|
シャープ株式会社は、「未来の液晶テレビ」に向けた技術を集約した52V型の超薄型液晶テレビ試作機を公開した。
同社の液晶技術を結集し、52型で厚み20~29mm、コントラスト比10万:1、リビングコントラスト3,000:1(200ルクス)、色再現性はNTSC比で約150%、応答速度は4ms。年間消費電力量140kWh/年、重量は25kgで、同社の片山幹雄社長は「現時点で、液晶だけでなくあらゆるディスプレイにおいて、ダントツで一番軽くて、ダントツでエネルギー効率が良くて、ダントツで薄い」とアピールした。 試作機を実現した技術の詳細は明らかにしていないが、「バックライトや、アレー作成技術、偏光板、カラーフィルタ技術などの様々な技術ブレイクスルーによるもの。一つの技術で実現できたものではない(水嶋繁光ディスプレイ技術開発本部長)」という。
発売時期や価格については未定だが、「現時点でもこれだけの品質のサンプルができる技術レベルに来ている。2010年3月に予定している大阪 堺市工場の稼働には間に合わせたい」としており、今後の同社の液晶テレビに今回の開発技術を順次投入していく予定。 /P> 今後の開発課題については、「新しい構造、材料を使っているが、その量産技術の確立が最大の課題となるだろう(水嶋ディスプレイ技術開発本部長)」としている。 発表会場では新型液晶テレビの応用例も紹介された。狭額縁と軽量を生かした「壁掛け」、風景のようにディスプレイを活用する「借景」、空間を映像で仕切る「屏風」、液晶がラックからせり出す「ポップアップ」、生活空間の一部を映像で飾る「箱庭」などの用途を提案。
オンリーワン商品企画推進本部長の大河原卓次 取締役は「壁掛けが3割という米国などでの訴求や、インテリアに関心の高い欧州などでも訴えることができるのではないか」という。あわせて、無線技術による、映像伝送も搭載するなど、ワイヤレス化も推進していくという。
■ 液晶に日本の基幹技術を集約。「次世代の本命も液晶」
同社片山幹雄社長は、「薄型/大画面化のニーズはますます強くなっている。その中で、考えられる次世代ディスプレイとはどういったものだろうか?」と問いかけ、「報道などでは“SEDや有機ELが次世代ディスプレイ”と語られる。その根拠は、“自発光デバイスだから、同じ自発光のブラウン管に近い画質が得られる”というもの。当初の液晶ディスプレイの画質が及ばなかったという点もある。しかし、液晶はこれまでに飛躍的な改善を遂げてきた。映像の基本性能のコントラストや色表現力など、表示性能も他を凌駕するものとなっている。また、液晶は液晶材料だけの技術ではなく、輝度、コントラスト、色表現力、高精細化、大型化、低消費電力など多くの技術のブレイクスルーを積み重ね、すり合わせて進化してきた。自発光でない故に懸命の努力を続けてきて進化しており、無限の可能性を秘めている」と液晶方式の潜在能力を強調。 さらに“21世紀型コンビナート”をコンセプトとする大阪府堺市の新工場について、「製造装置から、カラーフィルタなどの部材、液晶パネル、テレビまでさらなる垂直統合型の事業展開を図る。さまざまな技術の融合を図り、その進化をさらに加速する。単に効率を求めているだけでなく、業種を超えた最先端の液晶技術を結集し、日本の基幹技術が融合した一大産業地としての発展を目指す。こうした最先端の工場から夢の液晶テレビが生まれる。未来のテレビの一部を紹介します」と、新液晶テレビ試作機を披露した。 水嶋繁光ディスプレイ技術開発本部長は、試作機を「画期的な次世代液晶テレビ」と紹介。その理由を「最高の画質」、「超薄型軽量」、「先進の環境性能」の3点を挙げて解説した。 コントラストや視野角などの画質性能に加え、「額縁も上部が20mm、左右が25mm。画面が宙に浮いているようなデザインを実現できる」とした。また、年間消費電力量も「従来の半分、プラズマの4分の1」という。「さらなる技術革新で液晶ディスプレイは、次世代の映像文化を支える本命となる。現在の液晶テレビの次世代も、新しい次の液晶テレビ」とアピールした。
□シャープのホームページ ( 2007年8月22日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
Copyright (c)2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|