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社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は25日、都内のホテルで会見を開き、秋草直之前会長(富士通会長)の任期満了に伴い、新会長としてシャープの会長である町田勝彦氏が就任することを発表した。シャープからの会長就任は初めて。
町田新会長は冒頭、秋草前会長による昨年度事業の功績の1つとして、減価償却制度の40年ぶりの抜本的な見直しを挙げ「当業界の国際競争力強化の観点からも、大変良い事。環境問題への取り組みも含め、業界のプレゼンスを高めてくれた」と評価した。 その上で、2007年度の事業計画の概要を説明。「安倍内閣が掲げるキーワードの中に“イノベーション”と“オープン”という言葉があるが、私もそれが重要だと考えている。また、“地上デジタル放送”も重要なキーワードの1つ」という。 具体的には、地球環境問題への取り組みを挙げる。町田会長は環境問題解決への鍵として、「制度論的なアプローチだけでなく、イノベーション(技術革新)も重要。日本は省エネ分野で、世界に冠たる技術を持っている。こうした技術を駆使して、環境問題に関しても重要な役割を果たせるはずだ」という。 そのためには、さらなる技術開発も必要になる。町田会長は「研究開発税制の改善や、情報基盤強化税制なども重要になるだろう。具体的な議論は年末からになると思うが、これまでの取り組みを継続しながら進めていきたい」とした。 「オープン」のキーワードには、「グローバルなビジネス展開」の意味を込める。「海外での売上げが増加するに従い、FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)、WTO(世界貿易機関)などが重要になってくる。JEITAとしては日米欧で対話を進めながら、各メーカーがオープンでフェアな活動ができるよう務めていきたい」と抱負を語る。 「地上デジタル放送」については、「社会的にも大変イノベーティブなこと。JEITAでは放送業界とも連携し、スムーズな移行を実現したい。アナログ停波に伴い、CRTテレビがどのくらいの規模で廃棄されるか、それをどう処理するかなど、問題は多い。最後の土壇場でドタバタしないよう、総務省とも協力して行こうと考えている」とした。
■ シャープらしい視点で業界を眺める
シャープからの代表は初ということもあり、「フレッシュな気持ちでやりたい」と語る町田会長。「私どもは関西の家電メーカーなので、これまでとは違った視点で業界を眺めることもあるかもしれない。何かそういう、違った切り口で、課題解決ができれば」と笑顔を見せる。 また、同社は液晶テレビの業績が好調なこともあり、薄型テレビのパネル関連への質問も相次いだ。5月中旬に、サムスン電子やLG電子など、パネル事業を手掛ける韓国メーカー4社が、特許の利用や研究開発などを韓国産業資源省と共同で進めていくことで合意したことについては「薄型テレビビジネスが大変厳しくなってきており、韓国勢の勢いは弱くなりはじめている。台湾から様々な部品を買って来ている韓国メーカーも多いため、“韓国内で協力していこう”という動きは当然起こってくるだろう」と分析。
その上で、「パネルの国際競争の波に洗われたメーカーとして、今後はパネルだけの問題ではなく、材料や製造装置が重要になってくると思う。そして、日本メーカーの強さの本質はこの部分にある」との見解を示す。「今後はパネルメーカーの競争から、装置/材料メーカーの競争に変わっていくだろう。そこに気をつけなければならない」とした。
また、会見終了後に記者団の質問に答えた町田会長は、同社が大阪府堺市に大型液晶テレビ向け液晶パネル工場の建設を予定しているという報道について、「具体的な決定は夏」という前置きを入れながらも、「地権者との話し合いなどはまだだが、ほぼ大阪で決まりと思っていただいて構わない」と語った。
□JEITAのホームページ
(2007年5月25日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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