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パイオニア株式会社は、団塊の世代などに向けた「大人のためのステレオ」をテーマとした高級オーディオシステム「Zシリーズ」を発表。第1弾モデルとして、デジタルアンプ内蔵のSACDプレーヤーと2chスピーカーをセットにした2モデルを7月下旬に発売する。価格は「X-Z9」が188,000円、「X-Z7」が129,000円。 別売オプションとして、iPodコントロールドック「IDK-90C」を用意。コンポ側のリモコンでiPod操作が可能で、コンポのディスプレイにiPod内楽曲の曲名表示などが行なえる。発売は10月中旬で価格はオープンプライス。
■メインユニット SACDプレーヤーと、最大出力50W×2ch(4Ω)のデジタルアンプ、AM/FMチューナを一体化したメインユニットと、2chスピーカーをセットにしたシステム。Z9とZ7の違いはスピーカーで、Z9は同軸ユニットを採用した3ウェイ、Z7は2ウェイとなっている。 また、メインユニットの仕様は2モデルでほぼ共通だが、スピーカーターミナルがZ9のみ金メッキ仕様になっている。アンプの出力や外形寸法などは共通。メインユニットとスピーカーの単品発売は予定されていない。
SACDプレーヤー部はSACD、音楽CDに加え、MP3/WMAファイルを保存したCD-R/RWの再生に対応。低ジッター水晶発振器を内蔵したほか、CD再生時にはDSP部で16bitの信号を、24bitに再量子化。「CDに収録された微細な情報も再生できる」という。 また、スピーカーをドライブするパワーステージICを、片chにつき2個搭載したパラレルアンプ構造を採用。大容量のスイッチング電源と、低インピーダンスコンデンサも組み合わせることで、躍動感とメリハリのある再生を実現したとしている。
前面にUSB端子を備えており、USBメモリなどに保存したMP3/WMA/AAC/WAV(リニアPCM)/FLACファイルの再生に対応。さらに、Ethernet端子も備えており、DLNAクライアント機能も内蔵。PCに蓄積した前述の音楽ファイルをネットワーク経由で再生でき、WM DRM 10にも対応している。 圧縮音楽ファイルの再生には、欠落した高域情報の補間技術「アドバンスド・サウンドレトリバー」が使用可能。ほかにも、出力レベルも加味してラウドネス効果を調整する 「インテリジェントラウドネス」や、3種類の音場モードなども備えている。 筐体には、回路間の干渉を排除した「L/Rセパレートシールド構造」を採用。4層基板と高剛性ハニカムプレス構造を採用したことで、クリアな伝送を実現したとしている。操作は静電タッチセンサーを使った本体ボタンか、付属のリモコンで行なう。ディスプレイは有機EL。
アナログ音声入力は背面に2系統、前面に1系統用意。出力は光デジタルとアナログ音声を各1系統装備。MM型のフォノイコライザも内蔵。外形寸法は386×347×88mm(幅×奥行き×高さ)、重量は5kg。
■スピーカー
Z9に付属するスピーカーは、ブックシェルフの3ウェイ型。前面にバスレフポートを備えている。塗装はピアノブラック仕上げ。 TADブランドの思想を継承したという「スーパーワンポイント同軸ユニット」を採用したのが特徴。
ツイータは3cm径のチタンドーム型で、HSDOMと呼ばれるコンピューター解析技術を使って設計。ウーファとミッドレンジは13cm径で同サイズ。同社EXシリーズでも使われているアラミド織布とカーボン不織布を積層させたものを振動板に採用。フレームにはアルミダイキャストを使用している。インピーダンスは4Ωで、再生周波数帯域は36Hz~50kHz。
Z7のスピーカーはリアバスレフの2ウェイタイプ。2.5cm径のドーム型ツイータの振動板には、軽量ポリエステル織布を使用。ウーファは13cm径で、高剛性のジョイントリングを採用し、伝達ロスや不要振動を抑制。ウーファ用磁気回路には80mm径のダブルマグネットを使用している。インピーダンスは4Ωで、再生周波数帯域は40Hz~38kHz。
両モデルともエンクロージャには、厚さ30mmのバッフル板を採用。ターミナルは金メッキ仕様で、バナナプラグの接続にも対応する。外形寸法と重量は、Z9付属のモデルが210×305×370mm(幅×奥行き×高さ)で、9.6kg。Z7付属が180×290×300mm(同)で、5.9kg。
■団塊の世代向けでもPCとの親和性を
団塊の世代を中心に、オーディオブームが再燃していると言われる中、Zシリーズは「上質を愉しむゆとりある大人」をターゲットにしている。同社が定義する「ゆとりある大人」とは、「音楽をこよなく愛し、お洒落や食、旅、芸術などにも幅広く興味を持っている。ビートルズや'60年代のロック、'70~80年代の音楽を現在も楽しんでいる人々」だという。 同社では、そうした人々に向け、新コンポのデザインや機能に関する調査を実施。デザイン画の候補を見せて意見を聞くなどした結果、従来からあるようなベーシックなデザインや、ノスタルジックなデザインよりもシンプルなブラックフェイスが好評だったという。
音質やデザインのみを追及し、機能を極力シンプルにする方向性もあるが、アンケートの結果、趣味に対してアクティブな50代は、PCを活用していることが判明。楽曲をダウンロード購入したり、PCで音楽を楽しむ人も多かったため、圧縮音楽ファイルの再生機能や、DLNAクライアント機能などの搭載を決定したという。
■パイオニアがAV専業メーカーであることは変わらない
パイオニアマーケティング株式会社の校條亮治社長は「パイオニアのスピーカーが誕生してから70周年となり、新しいパイオニアのスタートを切る準備が整った」と語り、今回のZシリーズを発表した。 その上で、同社の姿勢として「パイオニアはPDPや光ディスクなど、様々なデジタル家電を手掛けている。しかし、量を追うのではなく、あくまで使うユーザーの心や生活を豊かにするAV専業メーカーであり、そのスタンスは変わらない」と説明。
さらに、パイオニアの創業者である松本望氏の「良い音をユーザーに届け、世界を平和にしたい」というメッセージも紹介。「携帯電話やポータブルオーディオ機器が注目を集めているが、やはり好きな音楽を良い音で、家でゆったりと楽しみたいという声は存在する。これを叶えるのが専業メーカーとしての責務だと考えている」と語った。 なお、製品の発表/試聴会は世田谷区にある「松本記念音楽迎賓館」にて行なわれた。松本望夫妻の住宅であった建物で、現在は財団法人音楽鑑賞教育振興会により、「音楽に親しめる場」として一般に貸し出され、パイプオルガンを設置した小音楽ホールなども作られている。 閑静な集宅街に位置している非常に大きな邸宅で、庭には京都から移築したという茶室「時雨庵」や、海外からの客人を迎えたという椅子席茶室「希望亭」などもある。また、ホールにはEXCLUSIVEブランドのスピーカーなども設置されており、LPレコードやCDなどの視聴も可能。発表会当日は特別に、松本氏が使用していた工作室も公開された。
□パイオニアのホームページ
(2007年7月11日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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