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パイオニア株式会社は、黒の表現力を大幅に向上させたプラズマテレビ「KURO」シリーズを9月上旬より順次発売する。50/60型のフルHDモデルなど4製品をラインナップ、各製品の発売日や価格は以下のとおり。
■ 新パネルで、黒の再現性/コントラストを大幅向上
いずれも第8世代のプラズマパネルを採用し、上位モデル60型「PDP-6010HD」と50型「PDP-5010HD」ではフルHD/1,920×1,080ドットパネルを採用。コントラスト比は20,000:1となる。PDP-508HXは1,365×768ドット、PDP-428HXでは1,024×768ドットパネルを採用し、508HX/428HXのコントラスト比は16,000:1となる。 「全ての要素技術をタブー無く見直した(塩田PDP企画部長)」という第8世代パネルにより、コントラスト向上や画質改善を図っている。引き締まった黒を再現する独自の「高純度クリスタル層」に改良を加え、電子を放出するアドレス側に新材料の電子発生源を配置した新セル構造を採用。セルの安定発光のために行なっていた予備放電をほぼ不要としたことで、種火の無駄な明滅を防ぎ、黒輝度を1/5に抑制。“締まりのある黒”再現を可能とした。
同社では、「シネスコサイズの映画再生時に見られる画面上下の黒帯が、ベゼルと同化するほどの黒を実現。圧倒的な黒の表現力」と黒表現を最大の訴求点としている。 そのため、ブランド名も黒の力強さを端的に表す「KURO」に変更。「絵画において白のキャンバスがすべての元になるように、“黒”映像における全ての始まりという意味を込めた」という。 また、黒の表現力向上に伴い、低輝度域における階調表現力や、色域表現力を向上。赤、青、緑の鮮やかさや深みを向上している。特に赤の表現力が大幅によくなったという。ダイレクトカラーフィルターも新世代となり、色純度の向上や写り込みの低減を図っている。特にフルHDモデルの「PDP-6010HD/5010HD」ではさらに色純度を高めたダイレクトカラーフィルターを採用している。
映像エンジンも新開発のフルデジタル画像処理回路を採用。独自の3次元I/P変換を搭載したほか、新開発のノイズリダクションを搭載。特に輪郭の周囲に発生するモスキートノイズの低減が図られ、流れる滝の映像などでは、滑らかかつ艶やかな質感の再現性を高めたとしている。24コマの映画ソースを60コマに変換する際に、中間画像を生成して滑らかに再現する「フィルム・スムース」機能も新搭載した。
動画解像度はフルHDモデルが900本以上、PDP-508HX/428HXが700本以上。画質モードにおいては、「リビング」を新開発。照度センサーを利用して、視聴環境の明るさにあわせて輝度の調整を行なうだけでなく、映画やスポーツ、ニュースなど、視聴中のコンテンツの画素情報を解析し、最適な画質に自動的に調整していく。 たとえば、明るい部屋でテレビを見た後に、明かりを落として映画を見る場合は、最初は高輝度なリビング向けの画質設定だが、映画再生に切り替えると徐々に映画的な色温度かつ色調になり、数十秒後には映画モード相当の画質になる。 映画再生時は、上下の黒帯の有無やアスペクトなどから「映画」と認識し、画質を切り替える。ライブ音楽の場合は、中央のスポットライトと周辺の暗さなどを検出し、それの情報から総合的に判断し画質を変更していくという。「KUROシリーズ」の全モデルの初期出荷時にリビングモードが初期設定となっている。 また、調節前/後の映像比較が可能な、画像アジャスト機能も搭載。さらに、ゲームプレイ用の「ゲームモード」は、色再現を優先する「画質優先」と操作レスポンス重視の「操作性優先」の2種類が選択できる。画面表示位置を自動的にわずかに動かし、焼き付きを防ぐ「オービター」機能も備えている。
■ 音質にこだわりサイドスピーカーデザイン採用 黒光沢仕上げによるボディデザインを採用。電源スイッチやリモコン受光部、パイオニアのロゴマークなども存在感を抑え、「より映像に集中できる“レスエレメントデザイン”」としている。 音質にもこだわり、PDP-428HX以外は着脱可能なサイドスピーカーを採用し、ステレオ感の向上などを図ってる。また、新開発の17W×2chデジタルアンプと低歪率コイルによりS/Nや明瞭感を向上し、空間表現力を高めた。 スピーカーユニットも新開発。同社のオーディオエンジニアと協力してユニット位置の最適化などを行ない、歪みの低減や振幅のリニアリティ向上を実現。リアルな臨場感を再現するという。SRS WOWも内蔵する。 チューナは地上/BS/110度CSデジタルを各2系統と地上アナログを装備する。最大8チャンネル表示が可能な「まるごとテレビ番組表」を搭載。地上アナログ用EPGにG-GUIDEを採用している。PinP(2画面表示)機能も搭載している。 1080p(24p/60p)対応のHDMI端子を3系統装備し、36bitまでのDeepColorに対応。24p入力信号をテレビ側で3倍となる72Hz化して表示し、映画製作者の意図を忠実に再現するという「アドバンスド・ピュアシネマ」を搭載。。HDMIコントロール機能も搭載し、同社の対応Blu-rayプレーヤーやAVアンプとの連動が可能となっている。 HDMI以外の入力端子は、D4×3、S映像×3、コンポジット×3、アナログRGB(D-Sub 15ピン)×1などを装備。コントロール端子(SR+対応)×1やEthernet、i.LINK(TS)×2、USB×1も備えている。USB接続したデジタルカメラ内のJPEG画像表示などが行なえる「ホームギャラリー」機能も備えている。
■ 価格競争を脱却し、“感動”を伝える新たなステージに
また、TrueHDのビットストリーム出力に対応したBlu-ray Discプレーヤー新モデル「BDP-LX80」や、ビットストリーム入力に対応したAVアンプ「VSA-LX70」、KUROシリーズ向けシアターシステムなども同時に発表。発表会では、シアターシステムを前面に出したマーケティング施策で他社製品との差別化を図っていく方針を明らかにした。 同社ホームエンタテインメントビジネスグループ本部長の安田信治常務取締役は、「薄型テレビ市場の同質化、価格競争から脱却し、かつてない新しい感動をお客様に提供するという新しいステージに移行することを決意した」と切り出し、KUROシリーズそして、これからのプラズマテレビのコンセプト「Built for Emotion」について解説した。 安田常務は「“感動体験”を重視した、製品開発、マーケティングに取り組んでいく。単なるものの提供であってはならない。お客様に最上級のライフスタイルを提供し、人生の喜びを味わっていただく製品」とKUROシリーズをアピール。同社ホームAV製品の新キャッチフレーズとして「seeing and hearing like never before」を紹介し、「いまだかつてない感動を提供していく」と意気込みを語った。
また、パイオニアマーケティング校篠亮治社長は、KUROシリーズを中心としたAV製品のマーケティング施策について説明。「プラズマ、Blu-ray、シアターシステムの三位一体で本当の感動を提供していく」として、プラズマやBD、シアターシステム、ラックなどをセットにした4つの「KURO HOME THEATER SYSYTEM」を提案した。 さらに、「スペックだけでないエモーショナルなビジュアルを訴えていきたい」とし、映画監督の阪本順司氏や、作曲家の佐藤直紀氏らのコメントを紹介。また、量販店においても黒を基調とし映画視聴に適した専用のブースを設定して、KUROを訴えていくほか、8月の下旬より全国17カ所で「体感型イベント」を展開。「オーディオビジュアル専門メーカーとして、我々の持つ本当の実力と感動体験を訴えていく」という。
□パイオニアのホームページ ( 2007年8月2日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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