置するなどの展開を予定。「他の番組でもスタッフから要望があれば、香り通信を利用した番組が増えるかもしれない」(TOKYO FM編成制作局 池田雄一プロデューサー)とした。
■ 「ごきげんな社会を創造する」
NTT Comのネットビジネス事業本部 営業推進部で次世代コミュニケーションを担当しており、JAA認定アロマコーディネーターでもある濱田俊一課長代理は、「香り通信」を含めたNTT Comの「五感情報通信事業」について説明。「情報が溢れ、時間が足りず、自分の本当の気持ちがわからない人が増えている。ブログやBBSが盛んだが、文字だけのコミュニケーションで誤解が発生することも多々ある」とし、こうした現代を「コミュニケーションの機会が増えたのに“不機嫌な社会”」と表現。
そして「これまでの文字や映像のデータだけでなく、匂いなど、人間の五感で気持ちを伝える次世代コミュニケーションを作りたい。そうした技術を使えば、ごきげんな社会を創造できる」と説明。情報通信から「五感情報コミュニケーション」への進化を訴えた。
なお、アロマジュールの販売は既に行なわれているが、基本セットの価格が当初の73,500円から、49,900円に大幅に値下げされている。濱田氏は「コスト削減により実現できた価格。今後はより低価格で導入しやすいモデルや、著名なデザイナーなどにデザインを依頼し、インテリアの1つとして使えるようなモデルなど、様々な展開を検討している」と語る。
また、ラジオ番組「Tapestry」のパーソナリティーを務める栗原由佳さんも登場。「香りセレクション」を含めた番組への意気込みを語った。さらに、北海道日本ハムファイターズの岡島秀樹投手の夫人でもあるため、報道陣から「好調なファイターズに似合う香りは?」と質問が飛ぶと、「スポーツの時に集中力を高める香りもあると聞きますので、そんな香りを選びたいです」と笑った。
□TOKYO FMのホームページ
(2006年9月4日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
Copyright (c)2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|