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株式会社日立製作所は、世界初となるBlu-ray Discに1,920×1,080ドットのフルHD映像を記録するビデオカメラ「Wooo」2機種を8月30日に発売する。BDドライブのみの「DZ-BD70」と、30GB HDDとBDのハイブリッドカム「DZ-BD7H」を用意。価格はオープンプライス。店頭予想価格はBDのみタイプが16万円前後、ハイブリッド型が19万円前後の見込み。 いずれも8cm BD/DVDの書き込みに対応したドライブを搭載したビデオカメラ。片面1層の8cm BD-R/REディスクが使用でき、1層メディアの記録容量は約7.5GB。フルHD動画をMPEG-4 AVCフォーマット(Main Profile/約15Mbps)で約1時間記録できる。30GB HDDには4時間の録画が可能。なお、8月10日には日立マクセルから8cm BDメディアも発売される。店頭予想価格価格はBD-Rが2,500円前後、BD-REが3500円前後。
HDDの有無を除いた主な仕様は共通。HDD搭載モデルはHDDに記録した動画をBD-R/REに約2倍速で高速ダビング可能。また、HD解像度のMPEG-4 AVC動画をSD解像度のMPEG-2に変換し、DVDビデオ形式で書き出すこともできる。ただし、トランスコードには実時間以上かかるほか、ダビング時にはACアダプタ/チャージャーの接続が必要。 書き出し可能なメディアはBD-RE/R、DVD-RAM/RW/Rの5種類。ダビングしていないシーンだけを自動的にダビングするモードや、シーン選択ダビング、指定日のシーンのみ、HDDの全動画ダビングの4モードが使用可能。さらに、書き出すディスクに収まらない映像を自動分割する機能も備えている。 なお、書き出したBD-R/REの再生対応機種については明言されなかったが、「BDの規格に沿ったディスクになるため、規格をサポートしているレコーダやプレーヤーなどでは問題なく再生できると考えている」という。
HDDやBD-REに記録したHD動画は、カメラ本体で削除/結合などの簡易編集が可能。プレイリスト作成や、プレイリスト内でのシーン再生順序の入れ替えにも対応している。また、ピクセラ製のPC用編集ソフト「ImageMixer 3 HD Edition for BDカム」も付属。BD/DVDライティングもサポートする。 BD-R/REへの書き込み方式はBDMVだが、本体/付属編集ソフトとも、BD用のメニュー画面作成やポップアップメニュー作成などはサポートしていない。PC用ソフトでDVDビデオに書き出す際はメニュー作成が可能。 8cm DVDにも720×480ドット/MPEG-2形式での記録が可能。AVCHD規格はサポートしていないため、DVDにHD映像を記録することはできない。SDメモリーカードスロットも備え、最大2,400×1,800ドットのJPEG静止画記録も可能。HD動画から静止画を切り出すこともできる。
CMOSセンサーは、日立が協力、米Altasensが開発した1/2.8型、総画素数約530万画素のCMOSセンサーを搭載。プログレッシブ読み出し方式を採用し、原色カラーフィルタを用いている。画素サイズを2.09μmと微細化し、530万画素を実現しながら、センサーサイズを1/2.8型と小型化した。 レンズのF値は1.8~3.0。35mm換算での画角は動画撮影時で約47~470mm(16:9時)、静止画時で約34.5~345mm(4:3)時。電子式の手ブレ補正も装備。液晶モニタは2.7型ワイドで約21万画素。ビューファインダーは0.2型で約20万画素相当。静止画撮影用フラッシュも内蔵する。音声はドルビーデジタル2.0chで録音。
新開発の映像/音声コーデックLSI「Picture Master FULL HD」を搭載。フルHDのMPEG-4 AVC/H.264映像記録に対応したほか、1つのLSIでSD解像度のMPEG-2、JPEG静止画記録もサポート。H.264からMPEG-2へのトランスコード機能もこのLSIで実現している。 さらに、独自開発の動画高画質化アルゴリズムも採用。業界初という適応型動き予測(Macro Block Adaptive Frame/Field)制御技術を採用し、画面内の動きに応じて「マクロブロック(16×16画素)」単位でフレーム/フィールドの予測処理を切り替え、動きが大きいシーンでも、精細な映像表現を可能とした。 前後フレームとの相関からの動きを予測するフレーム間予測と、同一フレーム内映像での予測を、映像の動きに応じて切替えて符号化するイントラ/インター適応制御技術も導入。また、画質劣化が起きやすい部分を事前に判断し、エンコードする符号化レート制御技術も備えている。 さらに、DVDカムの信号処理アルゴリズムをフルHD用に進化させた「Advanced CCM回路」を搭載。大画面テレビでの視聴時に、輝度変化の大きい部分で被写体と異なる色が生じる現象を抑制。ノイズリダクションも、新開発の「Adaptive DNR(新適応型ノイズリダクション)」を採用。輪郭部分(高周波信号)と信号レベルの平坦な部分を判別し、適応的にノイズ低減を行なうことで、高解像度を維持しながらS/Nの改善を実現した。 「秒撮モード」も備えており、撮影時の約半分の消費電力で待機する「秒撮モード」にしておくことで、約1秒での急速撮影が可能。別売のアクセサリとしてテレコンバージョンレンズ「DZ-TL43」(18,000円)、ワンドコンバージョンレンズ「DZ-WL43」(18,000円)も用意。発売日はどちらも8月30日。 付属バッテリ「DZ-BP14S」利用時の連続撮影時間は約100分(DZ-BD7H/HDD記録時)、約90分(DZ-BD70/BD記録時)。外形寸法/本体のみの重量はDZ-BD7Hが約80×165×87mm(幅×奥行き×高さ)/630g、DZ-BD70が約77×165×87mm(同)/575g。HDMI出力、特殊端子を介したD1/D3出力が行なえる。
■ 「赤から青へ、カメラ革命を宣言する」 コンシューマ事業グループ デジタルコンシューマ事業部長の由木幾夫氏は、同社が「カメラ革命」と表現し、2006年8月に発売したDVDとHDDのハイブリッドカム「DZ-HS303」が、機種単独で5カ月No.1のシェアを獲得したことを報告。同社のブランドシェアも10%から20%に拡大したという。 由木氏は「あれから1年後の本日、今度は“赤から青の時代へ、Blu-rayカムでフルハイビジョンカメラ革命”を宣言したい」とし、BDカム、およびBD/HDDハイブリッドカムを紹介。その先進性をアピールした。
DVDとHDDのハイブリッドカムは、HDDならではの長時間録画と、DVDに書き出して友人や家族に配るといった利便性の両立が支持され、ヒットに繋がった。しかし、DVDには既に再生できるプレーヤーが普及していたという状況の強みが存在したが、BDレコーダやPS3の普及率はまだ少ない。また、同社はBDプレーヤーやレコーダなどの再生ソリューションを現在のところ提供していない。 この点についてコンシューマ事業グループ デジタルコンシューマ事業部 商品企画本部 戦略部の山内浩人部長は「フルHDの薄型テレビは爆発的に普及しており、さらなる高画質撮影や、綺麗な映像を残したいといったニーズは高まっている。日立としてもレコーダやプレーヤーなどの機器は検討しているが、確かにDVDの時とは状況は異なる。だが、今回は逆に、このカメラでBD市場を牽引し、市場を作り上げていきたい」と意気込みを語る。 AVCHDを選択しなかった理由については「規格よりもまず、ユーザーのニーズを第1に考えた。すると、ハイビジョンカメラの1日の撮影時間に、1時間撮影できなければならないという声が多い。そこで今回はフルHDで1時間撮影が可能な“ハイビジョンの本命メディア”としてBDを優先させた」という。なお、AVCHDについては「それを採用する商品にもニーズは存在するので、AVCHDも頭に入れてながらやっている」と含みを持たせた。
□日立製作所のホームページ
(2007年8月2日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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