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米ウォルト・ディズニー・スタジオズのホームビデオ部門ブエナビスタ・ワールドワイド・ホームエンターテイメント(BVWWHE)は、ウォルトディズニー・ホームエンターテイメントが発売する「PIRATES OF THE CARIBBEAN: THE CURSE OF THE BLACK PEARL(パイレーツ・オブ・カリビアン1)」、「PIRATES OF THE CARIBBEAN:DEAD MAN’S CHEST(同2)」のBlu-ray Disc版を発表。記者や映画制作関係者も招き、ハイランドコンプレックスのクラブで発表イベントを行なった。
Blu-ray Discにのみコンテンツを供給している映画スタジオの中では、ウォルト・ディズニー・スタジオズは、ソニーのグループ企業であるソニー・ピクチャーズを除くと、最もBDのパッケージ化に積極的な姿勢を見せている。日本での発売タイトル数や内容を見ても、その意気込みがわかるというものだろう。 なお、今回発表の2タイトルは、日本版は発表当初、映像はMPEG-2収録とアナウンスされていたが、米国版と同様にMPEG-4 AVCで収録されるなど、北米版とほぼ同じ内容での発売が予定されている。ただし、日本版本編ディスクには音声解説は収録していない。 パイレーツ・オブ・カリビアンシリーズは、言うまでもなく現在のディズニーコンテンツの中でも、もっとも売れる主力コンテンツ。パート2のDVDは昨年秋に発売されたにもかかわらず、昨年末までに2,200万枚というセールスを記録した。 そのBD版は、50GBの本編と、特典映像+インタラクティブ要素を収めたディスクに加え、日本版DVDに収録されていなかった特典映像を収録した25GBディスクが添付される2枚組の仕様となる。価格は34.99ドル。日本での発売日は5月23日で、価格は各4,935円。 本編ディスクの映像はすべて1080pのH.264 High-Profileで、Panasonic Hollywood Laboratory(PHL)がエンコードを担当。音声は24ビット/48kHzの非圧縮リニアPCMで収録される。従来、リニアPCM収録のタイトルは、いずれも16ビット収録だった。映画音声は24ビット/48kHzで制作されているため、マスターと全く同じ品質のオーディオが家庭でも楽しめることになる。
本編ディスクに収録されるインタラクティブ機能は、1の方が「Scoundrels of the Sea: Piecing Together the Treasured Past of Pirates」というもので、作中に登場する様々なキーエレメントを選んでいくと、関連する情報の映像を引き出せるというもの。2に収録されるのは「Liar’s Dice Game」で、こちらはダイスを使って数当てを行なうゲームになっている。 「Liar’s Dice Game」は、新たに本編と同じ海賊の俳優を使って撮り直したもので、膨大なカットを組み合わせた、昔懐かしいレーザーディスクゲームをアレンジしたような仕上がりになっている。 これらのインタラクティブ機能および、特典ディスクのナビゲーションなどは、すべてBD-Javaで開発されたもので、このプログラミングもPHLによるものだという。 ハリウッド映画のパッケージ化を単独のタイトルだけで盛大に開催することだけでも、最近では珍しいことだが、映像圧縮やJavaプログラミングを外注先であるPHLが担当していることがニュースリリースや発表で詳しく触れられており、こちらもディズニー系コンテンツに限っては過去に例がない。ディズニーはこれまで一度も、DVDのエンコード先を表向きには発表していなかった。発表会場では松下電器製のBlu-ray Discプレーヤーやプラズマディスプレイ(103インチモデルを含む)でデモが行なわれており、まるでディズニーと松下電器との共同発表会のようだった(実際にはBVWWHEの単独発表会)。
BVWWHEのボブ・チェイペック社長は「ふたつのタイトルは、いずれも印象的なインタラクティブ機能を実装し、映像パッケージソフトに新しいエンターテイメントの息吹を吹き込んだ。Javaによるインタラクティブプログラミング機能と、BDの大容量がもたらした新しい可能性だ」と話し、規格立ち上げ初期にシリーズのBD化を許可したジェリー・ブラッカイマー氏と、複雑なJavaプログラムと高画質な映像圧縮を実現したPHLに謝意を表明した。 BVWWHEがこれだけBDタイトルに積極的になるのは、彼らのメイン顧客である子供たちに、新しい楽しみ方を提供するためだ。子供たちは繰り返し同じ人気タイトルを見て楽しむ。そんな子供たちに対して、これまでも多くの特典映像を提供していたが、DVDでは機能面でも容量の面でも限界がある。大容量とJavaのプログラミング性を利用し、より積極的に顧客に+αのコンテンツ要素を楽しんでもらえるよう工夫したいとの想いがある。
今回、まだ再生機の普及がさほど進んでいない時期(北米での専用プレーヤは約5万台、これにプラスしてPLAYSTATION 3が100万台と言われている)に、過去もっともDVDが売れたタイトルをぶつけてきたのも、キラーコンテンツを続けざまに投入することで、自らBD再生機の普及を後押しし、コンテンツ供給を行なうためのインフラを整えようという意図がある。今年はナルニア国物語やカーズなどの昨年ヒットしたタイトルや、今年発売の新作など数多くのタイトルがBD化を控えている。 さて、実際の映像だが、会場の映像だけでは判断しにくい。というのも、少なくとも会場に置かれたプラズマディスプレイでは、圧縮歪みやノイズ感をほとんど感じることは無かったからだ。 本当の意味でのクオリティは別途レポートしたいが、特に“パイレーツ2”の方はキレるほどのシャープさと鮮鋭度で、空間周波数の高い深いディテールがあるにもかかわらず、その周辺に付帯するノイズやブロック歪みが見られない。パッと見ではあるが、それでも過去見た中でも最高品質のコンテンツであることは間違いなさそうだ。 なお、今回のコンテンツ制作に関わったPHLスタッフには、今週末にも別途、詳細な開発や圧縮に関する技術的背景、見所などをインタビューする予定である。 各タイトルの収録ボーナスマテリアルは以下のとおり
■ PIRATES OF THE CARIBBEAN: THE CURSE OF THE BLACK PEARL
□Buena Vista Home Entertainmentのホームページ(英文) ( 2007年5月16日 ) [Reported by 本田雅一]
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