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「アニメ検定」問題集出版記念トークライブ開催
-「地デジがアニメを殺す?」。メイドさんも試験に挑戦


6月30日開催


 日本や世界のアニメーションに関する知識を検定し、アニメファンの底辺拡大、最終的にはアニメクリエイターの育成までを視野に入れて展開する「全国総合アニメ文化検定試験」(略称:アニメ検定)が誕生したのは既報の通り。その第1回試験日が、11月23日に都内で行なわれることが決定した。

7月21日頃に「アニメ検定公式問題集」(1,260円)がリリースされる

 有料で受験する筆記試験をクリアして認定される1級~5級と、携帯電話から無料でチャレンジできる「モバイル級 1等級」を用意。モバイル級は4月中旬より実施されている。検定料は3級が4,700円、4級が4,200円、5級が3,700円。 3級までは飛び級受験が可能だが、2級は3級の合格者のみ、1級は2級合格者のみが受験可能。認定証も授与される予定だ。

 今回、試験に先立って、7月21日頃に「アニメ検定公式問題集」(1,260円)のリリースが決定。さらに、毎月アニメ検定に関するセミナー(受講料3,500円/都内予定)が開催されることも明らかになった。

会場入り口ではメイドさん達がご主人様をお出迎え

 そして6月30日、問題集出版を記念したトークライブが東京・秋葉原のアキバ3Dシアターで開催。「アニメ愛は国境を超えるか?」と題してパネルディスカッションが実施され、パネリストとして、アニメ評論家として「BS アニメ夜話」などで活躍する氷川竜介さん、ノンフィクション作家でオタキングこと、岡田斗司夫さん、声優の喜多村英梨さん、アニメ情報サイト「アニメ! アニメ!」を運営するアニメアニメジャパンの数土直志取締役、アニメ監督の高橋良輔さんが登壇。

 さらに、第2部ではテレビ東京「Re:あにてれ情報局」の公開録画が開催。「メイドさん大集合! アニメ検定模擬試験」と題して、秋葉原のメイド喫茶を中心に、大勢のメイドさんが検定試験にチャレンジした。


■ アニメ愛は国境を超えるか?

テーマは「アニメ愛は国境を超えるか?」

 インターネットの普及や高速化により、アニメの鑑賞や、関連情報の入手は容易になっており、日本のアニメ作品は作り手や日本の観客の想像もつかないほど世界的広がりを見せている。一方、コンテンツは拡散するだけで、アニメを軸に日本のファンと海外のファンが交流したという話や、アニメに付随する文化が広がる事例は少ない。そこで、「アニメ愛は国境を超えるか?」という題で活発な意見交換が行なわれた。

 岡田さんは、日本のアニメの世界における現状について「日本女子はアニメキャラの影響で、世界の男子からモテ率が上がっている。反面、アニメの中にも格好良い男性キャラはいるのに、日本の男性が世界でモテているという話は一向に聞かない。アニメが縁で国際結婚したという話も聞かない。日本人はハリウッドの監督や俳優が来ると大騒ぎだが、日本の声優や監督が海外に行っても“何このシンとした感じ”というのが現状」と、作品のみが広まり、制作スタッフやそれに付随する文化の交流の少なさを指摘。

数土取締役

 数土取締役は、「海外を視野に入れた日本のアニメ作品ほど、海外では受け入れられにくい」という実態を紹介。「日本のアニメは既に海外では一般化し過ぎていると感じている。日本人として怖いなと思うのは、そこから日本人が想像もつかないようなものが作られてしまうこと。ガッチャマンの新作も海外で、マクロスの新作もアメリカのスタジオで作られている。日本人がエッと驚くようなものが出てくる可能性はある」という。

 岡田さんはこれについて「ディズニーはヨーロッパの民話を取り入れて、アメリカ発祥の文化のように作り上げてきた。アメリカには、自国から出た物以外認めたくないという気持ちがある。今のハリウッドを見ていると、50年前ヨーロッパから取り入れたものを、今度はアジアを対象にしているんだなと感じる。ただ、“ネタ元”として重宝されているのはわかるが、“日本のアニメが好き”だからなのか、“単に真新しいことをしているので、真似してやろう”というだけなのかがわからない」と語る。

高橋監督

 日本人の国民性から、本格的な国際交流は難しいと語るのは高橋監督。海外の映画祭に参加したことや、海外のアニメ/漫画専門学校を視察した経験も交え「僕が日本人だとわかると、どんな田舎に行っても子供達やおばちゃんが日本語で話しかけてくる。それと比べると、日本の国際性は中途半端で、閉鎖性は100年程度では変わらないと感じる」という。

 しかし、高橋監督は「その狭いところで生まれたのが日本のアニメ。その異質さが世界で受けたのだと思う」と分析。それゆえ「今後、海外との共同制作などが増えたら、受けるものが出来るかどうかは疑問。また、日本アニメの要素を取り入れつつ、巨大な資本を使って海外のアニメが作られるようになった時、日本のアニメが太刀打ちできるかというもの問題だ」とした。

喜多村さん

 声優という立場から、「女の子キャラクターの海外での強さ」を実感するというのは喜多村さん。「作品が受け入れられにくくても、可愛くてセクシーな女の子キャラは文化的な面を飛び越えて、国境を越えやすい」という。また、岡田さんによれば「昔は海外アニメの女の子キャラはハスキーな声が良いとされていたが、最近は高い声の可愛い声が増えつつある。これは、彼らが日本の声優の声を聞き続けたことが影響している」とのこと。

 最後に岡田さんは「日本にいるアニメを作る人、観る人が、世界のアニメ好きの“先輩”になれるかどうかが問題。ネットを通じて知識が流れ、アニメを観て、ただ“好きだ”と言うだけの感覚では先輩としてのアドバンテージが無い。スタッフや声優が知られないまま、キャラクターだけが流通しているため、向こうにキャラクターを取り入れられたら終わり。アニメの楽しみ方や、それに付随するメイド喫茶なども輸出文化になりつつある。ブログなども5年くらいで自動翻訳され、海外の人も読むようになるだろう。その時に“どんな先輩風”を吹かせられるかが需要になる」と締めくくった。


■ 地デジが世代共通体験としてのアニメを殺す?

会場からも活発な質問が

 会場からの質疑応答では、「若いアニメファンの減少」が訴えられた。現在、アニメの新番組は驚異的な数が放送されているが、深夜帯が多く「若い世代がアニメに触れる機会が少なくなっている」という。そのため、「昔は子供の頃アニメを見ていて、アニメ雑誌を買い、他のアニメや声優さんなどに興味が広がり、アニメファンになるというパターンがあった。それが崩れたことに危機感を抱いている」という。

 さらに「アニメファンとそうでない人の溝の深化」や、「一般社会における新しいアニメの知名度の低さ」を憂う声もあがる。「ガンダムSEEDや、コードギアスなど、僕らアニメファンがメジャーだと思っている作品でも、普通の人はほとんど見ていない。こういう状態になってしまったのはなぜか?」という疑問だ。

 岡田さんも「例えばテレビで“アニメの名シーン特集”という番組があっても、未だに“フランダースの犬”のラストが出てくる。僕も現役のオタクとしては“おかしいだろ”と思うけど、放送局のロジックもわかる。早い話、普通の人はここ10年のアニメなんて観ていないといういこと」。

氷川さん

 氷川さんはこの原因について、80年代に登場した“ファミコン”がキッカケになっていると分析する。「放送という公共性のあるものを受信しているテレビには、それで楽しむためには“何時何分にテレビの前に座る”必要があった。しかし、ビデオやファミコンの登場でその図式が崩壊した。その証拠に、それから数年後に、夕方の特撮ドラマの戦隊物や、アニメの再放送枠が全滅し、文化の共通性やリサイクル性が崩壊した。つまり、現在の状況は20年前に押されたボタンの結果で、今から何かしても遅い。今何か行動を起こして、20年後にどうなるかという問題だと思う」と語る。

 岡田さんもこれに頷く「今までは何年かに一度、ヤマトやナウシカ、ガンダム、エヴァンゲリオンなど、日本人全体のブームになる作品があった。けれど、エヴァ以降10年そんな作品は登場していない。それに、エヴァブームでさえも、当時の小中学生全員が観ていたわけではなく、ガンダムのように世代全員の共通体験にはなりえていない」。

岡田さん

 岡田さんは「家族が変化したことも原因。お爺ちゃんやお婆ちゃんと暮らしている人が減り、家族全員が揃ってご飯を食べることも少なくなった。それはつまり、誰かに合わせてテレビを観ることがなくなったということ。都市部の未婚率もいずれ6割を超えるだろうと言われる中、誰かに合わせてテレビを観ることは減り続ける」と分析。それゆえ、「今後も世代を巻き込むようなアニメが登場するとは信じられない状況」(岡田さん)にあるという。これは、今後のアニメファンの増減にも影響することだ。

 しかし、岡田さんは「それは僕らアニメファンが望んできたことで、僕らにも皆さんにも責任があること」だという。「僕らは子供の頃、親と一緒にテレビを観るのが嫌で、他の人と同じような番組を観たくない、自分が好きな番組を観たいと思っていた。そうやって自分達で舵を切ったつもりが、日本全体も舵を大きく切ることになった」という。

 氷川さんはこの傾向を決定付けるものが地上デジタル放送にあるという。「テレビの役割が変化し、単なる情報の窓、情報ディスプレイになりつつある。僕は個人的に、“地デジの登場が世代共通体験としてのアニメを殺す”だろうと考えている」という。

 ではどうするべきか? ディスカッション時間が限られていたこともあり、岡田さんは「もうスタジオジブリに萌えアニメを作ってもらうしかないよ。となりのトトロの権利を京アニ(京都アニメーション)に譲って、サツキとメイを萌えキャラ化して。踊りとか踊らせて」と斬新なアイデアを披露。会場から爆笑を誘った。


■ メイドさんが検定試験にチャレンジ

 第2部は、テレビ東京「Re:あにてれ情報局」の公開録画。「メイドさん大集合! アニメ検定模擬試験」と題して、秋葉原を中心に大勢のメイドさんが集結。アニメや漫画に関する難問に挑戦した。司会はアメリカザリガニの2人と、メイド姿の大網亜矢乃さん。

司会はアメリカザリガニの2人と、メイド姿の大網亜矢乃さんが担当 集まったメイドさん達のアニメ知識はいずれもハイレベル?

 驚かされるのはメイドさん達のアニメ知識。一様に「自信はありますか?」の問いに「ありません」、「知識が偏っているので、自信無いです」と答えるものの、「好きな作品は?」の問いには「覇王大系リューナイト」や「鎧伝サムライトルーパー」、「天空戦記シュラト」などの答えが。

 「アニメはよく知らなくて、漫画が好きなんです」と答えるメイドさんも、「何の漫画?」と問われて「ずっとファイブ・スター・ストーリーズ読んでました」など、年期とこれまでのマニア遍歴が垣間見える、ある意味非常に濃い自己紹介の連発。客席からは感嘆にも似た「全員マニアじゃないか」という笑いが溢れた。

 さらに、アイドル受験生として白岩英里子さんと、駒宮美都季さんも参戦。漫画やアニメ大好きという駒宮さんと、「この検定のために勉強してきた」という白岩さん。白岩さんは「アニメの仕組み、セル画が1秒でどれくらいとか……勉強しました」と胸を張るものの、「勉強の方向間違ってない?」とアメリカザリガニからツッコミの洗礼を受けていた。

 出題スタート後は、日々マニアなご主人様に奉仕しているメイド達の秘めた実力が炸裂。繰り出される難問にも次々と正解。予選でも最後の1人が決まらず、何度も出題が繰り返される場面も。「ふたりはプリキュアの主人公が所属するスポーツ部は?」という軽いジャブ問題から、「涼宮ハルヒを演じた平野綾が演じたことのない役は? 1.弥海砂 2.芹澤レイラ 3.サルのモモ 4.ラム」や、「エースをねらえは、何のスポーツを題材とした作品?」など、新旧織り交ぜた問題が出題。

 中には「パトレイバーのメカデザインを担当したのは?」、「マクロスのメカデザインは誰?」など、女の子には難しいと思われる問題も登場したが、それでも正解を重ねていく姿は圧巻だ。

アイドル受験生の駒宮美都季さん 右は同じくアイドル受験生の白岩英里子さん。左はメイドカフェ「ひよこ屋」のひなさん。回答中に、白岩さんのブレスレットが回答用ボードに引っかかってしまうアクシデント発生。バトル中ながら、ひなさんはとっさに外すのを手伝いアメリカザリガニに「そこ、何してるの!?」問われると「お嬢様の介抱を……」と切り返すなど、さすがプロのメイドさんと感動する場面も

 中には、出題されるといきなり両手を天に掲げ「神からのメッセージを受信しています」と叫ぶ、セントグレース教会(をテーマにしたカフェ)から派遣されたという、シスター・セラさん。未来から来た給仕型メイドロイドで、1問目から「オーバーヒート中です」とのたまう“おんぷ”さん(店舗:メリーハート)など、超個性的なメイドさんも登場。あまりにからみづらいキャラクターの連続に耐えられず、アメリカザリガニの2人が「なんでこんな濃いのばっか集めたんや! 散らせ散らせ!」とディレクターに怒鳴る場面も。

 途中からは声優の我妻正崇さんや観客代表も参加。見事試験に合格するのはメイドさんか、アイドルか、声優か、お客さんか、結末は7月13日(深夜2時30分)放送予定の番組でチェックしていただきたい。

メイドさんの強烈な個性にアメリカザリガニもタジタジ…… 大網亜矢乃さんも試験にチャレンジ

途中からは声優の我妻正崇さんも参戦 メイドさん達は最後のお見送りもキッチリこなしていた

□公式ホームページ
http://aniken.jp/
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http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070327/aniken.htm

(2007年7月2日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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