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ハーマンインターナショナル株式会社は、JBLブランドの60周年記念モデルとしてハイエンドスピーカー「Project EVEREST DD66000」を発表。JBLの歴史を振り返るとともに、60周年を記念したパーティーも東京・帝国ホテルで開催した。
JBLという社名は、天才エンジニアとして知られるジェームス・B・ランシングのイニシャルに由来している。ランシング氏はMGMの依頼で劇場用スピーカー「シャラーホーンシステム」を制作して以降、同軸型の604や、ウーファーの515など、多くの名機を開発。
そして、業務用で培った技術を家庭用スピーカーに投入するため、'46年にJBLを設立。'50年代に家庭用スピーカー「ハーツフィールド」でTIME誌の表紙を飾り「ドリーム・スピーカー」と称され、ステレオ時代に対応する「パラゴン」など、「美しさと音質」を追求したシステムを発表。スタジオ用モニターにも参入し、同社の代名詞でもある4300シリーズなどを開発。「業務用で培った技術を家庭へ」というコンセプトを貫いている。
発表会では、Harman InternationalのExecutive Chairmanであるジーナ・ハーマンもメッセージを寄せ「60年の間には様々なことがあったが、音楽再生の追及と、そのための科学技術の探求など、根本は変わっていない。今回の新製品Project EVEREST DD66000は、私がハーマンに在籍している20年間で最も衝撃を受け、自らの仕事に誇りを持った製品。これがその名の通り“頂上”であると同時に、その次へと導いてくれるモデルだと確信している」と語った。
次いて登壇したJBLコンシューマープロダクツのポール・ベンテ社長は「Project EVEREST」という製品名にちなみ、来日前にエベレストの本を購入。山と共存するチベットの人々の生活を学び、DD66000のコンセプトとの類似性に気が付いたという。「DD66000は我々のダイイング・メッセージとも言っていい、命を掛けた製品。このスピーカーがエベレストと同じように、JBLの魂や情熱を皆様に伝えてくれると信じている」と製品をアピールした。
iPodの人気や、インターネットの音楽配信が活性化するに従って音楽サーバーとしての機能を持つようになったパソコンなどが話題となる反面、本格的なピュア・オーディオは元気が無いと言われている。こうした状況の中で、メーカーのメッセージが強く感じられるハイエンドスピーカーを発表したJBLを称える声が会場では多く聞かれた。 オーディオ評論家の菅野沖彦氏は「小型化や利便性の追求に流れてしまうのが電気製品の宿命でもある。そんな中で、JBLらしいサウンドを聞かせてくれたDD66000に感動した」と語る。 さらに、「ここに出席している江川三郎君も、僕と同じ73歳。雑誌Stereo Soundで、オーディオの良さを皆に伝えていこうと頑張った最初の10人の評論家仲間は、今はもう3人になってしまった。今後も技術は進歩するだろうが、それが人を幸せにすることが何よりも重要。だからこそ、これからはオーディオという趣味の素晴らしさを次の世代に伝え、発展させていかなければならない。そのための強い力の1つとして、JBLを感じている」と賛辞を送った。
□ハーマンのホームページ
(2006年9月8日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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