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松下電器産業株式会社は27日、大阪市のホテルニューオータニ大阪で、第100回定時株主総会を開催した。 議長を務めた大坪文雄社長は冒頭、「第1回総会以来、100回目にあたる節目を迎えたことを、株主に対してお礼する」と述べた。 ビデオ映像を通じて行なった2006年度の事業報告では、過去最高の売上高を達成するなど、5期連続の増収増益を達成したこと、躍進21計画の最終年度の目標として掲げた営業利益率5%を達成したことを示した。 また、3カ年に渡る躍進21計画を通じて、総資産の圧縮、コスト削減などによる「軽くて速い経営の定着」、V商品などによる「事業の太い柱づくり」、松下電工との協業による「シナジー効果の創出」、自己株式取得や配当額の大幅増加による「株主重視の経営の実現」を達成したことを強調した。 また、大坪社長は、今後の見通しと取り組みに触れ、「原油および原材料価格の高騰といった不透明な状況や、新興市場の急拡大といったグローバル競争が続くなかで、今年度から構造改革の成果をベースに、本格的な成長段階へと移行する。グローバルエクセレンスへの挑戦権を獲得することを目指し、2009年度に売上高10兆円、ROE10%を目標とする中期経営計画『GP3計画』を策定。収益を伴った着実な成長を基本的な考え方とし、海外二桁増販、4つの戦略事業、継続的な選択と集中の3点に取り組む」としたほか、開発からサービスへ至るプロセスをすべて商品に帰結させる「モノづくり立社の実現」に向けた全社革新運動に取り組むことを示した。 また、尼崎のプラズマ第4工場が、計画を前倒しして、6月から生産を開始していることを示したほか、「第4工場に隣接する新工場を11月に着工し、2009年度に稼働することをすでに発表している。同工場では、42V型換算で月産100万台の体制を確立でき、なんとしてでも世界ナンバーワンを実現することを目指して、薄型テレビ事業に取り組んでいく」と、薄型テレビ事業の拡大に意欲を見せた。 また、品質問題に触れ、「安全、品質はすべてに優先するという考え方を徹底し、世界で最もモノづくりに優れた企業を目指す」とした。 ■ 質疑応答では、品質問題が中心に 会場からの質疑応答では、相次ぐ品質問題に関する質問が数多く飛んだ。 これに対して、まず大坪社長が、松下電器の品質に対する基本的な姿勢を回答。「昨今、消費者、株主の方にご心配をおかけていることを深く反省している。安全・品質確保は、企業として当然の責務である。全社的に徹底していく。基本的な姿勢として、ひとつには、商品を継続して使っていただくことで被害が出る可能性があると予測した場合には、未然に防止するため、社会に対して告知をする。2つめは、想定以上に長期間使用された場合、商品寿命を迎えるときに、いかに安全な形で寿命を迎えるか、それをどう商品づくりに反映し、根本的な商品づくりにつなげるかという取り組みを行なっている」とした。 また、大鶴英嗣取締役は、「品質に関しては、初期品質と長期使用に対する品質の2つがある。初期品質については良くなっているが、長期の使用に対する品質の面で、ご心配をおかけしている。これらは、10数年から20年という長期使用において、部品や部材が劣化した状況において発生するもの。耐用年数を過ぎた場合、機能上の故障よりも不安全の方が先に出てしまうという問題であり、寿命末期に、どう安全にライフサイクルを終わらせるかを考えている。当社では、安全問題に取り組む専門組織をドメインごとにも設置すること、技術規格や安全基準を設計からライフエンドまでを捉えた形に拡大強化すること、ライフエンドにおいて安全に使命を果たすための設計回路を導入すること、さらに、安全を作り込むという社内の安全文化の向上にも取り組んでいく」とした。 FF式石油暖房機の回収については、FF市場対策本部担当の大鶴取締役が回答。「FF式石油暖房機の解消については、大変ご心配、ご迷惑をおかけしており、お詫びする。5月末時点で、10万7,308台を確認し、対応している。出荷数量全体の70.5%に達しているが、まだ3割残っており、引き続き、緊張感を持ちながら対策をとっていく」とした。 また、5月に謹告として発表した冷蔵庫、乾燥機、電子レンジの3商品の回収については、アプライアンス事業を担当する榎坂純二常務取締役が回答。「冷蔵庫、乾燥機、電子レンジで使用されている部品が、長期使用の際に発煙、発火し、類焼するのが原因。冷凍冷蔵庫、電気乾燥機では、部品の接続箇所の環境温度が高まり、部品の劣化が進むほか、電子レンジについては、ダイオードブリッジが長期使用の際に高温になるのが原因。設計の余裕度、長期使用に対する設計の配慮不足であり、反省している。少しでも似通った構造を持つ製品にまで対象を広げているため、直接的な対象の製品数の倍にまで増えている。積極的に情報を開示し、二度と問題を起こさないことを肝に銘じて取り組んでいく」とした。 また、問い合わせのフリーダイヤルがかからない、回答の返事がない、商品知識が不足しているといった点にも質問がおよび、「万全に準備をし、迷惑をかけないという対策をしてきたが、とくに対応一日目は予想以上の問い合わせが殺到した。ご迷惑をおかけした」とした。 松下電器の電子レンジが壊れずに40年間使っているとした株主は、DVDレコーダとデジカメを購入したが、取り扱い説明書が難しいと発言。これに対して、坂本俊弘専務が、「機能が複雑化することで、取扱説明書がわかりにくくなっているのが実態であり、いま、わかりやすい説明書を研究中である。よく使用する機能については、一枚の紙だけで操作がわかるようにしたいと考えている。また、ビエラリンクでは、テレビ画面に使い方説明が出るように変えていく」と回答した。 ■ 有機ELにも期待。「大画面テレビは引き続きプラズマを頑張る」 売却について二転三転している日本ビクターについては、「長い間、それぞれのブランドをもちながら、相乗効果を発揮する関係を築いてきた。しかし、市場環境の変化や技術進化、グローバル市場の急速な展開を考えると関係を見直すべき時期にきていると考えている。両社の経営幹部が、両社にとって企業価値が最大になる手はなにかを検討している。様々な報道がされ、心配をかけているが、具体的なことが決まったら、すぐに報告する」としたに留まった。 また、有機EL事業への取り組みについては、「各社で有機ELの開発が進んでいることは喜ばしい。当社は、東芝との合弁会社である東芝松下ディスプレイ株式会社において、高分子系の21型の有機ELを発表している。性能、品質、コストという点で解決する問題はあるが、将来的には有望なディスプレイとして期待している。中期的な観点では、盤石な市場が形成されているプラズマテレビ事業、液晶テレビ事業に大きな影響を及ぼすことはない。大画面テレビは、プラズマテレビで引き続きがんばり、技術革新、生産能力の拡大によって、競争力を高めていく」(坂本専務)とした。 一方、低迷している携帯電話事業に関しては、パナソニックモバイルコミュニケーションズの脇治社長が回答。「携帯電話事業は、昨年度から国内市場に重点を置き、同時に、デジタルテレビやデジタルカメラ、オーディオの強みを生かしていく。まずは、NTTドコモにおけるトップシェアを維持することに力を注ぐ。また、KDDI、ソフトバンクに提供を開始しており、これを引き続き強化する。機種数を大幅に増やし、松下電器が得意とする薄型化、AV特化を生かしてシェアアップを図る。今年発売の『P903iTV』や『P703iμ』が好評であり、この方向で商品力を強化をしていく」とした。 流通戦略に関する質問に関しては、牛丸俊三副社長が回答、「すでに、3分の1が高齢者に属しており、これからは、町の電気屋(地域販売店)の役割が重要になっていくと考えている。量販店と地域販売店とのうまいバランスを考えて発展を検討していきたい」とした。 なお、同株主総会は、午前10時からスタートし、11時42分に終了。取締役および監査役選任などの第1号議案から第3号議案はすべて可決された。
□松下電器のホームページ ( 2007年6月27日 ) [Reported by 大河原克行]
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