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松下電器産業株式会社は6日、プラズマテレビを中心とした北米事業のプレス向け説明会を開催。パナソニックノースアメリカの山田喜彦会長が同社の北米戦略を説明した。 山田会長は、「北米のテレビ市場が大きな変化を迎えている」とし、特に2009年2月に予定しているアナログ停波とデジタルへの移行を「非常に大きなビジネスチャンスととらえている」という。
「Panasonicのブランドは日本では存在感がある。一方、3年ほど前まではアメリカではテレビのブランドとして日本ほどの力が無く、シェアも10%に届かなかった。しかし、2004年頃から状況は変わりつある」と分析する。その理由として「技術が変わることにより、土俵も変わり、薄型化の波にテレビ事業が見事に乗った。以前とは比べものにならない存在感を獲得できた」とした 今後は特にプラズマに注力し、「さらなる大画面化」をテーマとする。「2000年頃には、50~60型はプロジェクションテレビの領域だった。PDPは2000年は37型、2004年頃には42型と、主力となるサイズが大型化している。現在は50型以上の伸びが大きい。先日発売した58型は、まさにプロジェクションを置き換えるものになる」と積極的な大型化で、プラズマテレビを推進していく。プラズマ市場における同社のシェアは「直近で40%強」としている。
また、2009年のデジタル移行は「数十年に一度の大きな変化。この時期に“強いブランド”を築く必要がある」と、ブランド力の強化に積極的に取り組んでいく姿勢を説明した。 「アメリカはオープンなマーケット。そのため例えばブランドだけ買って、そのロゴを使った製品が人気になることもありうる。ブランド力を強化し、“Panasonicだから、Panasonicの薄型テレビを買う”という信頼を得ることが必要。2009年はちょうどPanasonicブランドの50周年にあたるため、ここへ向けてブランドの信頼性を徹底的にあげていく。購入前、購入時、購入後の全てのタッチポイント(消費者との接点)で、単なる“イメージ”ではない、ブランドの“実力”をあげていく」と意気込みを語った。 具体例としては、NBCのスタジオに103型のプラズマテレビを世界で初めて納入した事例を挙げた。「本格的な販売開始は12月だが、9月のフットボールのシーズン開幕にあわせてスタジオを新規に作るために、是非導入したいということで、先行して導入した」という。 さらに、10月末からは全米主要12都市で「PDPツアー」を実施。Circuit CityやBESTBUYといった大手流通とも協力し、プラズマの優位性を訴求しているという。また、新聞広告でも「黒の再現性」、「動画応答性」などの優位性を積極的にアピールしている。
こうしたイメージの向上とともに、「ブランドの本当の実力」の向上についても積極的に取り組んでいる。一例としては、1年前には約4分30秒の待ち時間を要していたコールセンターの待ち時間を現在は20秒に短縮。コールの中断率も従来の30%弱から、2.1%まで低下し、「他社でこの時間を達成できているところはまずないだろう。日本の松下電器より早いのでは」とカスタマーサービスへの自信を見せた。 また、プラズマテレビ購入者向けの「プラズマ・コンシェルジュ・プログラム」も6月よりスタート。個人用ホームページの開設や、専用電話回線による電話待ち時間の短縮のほか、万一の故障時にも24時間以内の訪問サービスを提供。さらに、修理期間中の台替機の貸し出しなどの施策により「超お客様満足度を実現する」という。
実際の顧客満足度の数値も2005年12月の80%から、92%まで上昇しており、「地道な取り組みだが、イメージでなく実力としてのブランド力をあげる唯一の方法だ。お客様の信頼にどこまで応えられるか。期待を超えていくぐらいの気持ちで取り組んでいきます。足下のイメージは広告宣伝費を使えばいいが、本当の実力は漢方薬(地道な取り組み)で強化していく」とした。 WestinghouseやPolaroidなどの商標を購入して、ブランド展開を図るメーカーについては、「ブランド力はイメージだけではない。絶対に台湾とか中国のメーカーには負けない。ブランドには本当の実力が伴わなければならないが、こうした取り組みをできるメーカーは少ない。実力の差はまず埋まらない」と、Panasonicブランド強化への自信を語った。 □松下電器産業のホームページ ( 2006年12月6日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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