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【新製品レビュー】
高音質処理やビデオ出力、無線伝送対応のiPodドック
-便利なのか? クリエイティブ「Xdock」


4月下旬発売

標準価格:オープンプライス

直販価格:24,800円(Xdock)
      12,800円(X-Fi Wireless Receiver)


 iPodの成功により、「iPodエコノミー」と呼ばれる周辺機器市場も立ち上がった。各社から数多くのオーディオプレーヤー製品が登場しているが、周辺機器がよりどりみどりというのはiPodを除いて無いだろう。

Xdock

 サプライメーカーや文具メーカー、PC周辺機器メーカーなどが続々とこの市場に参入を果たしたことで、さらなる市場拡大をもたらしている。そうした中、Zenブランドを擁し、オーディオプレーヤーでは直接の競合となるクリエイティブもこのiPod周辺機器市場に参入した。

 第1弾としてはiPodスピーカー「PlayDock i500」、「TravelSound i」を投入。ただし、Zenシリーズ用のスピーカーをベースにしたもので、さほど新味はなかった。しかし、第2弾として投入された「Xdock」は非常にユニークな製品に仕上がっている。

 XdockはiPod用のクレードルの機能強化版のような製品だが、実売価格は24,800円とやや高価。iPodの充電やビデオ出力機能、独自の「X-Fi Crystalizer」による音質改善機能を備えている。さらに、オプションの「X-Fi Wireless Receiver(同12,800円)」を買い足すことで、iPod内の音声の無線伝送が可能となる。

 機能は豊富だが、いまひとつ利用イメージがわかないのも事実。XdockとWireless Recieverを試用して、その可能性を探ってみた。


■ 大きめのiPodクレードルに豊富な機能を搭載

Xdock。上部にiPod接続端子を装備

 同梱品はリモコンやiPod接続用アダプタ、ビデオケーブル、光デジタルケーブル、ACアダプタなど。ACアダプタはかなり大きく、正直あまり取り回しはよくない。各国タイプのプラグが同梱されているあたりはクリエイティブ製品らしい。

 本体天板の中央部にiPodコネクタを装備。対応iPodは、第4世代以降のiPodや、第1/2世代iPod nano、iPod miniなど。天板の前方左から、電源ボタン、再生/停止ボタン、バック/スキップボタン、ボリュームコントローラを装備。前面にはヘッドフォン出力(ステレオミニ)も備えている。

 背面には、S映像出力、コンポジット映像出力、オーディオ入力、アナログ音声/光デジタル音声出力兼用のミニジャック、USB端子を装備する。外形寸法は11.5×18.2×4.2cm(幅×奥行き×高さ)、重量は約360g。


電源ボタンや再生、停止ボタン、ボリュームコントローラを装備 前面にヘッドフォン出力(ステレオミニジャック)を装備する 背面。USBやS映像出力を備えている

 圧縮音源の失われた音を補間する「X-Fi Crystalizer」や、ステレオスピーカーやヘッドフォンで、バーチャルサラウンドが利用可能な「X-Fi CMSS-3D」も搭載。これらの機能は付属のリモコンから呼び出し可能となっている。

ACアダプタはかなり大きめ Xdockのリモコン

 iPodをクレードルに設置して電源を投入するだけで、リモコンからiPodの操作が可能となる。

電源を投入すると、ボリュームコントローラ部が青色に点灯する

 iPod再生機能は非常にシンプルで、楽曲の再生/停止と、スキップ/バック、早送り/戻し、ボリュームなどの基本操作に対応。iPodのシャッフル再生やリピート再生設定もリモコンから行なえる。

 また、iPodの楽曲やアルバムの検索検索も可能。リモコンのメニューボタンでiPodの上位階層へ戻れるほか、カーソルキーや決定キーを用いて、下の階層への移動が可能なため、アルバムやアーティスト間の移動などの操作が可能。再生操作から設定までiPodのほぼ全ての機能が利用可能となっている。

 なお、iPod用のビデオ出力機能も備えているが、iPod内のビデオ映像の出力のためで、iPodの操作画面をテレビやディスプレイに出力することはできない。

 無線機能については後述するとして、まずはXdockからの音声出力を試した。出力方法としてはアナログ音声出力し、アンプやアクティブスピーカーと接続する以外にも、光デジタル出力、ヘッドフォン出力の3種類が用意されている。

 まずは、デノンのAVアンプ「AVC-3890」にアナログ出力で接続した。iPodで聞く場合はさほど気にならないMP3やAACの圧縮も、聞きなれたオーディオセットで比較すると、やはり情報量の欠如が感じられる。そのため、Xdockでは独自の音質向上技術「X-Fi Crystalizer」を搭載している。

 CrystalizerはリモコンでON/OFF切り替えできるが、効果の調整機能は備えていない。ONにすると音像がくっきりし、情報量の向上が確認できる。シンバルや金管楽器などでは情報量に顕著な違いを感じる。楽曲にメリハリが出て、古い録音のクラシックやロックやジャズのライブ盤などで個々の楽器のニュアンスが浮き上がってくる。補正効果も強すぎず、違和感を感じることはあまり無かった。

 また、光デジタル音声出力も試したところ、AVアンプ側で「DTS」と検出された。Xdockの天板にDTS Interactiveのロゴが付いていることからもわかるように、iPodの音声信号をDTSにエンコードして出力しているためだ。そのため、アンプ側でのDTS対応が必須となる。

 今回試した限りでは、デジタル出力のほうが音質面のメリットはありそうだ。Crystalizerについてもアナログ出力時と同様にON/OFF切り替えが可能だ。

iPod内のビデオ映像の出力に対応。iPodのメニュー画面などは出力できない デジタル音声はDTSにエンコードして出力する

 ステレオミニジャックのヘッドフォン出力も装備。ヘッドフォンとアナログ/デジタル音声出力は排他仕様となっており、iPod再生中にXdockにヘッドフォンを挿すと、自動的に出力がヘッドフォンに切り替わる。ただし、iPod自体のヘッドフォン出力と、Xdockのアナログ/デジタル出力の同時利用は可能となっている。

 ヘッドフォンアンプとしても一応活用できるが、iPod自体のヘッドフォン出力と比較しても、音質面でのメリットはほとんどない。できればもう少しこだわったアンプを内蔵して、端子もステレオ標準にするなど、音質へのこだわりを見せてほしかった。なお、ヘッドフォン出力時でもCrystalizerを適用できる。

 バーチャルサラウンド機能のX-Fi CMSS-3Dは、アナログ出力時には「3D Virtual」、ヘッドフォン利用時には「3D Headphone」、光デジタル接続時には「3D Surround」と接続形態にあわせたサラウンドが楽しめる。デジタル出力時にはXdock内で5.1ch化してアンプなどに出力する。

 また、ライン入力も備えているため、iPod以外のプレーヤーでもCrystalizerを利用できる。また、ビデオ出力端子からのiPod内のビデオ再生も可能となっている。


■ レシーバの追加でワイヤレス伝送に対応

XdockとX-Fi Wireless Receiver

 また、Xdockと同時発売の「Xmod Wirelessシリーズ」の特徴として、2.4GHz帯の無線を利用したオーディオ伝送機能があげられる。Xdockの場合は、別売のX-Fi Wireless Receiver(実売12,800円)を組み合わせて、Xdock上のiPodや、Xdockに接続したプレーヤーの音楽を無線伝送できる。

 Xdockをトランスミッタとして、4台までのレシーバ(Wireless Receiver)の登録が行なえる。Wireless Receiverは、Xdockと同様に本体前面に電源、再生停止、スキップボタンを備えるほか、ボリュームコントローラを装備。また、アナログ音声出力×2(RCA×1、ステレオミニ×1)を備え、アンプやアクティブスピーカーなどと接続できる。

 追加するレシーバが1台のみの場合、使い方は非常にシンプル。XdockとReceiverの電源を入れて、Xdockのリモコンの「ブロードキャスト(BROADCAST)」ボタンを押す。すると、Xdockとレシーバのペアリングが行なわれ、Xdockとレシーバの双方で通信が成立する。通信距離は最長30m。


X-Fi Wireless Receiver 背面。アナログ音声出力とスピーカーなどを接続 X-Fi Wireless Receiver用リモコン

 あとは、Xdock、レシーバの双方のリモコンや本体ボタンから、iPodの再生/停止などの操作が行なえる。Xdockで音楽を再生しながら、ブロードキャストボタンを押すと、レシーバ側でも再生を開始。レシーバ側でも再生、停止やボリューム制御が行なえるようになる。

 音楽ソースはXdock側にしかないため、Xdock、レシーバとも同じ楽曲が同じタイミングで出力されることとなる。注意したいのはレシーバの操作。というのも、レシーバ側で一時停止を押すと、Xdock側も停止してしまうのだ。レシーバで受信を終了するときには電源をOFFにする必要がある。

 レシーバ側でもXdock上のiPodのほぼ全ての操作が行なえる。もっとも、レシーバを別室などに設置した場合は、iPodのディスプレイが見えないので、楽曲検索は実質的に不可能。再生/停止や、ボリュームなどの基本操作のみを利用するほうがいいだろう。なお、レシーバ側でCrystalizerのON/OFFも可能となっている。

 また、複数台のレシーバを登録する場合は、レシーバのCONNECTスイッチを利用してペアリング作業を行なう必要がある。ペアリングを行なったレシーバはXdockのリモコンの[ZONE]ボタンと、1から4までの数字ボタンを利用して、利用するレシーバを選択できる。複数台登録して、BROADCASTボタンを押すと、全レシーバーにXdockの音声を配信する。

 機能的にはユニークで面白いワイヤレス音楽伝送だが、便利か? と問われると、いまひとつニーズが想像できない。マルチルームでBGM的に音楽を鳴らしたい時などには、使える機能だが、日本の一般家庭であまりそういう需要があるとも思えないのだが……。


■ 機能は面白いが、便利な使い方がイメージできない

 iPod用ドックをベースにしたさまざまな機能が盛り込まれた意欲的な製品だ。ただし、価格が24,800円とiPodドックとしては高価。さらに、X-Fiによる音質改善や無線機能など、提案としてはユニークだが、いまひとつ中途半端な印象がのこる。

 たとえば、音質に徹底的にこだわったヘッドフォンアンプを内蔵するなど、iPod内の音楽をより高音質に聴くための機能を強化し、その付加機能として無線が付いている、という提案であれば、「まずは音質をアピールしたいのだな」と理解できる。だが、現状のXdockは、ビデオも無線もX-Fiもと、手広く機能を揃えているものの、音にこだわりたいのかワイヤレスの便利さを訴求したいのか、用途提案としてはうまく形になっていないように感じるのだ。

 機能はわかるのだが、これを導入することで、どう生活が豊かになるとか、そういったイメージが浮かばない。積極的に「使いたい」と思わせる利用提案などを期待したい。


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□ニュースリリース
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□関連記事
【4月13日】クリエイティブ、無線USBオーディオ「Xmod Wireless」
-無線対応可能なiPod用「Xdock」も発売
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-「X-Fi」搭載。ACアダプタで単体利用も可能
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【新製品レビュー バックナンバー】
http://av.watch.impress.co.jp/docs/backno/npback.htm

(2007年5月11日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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